あの世界では、救えなかった。

愛する者達が。
信頼しきっていた者達が。
新たな絆で結ばれた者達が。

その殆どの者達の命が失われた。

理不尽に抗う事、理不尽にさらされた人たちを救うこと。その全てを救おうとする事、それが甘い理想だという事は、とおの昔に解りきっている。
それでも、理想を追い続ける。追い求め続ける。

無論、この世界はそう甘くは出来ていない。理想は現実に駆逐され、弱き者はより強大な力を持つものに翻弄される。

どんなに、理想を追い続けても、手が届かないのか？
どんなに、抗っても……理不尽に屈するしかないのか？

力が無い者は、力がある者に敵う術は無い。それはどの現実でも同じ事。
……だが、力で抑えればより強大な力で反される。それも幾度と無く歴史上で繰り返されてきた事だ。

あるゲームに参加する男の手は、既に血に染まっていた。
拭っても拭っても血の匂いは手から消える事は無い。

だが、そんな手でも、守れるものがあった。……繋げる手があったんだ。






シークレットゲーム～Not Realistic～




理不尽にさらされるのは何も……、《弱い者》達だけとは限らない。