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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第六話 ピアニストの入居その九

 そして夕食の時にはだ、早百合先輩はもう八条荘に来られていた、僕が部活から帰ってアパートに帰るとだった。
 早百合先輩が八条荘の正門のところにいてだ、頭を下げてから挨拶してくれた。
「こんばんは」
「あっ、来られてたんですか」
「はい、今しがた」
 ここに来たところだったらしい。
「これから家具等を入れさせて頂きますので」
「そのことならご心配いりません」
 畑中さんがすっとだ、僕の横に来て早百合先輩に言って来た。
「家具は今から部屋に入れさせて頂きます」
「お願い出来るのですか」
「はい」
 畑中さんが両手をぱんぱんと合わせて叩いた、すると。
 あの影の実行部隊の人達が出て来た、そしてだった。
 畑中さんは僕にだ、実行部隊の人達を第ひょする形で問うて来た。
「では義和様」
「僕が、ですか」
「はい、ご命令を」
「これまで畑中さんが指示を出してませんでした?」
 僕は指示を仰がれたそのことに戸惑いを覚えた、人にああしろこうしろとか言ったことはこれまでなかったからだ。
 それでだ、そのことに戸惑いながら畑中さんに尋ねたのだ。
「僕がしてもいいんですか」
「我々は義和様お付きですので」
「この実行部隊の人達もですか」
「八条家の使用人はそれぞれの主とご当主様の指示で動きます」
「それでなんですか」
「はい、実行部隊は私の言葉でも動いてくれますが」
 それはというと。
「あくまで私は代理です」
「じゃあ僕が、ですね」
「ご命令される立場です」
「それじゃあ」
「お願いします」
「わかりました」
 僕は畑中さんの言葉に確かな顔になって頷いた、それからだった。
 あらためてだ、畑中さんと実行部隊の人達に言った。
「先輩の家具を先輩のお部屋まで運んで下さい」
「わかりました」
「それで運んだ家具はすぐに使える様に」
「お願いします」
「わかりました」
 こう話してだ、そしてだった。
 早百合先輩の家具はすぐに先輩のお部屋に運ばれた、そこは一〇五号室だった。かくして先輩もまた八条荘の入居者になった。
 そのうえでだ、早百合先輩は僕に家具を入れたことにお礼を言ってくれた。そのことが一段落してからだった。
 畑中さんがだ、ここでまた早百合先輩にお話した。
「では夕食に」
「はい、八条荘では朝と晩はですね」
「お食事が出ます」
「そしてお昼も」
「お弁当を持って行けます」 
 そちらもだというのだ。
「食べることについてはご心配なく」
「左様ですか」
「お部屋の中には冷暖房もあります」
 それも完備だった。
「お風呂もありますので」
「何でもあるのですね」
「家賃には水道代、電気代も入っています」
「随分と安いですが」
 その家賃が、というのだ。
「この立派さ、福利の充実の割には」
「学生の方々ですから」
 それで、というのだ。
「八条グループもそこはわかってくれているのです」
「左様ですか」
「はい、それに一杉様は」
「早百合とお呼び下さい」
「では。早百合様はです」
「はい」
「お父上と兄上が八条グループの企業に働いておられるので」
 それで、というのだ。
「お二人から私に宜しくと言ってもらってもいます」
「お父様、お兄様から」
「左様です」
 こう早百合先輩にお話する畑中さんだった。
「その様に言われています」
「そうなのですか」
「ご自身で入られたいと仰ったのでしたね」
「はい、そうでした」
 このことは八条荘の人達と一緒だった。 
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