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シークレットゲーム ~Not Realistic~

作者:じーくw
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説明会


 そして、3人は森を抜けた。
 漸く人の生活に触れたかと思いきや、そこは無人の集落だった。建物自体の骨組み自体はしっかりとしているが、見た目でわかる。相当昔に内捨てられているのだろうという事が。畳や襖は年月に侵食されており、その殆どが朽ち果ててしまっている。

「期待はしてなかったが、やっぱり無人なんだな」
「そうだな……。人がいればここが何処なのか、を知るのは容易いと思ったが、そこまで甘くなさそうだ」
「そうね……、結構ボロボロだし、これ相当昔に廃村になったって感じ」

 3人は辺りを見渡しつつそう言っていた。

「使えるなら、寝泊りには使ってもいいとは思えるがな」
「寝泊り?」
「……そうだな。いつ終わるとも知れないからな」
「ああ。そう言うこと」

 悠奈は修平と刀真の言葉に頷いた。
 参加者のPDAに配布された情報だけでは、開始がいつで終了がいつなのかは分らない。
だが、こういった舞台を用意している以上は、サバイバル的な要素があってもおかしくはなかった。だが……、そうなれば、飲み水、食料、寝床。つまりは生きていくうえでの衣食住の確保は必須だと思えるのだ。

「刀真は、いつまで続くと思う?」
「ん……」

 比較的傍にいた刀真にそう聞いていた。
 修平は彼の頭の回転の速さと切れは良く分っていた。ここに来るまでに、くれた情報。自分に会う前に出会ったと言う真島との一件の事もそう。咄嗟の判断では、スムーズに滑らかに対処できている事も凄い。それが、こんな空間でも発揮されているとしたら……その器量は計り知れないものがあるんだ。

「そうだな」

 刀真は腕を組んで考えを張り巡らせた。そして、ノートの件を再び思い返す。ノートの事は事前に修平には伝えてある。真島と言うプレイヤーに譲渡した、と言う事も含めて。ノート事態は持っていないが、内容は全て暗記している為、話はしたが 証拠となるノートが無い為、話半分に訊いてくれ、と忠告も刀真はしていた。

「あのノートにもかかれてなかったからな、推測の域を話すのも……。それにいう必要も無いんじゃないか?」

 刀真はそう言って軽く笑っていた。

「その為の≪説明会≫だろう?」
「……まぁ、それもそうだな」

 刀真は指を指しつつそう言う。
 もう、その会場は目と鼻の先にあるのだ。悠奈が少し先におり、他に人が外にいないかを簡単に調べているようだった。2人はどうやら、不振人物はいないと言う悠奈の合図を見て足早に悠奈の方へと向かった。

 《中央管理施設》

 と銘打ってはいるが、実際に言って見ると、そこおは廃村の町役場の様な風体だった。
 3人が見てきた村は全てが木造だったのに対し、こちらの建物はコンクリートで造られており、エアコンの室外機も多数備えている。これらから、この村の中では群を抜いて近代的な建物である事が見て取れた。

「意外と広いな。少人数制の学校くらいは有りそうだ」
「……だな。建物も薄汚れてはいるものの、随分としっかりとした造りのようだ」
「まぁ……あの村見た後じゃね」

 3人がそれぞれ感想を言い合う。
 部屋数も、修平が言うように多数有り、恐らくはその内のどれかが説明会場なのだろう。そして、中に入ると『説明会会場はこの先、階段を上って右の突き当たりにある会議室です』と言う看板があった。
 誰もいない事を予想していたが、修平としては主催者やゲームの運営者に会いたかったと言う思いもあったが、それは限りなく確立が低いと感じていたからさほど、気にする事は無かった。だが、気になる事はある。

「……足跡から察するに、5人……いや6人か。この会場に来ているのは」
「そうなのか?」
「ああ。中には足跡にさえ気を使って消す様な者もいるかもしれないが、とりあえずは無かった。靴底の種類や磨り減り具合から、何種類かも大体把握したからな」
「……凄いな。そこまでオレは目が言ってなかった」
「言ったでしょ? 私には頼りになるナイト様がいるんだって」
「……だから、誰がナイトだ。アホ」

 傍から見れば楽しそうにしている様に見えるが、その実修平はある種 驚きを通り越して、気味悪いさも感じていた。足跡に関しては、自分も確認をしていたが重なり合って乱れており、数を特定するのは無理だと早々に諦めていたからだ。ここは、屋内であり土の上についた足跡と言うわけじゃないから、見た目以上に判別するのが難しいのだ。
 予め、答えを言ってくれた後ならまだしも。

