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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第五話 お兄ちゃんじゃないからその八

「何しろこれまでの交際相手は四千人以上で」
「四千人ですか」
「それ以上なんだよ」
 それこそハーレムだ、それも幾つもそれがある。
「始終浮気をしていてね、それでお袋も」
「出て行かれたのですね」
「そうなんだ、もう下は十四歳から」
 犯罪だ、既に。
「上は百歳までね」
「守備範囲が広い方ですね」
「広いっていうのかな」
 もうそんなレベルじゃないと思う。
「常識外れだよね」
「ライトル選手の守備範囲みたいですね」
 さりげなくだ、小夜子さんはこんな例えを出して来た。
「それですと」
「ライトル選手って?」
「はい、カープの助っ人だった方で」
「そんな人いたんだ」
「強肩でかなり守備がよかったのです」
「何時頃の人かな」
「カープのはじめての日本一の頃です」
 ちょっと聞いただけではわからない時代だった。
「昭和五四、五五年です」
「ああ、江夏の二十一球の」
 こう言われるとわかった、相手は近鉄バファローズだ。
「あの頃だね」
「はい、その頃の方でして」
「守備範囲広かったんだ」
「それもかなり」
「まあライトル選手の守備範囲は知らないけれど」
 ついでに言うとポジションもだ、今の阪神ならわかった。
「うちの親父はそれこそ球場の殆どになるからね」
「守備範囲がですか」
「幼女と人妻以外なんだ」
 その守備範囲はだ。
「もう気に入ったら、だから」
「幼女の方と人妻の方以外は」
「もう手当たり次第だから」
「それはまた凄いですね」
「だからね、女性問題はいつものことで」
 家に何人の女の人が来たのか、覚えていない。
「それでよくも夢に出ていたんだ」
「ああ、お母さんの違う兄弟のいきなりの訪問だね」
 美沙さんが笑ってそのトラウマを言って来た。
「よくある話だけれどね」
「ないよ、実際には」
 物語にはともかくだ、あとここではもう詩織さんのことは言わなかった。言うとまずい状況だと思ってそうした。
 そのうえでだ、僕は話題を変えようと思って千歳さんにこう尋ねた。
「あの、それでね」
「はい」
「千歳さん部活は何処に入るつもりなのかな」
「部活ですね」
「うん、何処を考えてるのかな」
「演劇部がありますよね、八条学園には」
「うん、あるよ」
 演劇部どころか大抵の部活がある、雅楽部や管弦楽部まである位だ。
「部活の数でも日本一だからね、うちの学校」
「そうですか、それじゃあ」
「演劇部に入るつもりなんだ」
「中学の頃から入っていまして」
 その演劇部にというのだ。
「高校でも」
「そうなんだ、演劇部なんだ」
「そこに入ろうと思っています」
「成程ね、面白いね」
「面白いですか」
「うん、演劇部もね」
 こう答えた僕だった。
「うちの学校の演劇部活動盛んだし」
「劇の発表が、ですね」
「特にシェークスピアが多いんだ」
 何でも三年の先輩で好きな人がいるらしい、シェークスピアのあのシニカルで大げさな言い回しが好きと聞いている。 
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