ロックマンX~朱の戦士~
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第四十八話 Death Flower Heart
前書き
デスフラワーの中枢へと向かうエックスとルイン。
エックスとルインはデスフラワーを止めるべく中枢部へと向かう。
中枢部だというのにやけに手薄だ。
しかし手薄の理由はすぐに理解した。
「侵入者ヲ、発見シマシタ。排除行動に、移リマス」
エックスが向かう先に、8体のレプリロイドが現れる。
かつては誰もが、絶大な実力を誇った一部のイレギュラーとレプリフォースの猛者達。
ウェブ・スパイダス
サイバー・クジャッカー
ストーム・フクロウル
マグマード・ドラグーン
ジェット・スティングレン
スプリット・マシュラーム
フロスト・キバトドス
スラッシュ・ビストレオ
エックス「デッドコピーか…」
知性を省き、単純に姿と性能だけを再現したもの。
最初の大戦の時からのシグマの常套手段。
基本的にはメカニロイドに用いられる技術。
だがここにいるは、コピーとはいえ一流の戦闘用レプリロイド。
その実力は、決して侮れないが…。
「侵入者排除…」
ルイン「笑わせないでよ」
エネルギーを拳に纏わせる武器であるΩナックルのチャージナックルがスパイダスのデッドコピーの顔面を粉砕した。
本物のスパイダスならこの程度の攻撃は容易くかわし、それだけでなく反撃しただろう。
エックス「姿だけを似せた物に今更負けるものか」
消耗が激しいアルティメットアーマーをフォースアーマーに戻し、Xブレードでクジャッカーを両断した。
サイバー・クジャッカーのみ、プログラムのために、空間を自在に移動出来る能力はデッドコピーで再現は出来なかったようだ。
次に2人がブレードとセイバーを振るい、ドラグーンを細切れに、キバトドスにはルインがオーバードライブによるチャージセイバーで粉砕し、フクロウルにはエックスがエイミングレーザーで視界を潰した後、ストックチャージショットで爆砕した。
素早いマシュラームはライトニングウェブで拘束し、ルインが雷神撃でとどめを刺し、ビストレオは岩砕刃で爪を破壊し、チャージブレードで横一文字に両断。
スティングレンはフロストタワーで凍結させ、ルインがダブルチャージウェーブを喰らわせた。
レプリロイドの皮を被った、メカニロイド以下のデッドコピー達は瞬く間に消え去ってしまった。
エックス「行こう」
ルイン「うん」
強い意志を瞳に宿しながらエックスとルインは足を動かした。
シグマ「さあ…クライマックスの始まりだ。世界滅亡へのカウントダウンのな…」
デスフラワーの制御室でコンソールパネルに指を躍らせながら、モニターに映し出される地球を前にシグマは漆黒のローブの奥で愉快そうに笑みを浮かべていた。
無論、そんな巨悪の思惑を阻止せんと立ちはだかる者達は居る。
制御室の扉が開きシグマの背後に待ち望んでいた来訪者達が姿を現したのはその時だった。
シグマ「フフフ…レプリフォースとイレギュラーハンターを潰し合わせるこの計画は実に上手く行ったよ。ダブルやディザイアを始め、我が手先達もよく働いてくれた…」
姿を現したエックスとルインを前に嘲るように嗤いながらシグマが口を開いた。
ルインは嫌悪感を露にし、エックスは圧倒的なエネルギー反応を示すシグマを前にしても怯むことなく、寧ろ挑発的に鼻を鳴らしてみせた。
ルイン「シグマ…よくもディザイアを利用してくれたね…死に損ないのくせに…」
エックス「ここまで来ると呆れと笑いしか沸いて来ないな。まるでゴキブリ並みのしぶとさだ。何度倒されても蘇るお前には最早怒りを通り越して哀れみすら感じるよ。蘇る度に地獄に送り返されるんだからな」
シグマ「ほざきおったなエックス。人間の飼い犬の分際で…。如何に貴様と言えど今の私に敵うはずもない。身の程を知るのは貴様らの方だ!!」
世界滅亡のカウントダウンが始まる中、数々の悲劇を生んだこの戦争の元凶を前に、エックスとルインの最後の戦いがまさに始まらんとしていた。
シグマ「さあエックス…ルイン…。地獄へと旅立つ準備は出来たかね?」
漆黒のローブに巨大な鎌。
その姿はまさに死神そのものだ。
見た目ばかりでない。
史上類を見ない世界規模の大戦を勃発させ計り知れない命を奪ったシグマを表すのに“死神”という呼称以上に当て嵌まるものは無いだろう。