 悠奈自身は信頼しているようだから、今は≪まだ≫大丈夫だろうと修平は感じていた。

 そして、3人は説明会会場である会議室にたどり着いた。

 そこには既に他の参加者も多数集まっているようだ。

 軽く目で追いかけたが、5人。刀真が言っていた大体の数がいた。そして、その中の1人が修平を見るなり声を上げた。

「修ちゃんっ!?」
「え!? こ、琴美!?」

 修平も彼女を見て、驚きの表情を浮かべていた。

「あれ? 修平、この子と知り合いなの?」
「あ、ああ……琴美はオレと、幼馴染で……」
「ふむ……」

 聞けば修平と琴美は、仲の良い幼馴染らしかった。そして他にも、同年代の少年少女がいる。

簡単なやりとりを横目で見ていた刀真は大体の人間性を把握していた。


 頭が固く、頑固で生真面目。ゲームへの参加を断固拒否する古典的な委員長タイプである。
≪上野まり子≫

 恐らくは人見知りはあまりしないタイプで無邪気な笑顔を振りまく愛嬌のある少女。話しを聞くとどうやら人気は低下しているが現役アイドルでもある。
≪阿刀田初音≫

 初対面の相手に気軽に話しかける気さくな青年。社交性に長けてるとも思えるが、軟派な男でもある。 
≪伊藤大祐≫

 常に飄々とした態度と、冷やかな微笑みを浮かべる少年。強制的に参加させられた筈なのに楽しんでいる節も見られ、腹の中には一物ありそうな少年でもある。
≪三ツ林司≫


 初めこそは幼馴染との再会で場も賑わうが、それは まり子の言葉と司の言葉で殺伐としてしまう事になった。

 まり子は、犯罪は決して許されるものではないと考え、この≪ゲーム≫も完全否定。いずれ助けが来ると信じてやまない様子だが、真っ向から切って返したのが司だった。状況を整理し、切り替える速さは司がこの中では一番だろう。


 だからこそ、≪今出来る事≫を選択する司と≪常に正解である事≫を選択するまり子。


 だから、彼女を納得させる為には≪正解にはたどり着く事は出来ない≫と言うことを認識させる所からはじめる必要がある。だが、半ばヒステリーを起こしている彼女を説得させるのは無理難題に近い。

 ……だが、このゲームが始まれば否応でも理解するだろう。

 少なくとも、この≪説明会≫が終わるまでには。


「ははっ……、面白いな。この人たち」

 司は諦めたように笑いながら首を振る。

 これほどの人数を否、人数はこれ以上かもしれない。
 だからこそ、司は それ程の人数をほぼ同時で拉致してきたその手腕、そして外界から隔離された異常空間。それが一個人で出来るものだとは到底思えない。だからこそ、奥に潜んでいる者の大きさを認識していた。


 そして、話題はPDAの話しとなる。
 メンバーの中の大祐が、勝利条件や特殊昨日を明かそうとし合っていた。だが、ひょんなことからそれはされる事は無くなったのだ。その様子を見た修平はほっと胸をなでおろしていた。先ほどの公開は異例中の異例だからこそ、容認できたが、今回は訳が違うから。……少なくとも情報の価値がまだまだ図りきれないこの状況で、遊び半分で投売りするのは危険極まりないと思えるのだ。

 横目で、修平は刀真を見ていた。

 話の輪には加わらないが、離れもせずただただ、聞き手に回っているようだ。その姿を司も気になったようで、しきりに視線だけを向けていた。まだ、自己紹介しかしていない状況だが、司も刀真に何かを感じたようだ。

 そして、悠奈自身は持ち前の性格も効した様ですんなりと輪に馴染めていた。

 暫く談笑し会っていたその時、会議室のスピーカーからノイズがもれ始めたのだ。

「あ、ようやく始まるのかな?」

 視線をスピーカーにむけたのは琴美。
 彼女が比較的一番近い位置で立っていた為、最初に反応したようだ。

 そして、その言葉どおり、高くも無く低くも無い声。特徴と言う特徴がひとかけらも見当たらない声が聞こえてくる。

『本日は皆様、お集まり頂き大変有難うございます。これより、今回のゲームに関する説明会を始めさせていただきます』

 その一声から始まり場がしん……と沈黙が生まれた。
 気楽なメンバーが集まっているとは言え、今から始まる事の重要性は理解しているようだ。

 そして、特徴無い声はさらに続く。

『まずは、一通りのゲームについて、説明を行っていきます。説明するのは、ゲームの目的、効かん、舞台、プレイヤーおよびPDAについてです。ゲームの内容に関する質問は回答しますが、それ以外は一切受け付けません』

 運営の男の特徴……。無いと言ったが1つだけあった。
 それは酷く事務的な喋り方であると言う事。全く淀みないその説明にまるで機械音声か?と思えてしまうほどだった。

『では、ゲームの説明に入らせていただきます。』

 淀みなく進行していくが、妨げる者がいた。

 それは、まり子。

 早々に挙手をしつつ、質問をしたのだ。


――内容は≪運営団体≫が一体どういうものなのか?


