八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第四話 三人目の人はその三
「この八条町での生活をはじめさせて頂きます」
「わかりました、それじゃあ」
「学年は二年です」
「えっ、二年ですか」
そう聞いてだ、僕も詩織さんも驚いた。そうして小夜子さんに尋ねた。
「じゃあ僕達と同じ」
「同じ学年ですね」
「八条学園高等部の、ですよね」
「二年生なんですか」
「はい、そうです」
穏やかで澄んだ声での返答だった。
「まさか管理人様、田村様とご一緒の学年とは思いませんでしたが」
「あっ、様付けはなしで」
「それでお願いします」
二人でそのことはとだ、小夜子さんに返した。
「八条でも義和でもいいです」
「私も別に」
詩織さんも言う。
「名前で呼んで下さっても」
「左様ですか」
「はい、そこまで気を使ってもらわなくても」
いいとだ、詩織さんは小夜子さんに言った。
「いいですから」
「そうですか、それでは」
「はい」
「管理人さん、田村さん」
こうそれぞれだ、僕達を読んで来た。
「宜しくお願いします」
「はい、それじゃあ」
「これからお願いします」
「そして執事様も」
「私も様付けは遠慮させて頂きます」
畑中さんもだ、小夜子さんに言うのだった。
「その様に」
「そうですか」
「はい、ですから」
それでだというのだ。
「その様にお願いします」
「わかりました、では執事さん」
「若しくは畑中でお願いします」
「それでは」
小夜子さんは畑中さんとも話した、そうした話を朝食を食べてだった。
そうしてだ、皆でだった。
登校した、そしてだった。
小夜子さんは早速だった、皆の間で評判になった。八条装にいるということは小夜子さん自らカミングアウトしてだった。
皆そのことでだ、僕のところに来て問うて来た。
「あの、小林さんって」
「ヨシのところの人だよな」
僕の仇名だ、義和だからヨシだ。
「新しい入居者っていうけれど」
「凄いお嬢さんじゃない」
「大和撫子で」
「美人さんでね」
「モデルみたいな顔で」
「びっくりする美人だけれど」
「田村さんは可愛くて」
そして小夜子さんはというのだ。
「小林さんは凄い美人で」
「両手に花?」
「そうなってるわね」
「ああ、皆聞いたんだね」
僕は自分の席に座っていた、そこで囲んできた皆にいささか困った顔になってそのうえでこう答えたのだった。
「小夜子さんから」
「ああ、八条荘に住んでるってな」
「ヨシが管理人さんのアパートにね」
「あそこに」
「確かにあの人は僕のアパートの人だよ」
その八条荘のだ。
「それは確かで。見た通りの人だよ」
「大和撫子だよな」
「モデル並の美人で」
「しかも和服で」
「和服ねえ、それね」
僕はその和服のことにだ、皆に困った顔で言った。
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