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オズのムシノスケ

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第二幕その四

「ですから」
「カルロスはスポーツ好きだからね」
 ドロシーもこのことがわかっています、そして。
 ここで五人全員を見てです、こうも言うのでした。
「ジョージは力持ちで神宝はもの知りでナターシャは頭がよくて恵梨香は優しくて」
「私達の中で、ですね」
「皆バランスがいいけれどね」
 その中で五人がそれぞれ突出しているものはというのです。
「それぞれそうよね」
「それで僕はなんですね」
「スポーツね」
 ドロシーはまたカルロスに言いました。
「一番得意なのは」
「そうですか、それはいいことですね」
「そうよね。それじゃあ」
「大学でもね」
「どんなスポーツがあるのか見させてもらいます」
「そうしてね。それで教授もね」
 他ならぬムシノスケ教授もというのです。
「スポーツが大好きなのよ」
「あの人もですか」
「そう、自分がすることもね」
「そうなんですか」
「あの人もスポーツマンよ」
「お好きなスポーツは」
「色々よ」
 それは一つではないというのです。
「ただ、特に陸上競技が好きかしら」
「跳躍とかですか」
「あの人はバッタだし」
 バッタが学校で勉強を聞いていてです、そこから虫眼鏡で拡大されてそのうえで今の姿になったのです。
「だからね」
「跳躍がお好きなんですね」
「幅跳びも高跳びもね」
 どちらもだというのです。
「お好きなのよ」
「本当にバッタですね」
「そうでしょ、けれど他にも好きな競技が多いから」
「陸上で」
「あの人は陸上を一番よくするわね」
「わかりました、それじゃあ」
「大学に入りましょう」
 こうしてでした、五人はドロシーそしてトトと共に王立大学に入りました。そうしてそのうえで最初に、でした。
 ムシノスケ教授のいる学長室に向かいました、ですが。
 教授はそこにいません、学生さんの一人にこう言われました。
「学長さんは今はスポーツをされていますよ」
「あら、そうなの」
「グラウンドに出られて」
 そしてだというのです。
「棒高跳びをされています」
「そうなのね」
「そうです、それで」
 それでだというのです。
「気持ちよく汗をかいておられます」
「わかったわ、それじゃあね」
 ドロシーは学生さんに笑顔で応えてでした、皆をです。
 グラウンドに案内しました、そこは陸所競技場で多くの学生さんが走ったり鉄球を投げたりハードルを跳んだりしています。
 そのグラウンドの中に入るとです、トトは尻尾をぱたぱたとさせてそのうえでドロシーの方を見上げて言いました。
「ねえ、ちょっとね」
「トトも走りたいのね」
「ここにいるとね」
 それだけでだというのです。
「どうしてもそうなるから」
「ええ、いいわよ」
 ドロシーはそのトトに笑顔で答えました。
「ただ、皆の邪魔にならない様にね」
「陸上競技をしている人達のだね」
「スポーツは他の人の邪魔になったらね」
「駄目だからね」
「そう、だからね」
 それでだというのです。
「他の人の邪魔にならない様に走ってきてね」
「そうするよ」
 トトはこうドロシーに答えてでした、そうして。 
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