ルイン「あなたに利用されたディザイア達の無念を思い知れ!!」
エックス「業火に焼かれて、消えてなくなれシグマ!!」
ルインのセイバーとエックスの拳に炎が纏われる。
ルイン「龍炎刃!!」
エックス「ライジングファイア!!」
龍炎刃とチャージライジングファイアの灼熱の炎がシグマを瞬時に包み込み凄まじい閃光と共にその全身を焼き尽くさんとするが…。
シグマ「温いわ!!」
エックス「何!?」
マントが焼けたのみでシグマ本人は全くの無傷。
余裕の笑みを浮かべながらシグマは巨大なビームサイズを軽々と2人に向けて投擲してくる。
エックスはエアダッシュで、ルインはダブルジャンプで回避した。
シグマが目からレーザーを放つが、エックスはホバリングで滞空し、ルインはΩナックルの強化された腕力で天井のパイプを掴んでやり過ごす。
レーザーが止んだ隙にフルチャージショットをシグマに喰らわせるルイン。
シグマ「チッ!!」
エックス「シグマ!!」
Xブレードを構えて切り掛かるエックス。
シグマはビームサイズを巧みに使い、エックスの斬撃を防いでいく。
シグマ「Xブレード…高出力のビームサーベルのようだが、それだけで調子に乗るなエックス!!」
その瞬間シグマの肩や脚などに奇抜な装飾品の様に装着されていた真紅のブーメランが、まるでそれぞれが意思を持っているかのように飛翔しエックスとルインに襲い掛かる。
ルイン「うっ!!」
エックス「ぐあっ!!」
シグマの放ったブーメランに全身を斬り裂かれ呻き声を上げるエックスとルイン。
必死にブーメランを回避しつつ反撃の態勢を取ろうとする2人を嘲笑う。
ルイン「ぐっ!!こんなもの!!」
その時、執念でブーメランの軌道をどうにか見極め振り切ったルインがΩナックルを構えた状態でシグマに挑みかかる。
ルイン「喰らえ!!アースクラッシュ!!」
シグマ「ぐあっ!?」
超圧縮したエネルギーを纏う拳を地面に叩きつけて拡散させるのではなく、直接シグマに叩きつけた。
ルインの思わぬ反撃に狼狽しつつ悲鳴を上げるシグマ。
しかし、ルインの右腕に亀裂が入る。
ジェネラル戦で使用したダブルアースクラッシュの影響が先程のアースクラッシュで現れたのだ。
ルイン「エックス!!」
腕の痛みに構わず、声を張り上げる。
エックス「ライトニングウェブ!!」
ライトニングウェブをシグマの足元に放ち、動きを拘束するエックス。
ルイン「シグマ…。私達2人を同時に相手取ってあなた1人で本気で勝てると踏んでるなら救いようのない大馬鹿だよ」
シグマ「な…何だと…?」
言い放つルインに鋭い視線を向けるシグマ。
ルイン「あなたには私もエックスも多くの物をあなたに奪われた。例え刺し違えてでもあなただけは確実に葬ってやる」
シグマ「ば…馬鹿め。如何にお前達と言えどその私に敵うはずがない。私に決して敗北など有り得ぬのだ!!」
エックス「終わりだよ。今度こそな!!砕け散れ!!ノヴァストライク!!」
ライトニングウェブで拘束されたシグマに渾身のノヴァストライクを繰り出すエックス。
まともに受けたシグマの身体全体に亀裂が入った。
そしてそこで。
ルイン「ダブルチャージウェーブ!!」
亀裂に吸い込まれるようにダブルチャージショットと衝撃波が炸裂した。
シグマ「ま、まさか…この私が倒れるなど…!!この私に敵うレプリロイドなど…」
敗北を信じられないままシグマは大爆発を起こした。
安堵の溜め息を吐いた瞬間、床が崩れ、エックス達は下の部屋に落とされた。
エックスはルインを抱えながら、ホバリングの要領でゆっくりと下りながら着地した。
ルイン「ありがとうエックス」
エックス「ああ、気をつけるんだルイン。」
ルインとエックスが周囲を見遣ると、前方にビーム砲を装備したメカニロイドの頭部にあるシグマの顔が嘲笑を浮かべた。
シグマ「フハハハハッ!!どうだこのパワーは!!さっきまでの私やジェネラルなど比べものにならん。エックス、ルイン。このまま宇宙の塵になるがいい!!」
エックス「…っ!!」
凄まじいエネルギー反応にエックスは無意識にフォースアーマーをアルティメットアーマーに変化させた。
巨大メカニロイドは手に持ったビーム砲をの照準をエックスとルインに合わせ先制攻撃を仕掛けてくる。
