銀河英雄伝説 エル・ファシルの逃亡者(旧版)

レビュー

  • 物語のダイナミックさ、詳細さ、綿密さは確かに新版なのですが、展開の面白さという一点においては私は旧版を推したいです。

    主人公が記憶を持ったまま、人生の岐路に再びタイムスリップするところから始まる「二度目の人生」。彼が「逃亡者とならなかったことで歴史が変わっていく」というif物。

     しかし、変わったところで超人でも天才でもない主人公は歴史に大きく関与はできない。迷いながらも歴史が微妙に違うだけで、大筋では変わらないことを感じながら、自分に出来る限りのことで受動的な立場から次第に能動的になっていく。

     俺様最強の二次創作が多い中、小説として読み応えある作品。同盟の登場人物も見方を変えればこういう評価になるかもしれないという納得感もある。