 つまりは、その団体の責任者をだせ。と言うニュアンスだが、それも一切答えない。ただ一言、≪ゲームには関係無い≫と言う言葉のみを事務的な声で発するだけだった。

 その返答にまり子は絶叫し続ける。だが、それでも変わらない。

「落ち着け」

 そこで、止めたのが刀真だった。

「な、なによ! こんなの絶対に間違ってるじゃない!!」

 まり子はそう食って掛かるが、刀真はただただ冷静に首を左右に振った。

「関係性があるか? 否か? を決めるのは向こう側(運営側)だ。……主導権を握っている運営が『答えない』と、いっている以上は、それ以上 期待しない方がいい」
「そ、そんなっ! でも、そんなのっ……」
「仮に、これが誘拐だとして 説明の中に営利目的が来たとしたら……。あまり刺激しない方がいいだろう? 確かに、まり子の言い分は解る。……が、如何に自分がいた所だって、未然に事件を防げた事は少なくないか? こう言った事例は、殆どが事後での発見だ。早期発見は難しく、そして、痛ましい事も起きている。日本は法治国家。だが、それでも絶対じゃない。だから、今は冷静に聞くほうがいい」

 そう冷静に落ち着いて話されたら、否定は出来ないようだった。
 確かに刀真が言うように、誘拐に関しても 身代金等を言いそれから気づくという事も多い。

 事前に防ぐ事もあるが、圧倒的に前者だ。捕まってしまった以上は、たとえそれが間違っていたとしても、刺激しない方が良いと言う事はよく理解できた。

 刺激して……、痛ましい事件に繋がらないともいえないから。

「わ、わかったわ……」

 まだ、完全に納得したわけじゃないが、今は聞かなきゃ駄目だと解ったらしく、まり子は口を噤んだ。


 その後も淀みなく説明は続けられた。ゲームの勝利条件。敗北条件。例を挙げたそれら条件。

 そして、司が何点か質問を挙げていた。

 それは 爆発物。首輪について。

 威力、時間、外す方法の確認。
 それらは≪ゲームに関係あること≫として、返答をしていた。その返答で、皆の顔は真っ青になっていく。中でもまり子はそうだ。許されない事だとしきりに何度も言っていたが、止まる事は無い。

 更に説明は続いていき PDAの内容になって1つの疑問が生まれる。

『プレイヤーナンバーはトランプを模してAからK,そしてJOKER、最後はローマ数字のXIVの計15種類です』

 その説明だった。

 トランプを模しているのは理解できる。だが、なぜそこに一人だけ仲間はずれがいるのか?だ。ただ、意味が無いのかもしれない。だが……、容認できないのは修平。そして、僅かに感じる悠奈。司の3人だった。今は考えても解らない為、口を閉じる事にしたのは皆が同じだった。たとえ、聞いたところで、重要な事なら教えるはずは無いし、聞くことが≪ゲームに関係があるか?≫と問われれば正直解らないからだ。
 しきりに言っている≪ゲームを盛り上げる≫と言う言葉と≪公平さ≫を口にしている以上は、特定の人物のナンバーの事を教えるとは思えないのだ。

 そして、食料について、以前刀真が見つけたノートからみたメモリーチップ。武器についてと淀みなく進んでいく中で、大祐が今度は質問を上げていた。

「あーっと、誰かと手を組んだりとかは有りなの?」

 その事についてだ。
 この場にいるメンバーは仲良くなれると考えた上での発現だった。その質問に関しては間髪いれずに可能と運営側は返した。その事に大祐は、皆が手を組み、条件も教えあって協力しようと提案をしていた。賛成するものも多数いたが……、やはり看破できないと首を横に振る者もいる。

