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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第五話 お兄ちゃんじゃないからその七

「僕の妹って」
「そう、そんな感じするけれど」
「そういえばそうですね」
 小夜子さんも言って来た、納豆御飯をまるで懐石料理みたいに食べながら。
「千歳さんは大家さんの妹さんみたいですね」
「そうですか、それでは」
 当の千歳さんもだ、三人の女の子達の言葉を受けてか。
 僕を見てだ、こんなことを言って来た。
「お兄さんと呼んでいいでしょうか」
「止めてね」
 即答でだ、僕は千歳さんに返した。
「頼むから」
「そうですか」
「僕今のところはね」
 あの親父だから断言出来ない、現に詩織さんにその疑惑がある。だがそれでもとりあえず『灰色はあえて無視して』僕は千歳さんに答えた。
「詩織さんはそうかも知れないけれど」
「えっ、田村さんが」
「まあその話は長くなるから」
 あの親父の話は一旦話したら果てしなく長くなる、本当にカサノヴァかドン=ジョヴァンニみたいな親父だから。今もオランダで何をしているやら。
 だからそのことは置いておいてだ、千歳さんに返した。
「後でするけれど」
「そのことは私からお話しますので」
 詩織さんが言ってくれた。
「それで宜しいでしょうか」
「じゃあお願いするね」
「はい、それでは」
「とにかく、僕ははっきり断定出来る兄弟姉妹はいないんだ」
「そうなのですか」
「とりあえずはね」
 これから腹違いの兄弟姉妹が何十人出て来てもおかしくないけrど。
「だからね」
「それで、ですか」
「千歳さんご両親は」
「岐阜の方に」
 生まれのことも言ってくれた。
「父は市役所、母も町役場に」
「そうなんだ、ご健在なんだ」
「はい、二人共」
「そうなんだ、じゃあうちの親父とは関係ないね」
 人妻には手を出さない親父だからだ、そうした後々とんでもないことになりかねないそれも最悪の形でそうなることはしないのがせめてもの救いだ。七十歳のお婆さんと付き合うなんてアクロバットというかダイアミックなことはしたことがあっても。
「絶対に」
「大家さんのお父様と」
「うちの親父自体のことも話すけれど」
 その長くなる話をだ。
「とにかく八条止と関係がないのならね」
「はい」
「妹じゃないから」
 こう千歳さんに言った。
「まあ、無理には言わないけれど」
「お兄様とお呼びすることは」
「ぎくっ、ってなるから」
 あの親父ならと思うだけにだ。
「止めてね、出来るだけ」
「わかりました」
「これでもトラウマだから」
 息子にそういうことで恐怖を抱かせる、本当にうちの親父はとんでもない。下半身に人格が全く存在しない。
「だから大家さんって呼んでね」
「わかりました」
「しかし、本当に」
 そのトラウマのことをだ、僕は言うのだった。
「あの親父と来たら」
「大家さんのお父様ですね」
「うん、とにかく酷い親父で」
 小夜子さんに応えて親父のことを話した。
「外科医の腕は優秀なんだけれど」
「お医者様ですか」
「現代のブラックジャックって言われてるんだ」
 ちなみに医師免許はある、このことは間黒男さんつまりブラックジャックとは違う。ついでに言うと黒づくめでもない。
「腕はいいんだけれど」
「女性関係は、ですか」
「最低でね」
 もうこう言うしかなかった。 
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