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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第五話 お兄ちゃんじゃないからその二

 僕はあらためてだ、女の子達の話を聞いて納得した。しかしここでだった、その美沙さんが来た。黄色のジャージ姿の美沙さんはというと。
 やっぱり小さかった、そう思った。本当に一五〇位だ。その美沙さんが僕に対して笑って言って来た。
「どうだった?あたしのバスケ」
「うん、かなりいいと思うよ」
 僕は美沙さんにありのまま思ったことを答えた。
「実はね」
「あたしが小さいからっていうのよね」
「どうかなって思ってたけれど」
「バスケは背が大事だからね」
 美沙さんの方からも言って来た、このことを。
「どうしても」
「うん、だからどうかって思ってたんだ」
「それでもね、あたしはね」
「ジャンプ力があって」
「そう、フットワークとかもね」
 いいとだ、美沙さんは自分から笑顔で話した。
「自信あるから」
「だからバスケもなんだね」
「伊達に忍者じゃないわよ」
 それになれるだけの身体能力があるというのだ、少なくとも目指せるだけの。
「そういうことよ」
「成程ね、じゃあこれからも」
「うん、バスケ部でね」
 そこでだとだ。美沙さんはまた言った。
「楽しんでいくから」
「二年の娘の中でレギュラーって聞いたよ」
「なれたらいいね、けれどね」
「けれど?」
「まずは楽しみたいから」
 バスケ、それをというのだ。
「レギュラーになれたらなれたで嬉しいけれど」
「楽しみたいんだね」
「それを第一でいくからね」
「そうなんだ、美沙さんは」
「そう、じゃあ今日帰ったら」
「お風呂もあるしね」
「御飯もよね」
 美沙さんはまた自分から言ってくれた。
「あるわよね」
「楽しみにしておいてね」
「そうさせてもらうわね、それと」
 ここでだ、不意にだった。
 美沙さんは僕の顔を見てだ、こんなことを言って来た。
「大家さんってね」
「美沙さんもその仇名で呼ぶんだ」
「駄目?」
「いや、駄目じゃないけれど」
 これまでヨシと呼ばれていてその仇名というのはどうにも違和感があった、それで微妙な顔になって答えたのだ。
「違和感がね」
「それがあるからなの」
「どうもねって思うけれど」
 それでもとだ、僕は返した。
「いいよ、悪口でもないし」
「じゃあ大家さんでいいわね」
「うん、それじゃあね」
 僕は美沙さんにもこう返した、そしてだった。
 美沙さんは僕にだ、今回の本題を言って来た。その本題はというと。
「大家さんっていい顔してるわね」
「えっ!?」
 僕は美沙さんのその言葉に最初呆気に取られた、それでどう答えていいのかわからなくなった。その僕に。
 美沙さんはさらにだ、こんなことを言った。
「結構もてるでしょ」
「いや、もてないよ」
 ここでも正直にだった、僕は答えた。
「とても」
「あれっ、そうなの」
「うん、親父はともかくとして」
 あの親父のことは言いたくなかったけれどここは例えとして出した。 
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