 その危険性については運営側から説明が入った。たとえ話を含ませた条件の相性についてと重要性・危険性を。

 それを最後まで聞いたら、初めに賛同した者ですら言葉を失わせていた。

 そして、説明はPDA操作方法へと向かう。途中、司が手元が狂い、PDAを落としてしまうと言うアクシデントもあったが、それ以上の異変や質問等は無く終了する。

 そして、最後。

 この説明会を締めくくるものと言ってもいいものであり、最もインパクトのある説明へと移行した。

『……このゲームにおけるフェイタリティ。即ちある種の≪危険性≫……それが直ぐに理解できる情報が隣の部屋に用意してあります。詳しくはそちらをご覧ください』

 それは今までとは違う歯切れが悪く、なんとも不明瞭な言葉だが……、

 言葉で表すよりも解りやすい。





 文字通り、≪見たとおり≫なのだから。






「!!!」
「きゃあああっっ!!!」

 隣の部屋へと入った時。
 恐らくは前回のゲームのプレイヤーであったであろう≪もの≫を目にした。もう、動かないであろう≪者達≫。まるで山の様に積みあがってあり、恐怖に足が竦む面々。その後、部屋の明りが落とされおどろおどろしいBGMと共にダイジェストが映写された。


 最後はさながら宣伝の様に





≪シークレット・ゲーム:Absolute Revenge≫





 と表示された。不愉快なナレーションの声と共に。






 それを最後に、説明会は終了した。


 皆が、気分を害し 外へと向かう。

 それは無理も無いだろう。人間の死体を見せられた上、自分もああなってしまうのかもしれないと脳裏に浮かんだものも当然いる。人にとって死は恐怖だ。言葉一つも出なかったが、修平は琴美の手をしっかりと握っていた。そこには何に変えても守る決意の表れが出ていた。

 そして、悠奈自身は拳を強く握り締めていた。

 二度と、同じ様な事にはならないと、こちらも固く誓って。

「………」

 刀真はただただ、黙っていた。
 時折感じる視線は完全に無視、気づかないふりをする。この会場には抜け目の無い人物が数人いるようだ。思った事は前途は多難だという事。

 手を組んだの悠奈であり、彼女の目的は全員のクリア。

 過去、一度たりとも前例の無いものだ。不可能に挑むと言ってもいいものであり、さらにプレイヤーは一癖も二癖もあるメンバー。それが、まだ半数しか集まっていないと言うのにだ。そして、この場所にいる人数の中で最大に妙なのが、物置の中にいるであろう人物。恐らく掃除用具入れだろうが、人1人はいるくらいの大きさはあるが、なぜ そこにいるのかが不明だった。

 どうやら、一波乱も二波乱もありそうだ。

「………」

 だが、自分にはそこまで関係の無い事だと言う事も改めて認識をしていた。
 なぜならば、トリガーを引き、ステージが変わったとしたら、全て意味を成さなくなるからだ。これまではそうだった。

 その時、悠奈がどう出てくるかは、解らないが。自分の首が飛ばない程度に付き合う事は約束していた。









 命を軽く見ているこの運営だが、今回のプレイヤーの1名の命は軽く見る事は出来ない。

 それはまるで、ダイヤモンドの様に固く、決して壊れず、更に どんな兵器よりも強く どんなコンピュータよりも頭が良い。

 普通であれば主導権を握っている以上は向こうが絶対有利の筈なのに、何故かわからないがカメラ越しなのに、不安が過ぎる。

 モニターの中で≪彼≫が笑うと、不気味に見えるのだ。背後に、もう1人別の何かがいる様な気がする。

「《死神》の参戦……か。確か、オレが操ったゲームの中で1度はあったかな……。あの≪死神≫と」

 ゆっくりと腰掛ける男が一人。
 この場所はコントロールシステムで溢れており、島中のカメラ、そして仕掛けを管理し、その映像も発信している場所。この舞台の核であるが、≪プレイヤー≫なら絶対にたどり着く事は無い場所でもある。だが、それでも完全に安心できないのだ。

「以前は、完全に舐めていたが……、コイツだけは舐めちゃいけねぇんだ。まぁ、お偉方達のお気に入りでもあるから、っつーのもあるんだろうがな」

 こちらの音声はOFFにしており、そしてカメラの先を見ていた。
 このカメラ先には金を持て余した者達の娯楽施設。カジノへと繋がっている。そこで、最大の目玉であり、見世物として行われているのが今回のゲーム。今回は特に人気だ。


 死神の参戦だから。


 そして、今回は趣向を凝らせてもある。一体どういう結末になるのか。

「それはオレの腕次第……って事だろうな」

 男は無意識に笑っていた。
 なんとも形容しがたい恐怖ににた何かを感じているのは事実だが……、これまでも何も無かったことも事実。あるのはあの男が生き残ると言う事実。死を司るとも思われた。故に死神と言う名がついたのだ。

