八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第六話 ピアニストの入居その三
「そうして」
「うん、いいよ」
僕はその千歳さんに微笑んで答えた。
「それじゃあね、お昼休みにでも」
「わかりました」
「結構癖のある人らしいけれど」
僕と千歳さんにその一杉さんの人となりも少し話した、芸術家のせいかどうも難しいところがある人だとは聞いている。
「悪い人じゃないらしいから」
「怖い人じゃないんですね」
「うん、全然怖くないよ」
そんな噂は聞いたことがない、確かに癖のある人とは聞いているが。
「だから安心してね」
「はい、それじゃあ」
「僕も一緒だしね」
このことをまた言って千歳さんに安心してもらった。
「心配はいらないよ」
「わかりました」
「さて、明日ね」
その明日のことだ、二人で一杉さんに会いに行くのは。
「明日のお昼休み、御飯を食べたら行こう」
「それじゃあ」
「それとですが」
ここでだ、僕達と一緒に晩御飯を食べている畑中さんが僕達に言って来た。
「明日のことですが」
「明日何かありますか?」
「また来られます」
新たな入居者がこのアパートに入って来るというのだ。
「新しい入居者の方が」
「そうですか」
「そのことをお話させて頂きます」
「わかりました、それでですよね」
ここで僕は畑中さんのある言葉を思い出した、そのうえで畑中さん自身に対してそのことをここで確認した。
「ピアノは」
「はい、その方の為に出します」
「そうなんですね」
何かピアノの話が多いなと思っただけだった、この時は。ここでそれぞれの話をつなげられない辺り僕に推理小説の主人公は無理だと自分でも思う・
「それじゃあ」
「はい、明日の日中に出しておきますので」
「影の実行部隊の方々とですね」
「共同して作業に当たり」
そうして、というのだ。
「用意させて頂きます」
「わかりました、ただピアノですよね」
「はい」
僕はここでピアノであることを確認した、そして畑中さんもその通りだと答えてくれた。
「そうです」
「ピアノでしたら」
本格的なピアノだ、小学校にあるエレクトーンにしてもだが。そうしたもので連想する重要なことといえば。
「重いですから」
「その重さに気をつけてですね」
「作業お願いします」
「わかっております、そのことは」
「腰とか痛めないで下さい」
「有り難うございます、それでは」
畑中さんは僕に礼儀正しく答えてくれてだった。明日の日中にそのピアノを出すことを約束してくれた。そうした話をしながら晩御飯を食べて。
そしてだ、その次の日にだった。
僕はお昼のお弁当を食べてから千歳さんと携帯で連絡を取って待ち合わせをしてそうしてからだった、三年生の教室に一緒に向かった。
その時にだ、千歳さんは僕にこんなことを言ってきた。
「この学校広いですね」
「世界屈指のマンモス校だからね」
「世界ですか」
「うん、高等部だけでもね」
本当に広い、これだけ広い学校は絶対にそうはない。
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