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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第六話 ピアニストの入居その十

「ピアノのお話を聞きまして」
「そうでしたね、それではピアノは」
「何時弾いて宜しいでしょうか」
「朝はどうでしょうか」
「朝ですか」
「はい、六時に」
 その時にとだ、畑中さんは早百合先輩にアドバイスした。
「皆さんの起きる音楽にどうでしょうか」
「あっ、いいですね」
 六時の皆が起きる時間にと聞いてだ、僕は横からこう言った。
「それは」
「義和様もそう思われますね」
「はい、朝起きるのに音楽というのも」
「趣がありますね」
「そう思います、何か貴族みたいですね」
「この八条荘は貴族のお屋敷をイメージしています」
 このことは以前聞いた通りだ、お風呂場とかはともかくとしてその他のことは確かにイギリス帰属のお屋敷の趣がある。
「ですからピアノの音楽も朝にいいと思いまして」
「だからですね」
「そうです、では宜しいですね」
「はい、僕はそれで」
 いいと答えた、そしてだった。
 他の娘達もだ、いいと答えてくれた。けれど美沙さんは早百合先輩にこう尋ねた。
「あの、先輩いいですか?」
「何でしょうか」
「曲のリクエストは出来ますか?」
「どの様な曲が宜しいのでしょうか」
「ポップスとかです」
 そうした曲だった、美沙さんが聞きたい曲は。
「モー娘。とか男性アイドルとか」
「はい、そうした曲も聴きますので」
「それじゃあそうした曲もお願いします、具体的なリクエストは」
「それは」
「その朝の前の夜ですよね」
「はい、その日にです」
 是非にとだ、美沙さんは早百合先輩にこのことも尋ねた。
「そうですよね」
「そうです、その日にお願いします」
「それじゃあ」
 こうして美沙さんと早百合先輩のやり取りも終わってだった、その話が済んでからだった。
 僕達はデザートも食べた、そのデザートはというと。
 アイスクリームだ、僕はそのアイスを食べてびっくりした、そのうえで一緒にアイスを食べている畑中さんに尋ねた。
「あの、このアイスは」
「絶品ですか」
「こんな美味しいアイスは」
 とてもというのだ。
「はじめてです」
「そうですか、実はこのアイスは」
「シェフの方が作ってくれたものですよね」
「左様です」
「凄いですね、お菓子もですか」
「シェフの小野さんはパティシエでもありまして」
「あっ、小野さんっていうんですね」
 ここで僕ははじめてシェフの人のお名前を聞いた。
「そういうお名前だったんですか」
「はい、そういえばまだ皆さんお会いしていないですね」
「そうです、どういった方でしょうか」
「今こちらにお呼び致しましょうか」
「お願いします」
 僕は是非にとだ、畑中さんにお願いした。すると。
 畑中さんは傍にあったベルを鳴らした、すると。
 白いシェフの服と帽子という格好の小さな目で厚い唇の中年の男の人が来てくれた、背は一七三程だろうか。
 その人を右手で指し示してだ、畑中さんは僕達に説明してくれた。
「シェフの小野さんです」
「はじめまして」
 その小野さんが答えてくれた。 
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