「これから忙しくなる……か「おい! 運営! 聞こえているか!?」っと……、あのぼーやからか」

 笑いを浮かべ、今後のプランを頭の中で浮かべていた時、映像から声が響いてきた。
 モニターOFFにしているから、こちらの声があちらに漏れることは無い。だが、ゲームの内容の話の質問を返さない訳にはいかないから素早く男はスイッチを入れていた。











 説明会会場に姿を現したのは修平。
 修平はいくつかの疑問があったのだ。それは、この≪ゲーム≫を自分達より理解している者がいるかどうか、だ。説明会に来ているのは凡そ半数。イレギュラーがあったのかもしれないが、それにしても人数は少なすぎる。つまりは、経験者からの参戦者がいるか否かだ。そして、勝利の報酬があるとすれば、金目当ての参戦と、容易に推測ができるのだ。

 返答は、≪想像に任せる≫と言う言葉のみ。

 YESともNOとも言っていないが、それで十分だった。だが、これからが重要な部分だ。

「オレ達に与えられているクリア条件が途中で変更される事はありえるのか?」

 と言う内容だった。
 修平は、説明の時の運営の言い回しを不審に思っていたのだ。上げられたクリア条件の例が『例えば誰かのクリア条件が2のプレイヤーの死亡となった場合。』そして、『2のプレイヤーの生存とした場合』だった。

 これは、最初の例の≪なった≫と言う部分に着目した。これは明らかに変化した場合の表現であり、次の≪とした≫と言う言葉。

 同じ過程の話しなのだが、言い回しが違う事に疑問を覚えたのだ。

『……使い慣れた言葉を使ったから、言ってしまった』

 と言うのが一番しっくり来る。

 そして、それ以上にあの空間、説明会が始まる前の仄々とした空間の事だ。半数以上の人間がいて、あそこまで緊張感のないやり取りが出来ると言う事は、恐らくは殆どの人間が、先ほどの例であった≪死亡≫の条件が無いと推察できる。首輪が爆発すると書かれている以上は、冗談と思ってもクリアの条件が他者の死であればもう少し緊迫感があってもいいはず。だが、それすらない。

 つまり……、


 【クリアの為に争う理由が無い】と考えているという事になる。


 その過程が正しかったとして、どうすれば 見世物の様に盛り上がる展開になるのか?と考える。ここの運営側の物言いから、考えるに運営が直接 手を下して助長する真似はしないとまだ考えられる。その説明ははっきりと答えているのだ。つまり、十中八九何かの条件を満たしたら。

 【争いを助長する条件へと変化する】のだろう。

「……答えられないなら質問を変えよう。さっきの説明会でオレ達に伏せられている情報はあるのか? 例えばゲームの開催期間を会えて参加者に知らされていないように。盛り上げる為の演出の為にあえて伏せられているルールがあるのかってことだ」

 修平は質問の仕方を変えた。
 こういう言い回しをすれば、ゲームと関係無いとはいえないだろう。運営側もいい回しつつ言った言葉なのだから。だが、修平にはどっちでも良い。仮に言わなかったとしても、確信できる状況証拠は揃っているからだ。

『……はい。先ほどの説明が、このゲームにおける全てのルールではありません。秘められたルールをプレイヤーが考察するのも、ゲームの醍醐味と考えています』

 さして慌てる事も無く淡々と答える運営。

 それだけで十分だった。

 修平は質問を終えると、部屋を出て行こうとした。

 その時、呼び止められる。

 その次の一言は……身の毛もよだつほどの好奇心に満ちた嗜虐の微笑み。
 ただ短く。

『今後の活躍に期待しています。どうか、ご健闘を』

 そうとだけ、呟いていた。









































~プレイヤー・ナンバー~



 No. 氏名  解除条件


□ ??? 上野まり子  ??????????


□ ??? ????    ??????????


□ ??? ????    ??????????


□ 4 藤田修平   ??????????


□ ??? ????    ??????????


□ ??? ????    ??????????


□ 7 真島章則   ??????????


□ ??? ????    ??????????


□ ??? ????    ??????????


□ ??? 伊藤大祐   ??????????


□ J  藤堂悠奈   ??????????     
 更新:No.4と24時間行動を共にする。

□ ??? 阿刀田初音  ??????????


□ ??? 三ツ林司   ??????????


□ ??? ????    ??????????


□ XIV 日陰刀真  PDAを5台以上所持する。 
 更新:No.J、4と24時間行動を共にする。(離れる場合の制限は2時間以内とする)




 
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