エックス「くっ!!」
ルイン「うあっ!!」
その凄まじい出力の前に敢え無く吹っ飛ばされるルインとエックス。
メカニロイドのシグマの顔目掛けてプラズマチャージショットとダブルチャージショットを喰らわせる。
シグマ「随分と弱い攻撃だ!!攻撃とはこうするのだ!!」
ビームを放ち、床を吹き飛ばすシグマにエックスとルインは吹き飛ばされながらも攻撃するが…。
エックス「ぐああああああああああっっ!!!!?」
エックスの全身を突き抜ける凄まじい電撃。
空中に目を向けると、シグマの顔を模した黄色いオブジェが浮かんでいる。
今度は青いオブジェが出現したかと思うと猛烈な吹雪が周囲に吹き荒れ、極低温の冷気が傷付いたエックスとルインの全身に容赦なく叩き付けられる。
ルインは即座にセイバーに炎を纏わせ、龍炎刃を繰り出してオブジェを破壊した。
エックス「よし!!」
エックスもプラズマチャージショットで黄色いオブジェを破壊した。
ルイン「オブジェは破壊した!!出てこいシグマ!!」
シグマ「愚か者め…オブジェは私の意志で何度でも出現させられるのだ!!しかもそれだけではないぞ!!」
2人の目の前で床が歪み、せり上がっていく。
そして姿を現したのは巨大なシグマの顔であった。
その瞬間、瓦礫交じりの猛烈な突風が2人の周囲に吹き荒れエックスもルインも背後の壁に叩きつけられ、散弾銃のように飛び交ってくる瓦礫に全身を打たれていった。
シグマ「どうだこの今までにない圧倒的なパワーは!!泣け!!喚け!!そして絶望の果てに死ぬがいい!!」
黄色いオブジェが電撃を、青いオブジェが冷気を、赤いオブジェが火炎をそれぞれ放ち容赦ない波状攻撃をエックスとルインに浴びせていく。
エックス「ギガ…ブレードッ!!」
ルイン「はああああっ!!」
しかしエックス達はバスターブレードの最大出力の斬撃とオーバードライブで強化されたチャージセイバーでオブジェを破壊し、床のシグマの顔に喰らわせた。
シグマ「ええい!!まだ諦めぬか!!」
ルイン「諦められるわけ…ないでしょ!!」
エックス「この戦いで犠牲になった彼等のためにも負けられないんだ!!それに人類抹殺と言う邪悪な野望を掲げ、何度でも甦るお前を放置出来るほど、俺達はお人よしじゃない!!」
シグマ「フン、人間共にその力を利用され続けている愚か者共に何が分かる。我々レプリロイドはこの世界の優良種なのだ。劣悪種たる人間共を駆逐し我らレプリロイドが全てを支配する新世界の創造。それこそが…」
エックス、ルイン「「クロスチャージショット!!」」
シグマの顔面に合体砲撃が炸裂する。
プラズマチャージショットの特性を引き継いでいるため、ノヴァストライクやギガブレード級の威力を誇りながらプラズマによる追加ダメージを与えていく。
エックス「黙れ。お前の口上はもう聞き飽きた。」
ルイン「今すぐその耳障りな口を塞いであげるよ」
シグマ「減らず口を!!ならば今度こそ跡形も無く消滅させてくれるわ!!羽虫の分際で私に逆らうことの愚かさをその身に刻み付けてくれる!!」
ゼロ「羽虫だと…?死に損ないのゴキブリ風情が言ってくれるじゃねえか。イレギュラーに堕ち、甦る度に荒唐無稽な理想を繰り返す今のお前の醜態は正直見てられんな」
シグマをゴミのように見下ろすのは、漆黒のアーマーを身に纏うイレギュラーハンター・ゼロであった。
シグマ「ゼロ…!!」
ゼロ「遅くなった。すまないエックス、ルイン」
エックス「いや大丈夫だ。それにしても…」
ルイン「その姿…」
ゼロ「Dr.ライトだ。彼が俺をパワーアップさせてくれたんだ」
何故かゼロはライト博士をDr.ライトと呼ぶ。
ケイン博士は爺と呼んでいるというのに。
差別だとケイン博士は嘆いていたりする。
ゼロ「しかし…」
ルイン「?」
ゼロは漆黒のアーマーをまじまじと見つめるルインを見ると、今の彼女の姿に既視感を感じた。
紅と黒を基調とし、翡翠のクリスタルが装着されたヘッドパーツに手に持つセイバーに見覚えがあるような気がした。
気のせいだと思ったゼロはZセイバーとトリプルロッドを構えてシグマを見遣る。
ジャンク屋のルナから購入した武器はもう自分の手に馴染んでいる。
エックスもバスターブレードを構え、ルインもバスターショットを構えた。
ルイン「行くよ!!ソニア。全Lv7!!」
ソニア[OK!!]
オーバードライブを発動し、ソニアに全レベルを解放する。
ゼロ「行くぞ…真の力を見せてやる…!!」
エックス「一気に行くぞ!!」
エックスとゼロもエネルギーを解放し、シグマを睨み据える。
まずは突っ込むのはルイン。
メカニロイドのシグマの顔面目掛けて、バスターショットを向ける。
シグマ「消え去れ小娘!!」
ルイン「ソウルボディ!!」
ビーム砲をルインに向けるシグマだが、エネルギー体の分身を放ち、シグマの視界を塞いだ。
シグマ「ぬっ!?」
ルイン「お願い!!」
ダブルジャンプで即座に離脱するルインは自分の後ろのゼロに向かって叫ぶ。
ゼロ「任せておけ。喰らえシグマ!!龍炎刃!!」
セイバーに炎を纏わせ、強烈な一撃をシグマの顔面に喰らわせる。
シグマ「ぬうう!!」
ゼロ「これで終わりだと思うな!!空円斬!!」
空中での回転斬りをシグマに喰らわせる。
床にシグマの顔が突風を起こそうとするが、ルインがそれを妨害する。
ルイン「でやああああ!!」
落下の勢いを利用して繰り出された左拳のチャージナックルにシグマの顔は口を閉じた。
ゼロ「任せたぞ」
エックス「了解!!はああああ!!!!」
バスターブレードをチャージし、顔面にチャージブレードを喰らわせるエックス。
エックスの渾身の斬撃を顔面に浴びシグマが呻く。
シグマ「ぐっ…やはり我が前に立ちはだかるのは貴様かエックス!!」
ルイン「エックスだけじゃない。私とゼロだって何度でも立ちはだかってやる!!」
ゼロ「それから最後は図体頼みってのも芸がないぜシグマ。まあ何時もの事だが…なっ!!」
拳にエネルギーを収束させ、それを広範囲に拡散させたエネルギー弾を炸裂させた。
ゼロの落鳳波は2体のシグマに同時にダメージを与える。
ルイン「毎回毎回やってるせいかパターン化してるしね!!」
ダブルチャージウェーブを床のシグマに喰らわせ、バスターショットを向けた。
ルイン「グランドハンター!!」
特殊武器エネルギーが続く限り放たれたエイ型メカは床のシグマの内部に侵入すると大爆発を起こし、爆砕した。
シグマ「ば、馬鹿な!!」
エックス「プラズマチャージショット!!」
片方の自身を破壊され、動揺したシグマにプラズマチャージショットが炸裂した。
エックス「うおおおお!!」
バスターをバスターブレードに切り替えると、ブレードを何度もシグマに叩きつける。
度重なるダメージにシグマの顔面に罅が入り、メカニロイドのボディにも亀裂が入り始める。
ゼロ「行くぞルイン!!今度こそ奴を葬る!!」
ルイン「OK、ゼロ!!」
ゼロとルインがダブルジャンプで跳躍し、セイバーでビーム砲と右肩を両断した。
エックス「ギガブレードッ!!」
続いてエックスが強烈な斬撃を繰り出し、左肩を粉砕した。
もうシグマに戦闘力は残されていない。
ゼロ「エックス、ルイン!!行くぞ!!」
トリプルロッドを強く握り締めるゼロ。
ルイン「これで最後!!」
セイバーを限界までチャージするルイン。
ゼロ「消え去れ!!俺達の悪夢よ!!」
ルイン「さようなら…私達の宿敵さん!!」
出力を限界まで引き出したトリプルロッドを投擲し、ルインもチャージしたセイバーを投擲した。
エックス「これで終わりだシグマ!!」
アルティメットアーマーが分離し、飛行形態に変形した。
アーマーが凄まじいエネルギーを纏い、シグマに突っ込んだ。
シグマ「ぐああああああああ!!?わ、私がまた奴らに敗れるとは…!!し、しかしこの兵器は既に地球に向けられている…地球は終わりだ!!」
シグマは爆散した。
シグマのエネルギー反応がないのを確認してエックス達は急いで動力炉に向かう。
エックス「(このアーマーはもう使えないな)」
最後の一撃はアルティメットアーマーの出力を限界以上まで引き出したものだ。
その負担は絶大でアルティメットアーマーはフォースアーマーに戻ってはいたが、ベースとなるフォースアーマーには所々に亀裂が入り、もう使い物にならないくらい破損していた。
そして動力室に着いたエックス達の前にはジェネラルがいた。
ルイン「ジェネラル将軍!!デスフラワーが…」
ジェネラル「分かっている…私のボディを使えばこの兵器を止められる」
ジェネラルの言葉に対しエックス達に明らかな動揺が走る。
その巨体を動かす為にジェネラルには大出力の動力炉が搭載されている。
その爆発力の凄まじさは普通のレプリロイドのそれなど軽く凌駕し、核弾頭ミサイルにも匹敵する破壊力があるのだ。
ゼロ「だが、それではあんたが!!」
ジェネラル「カーネルや多くの部下を死なせておきながら償いをしないわけにもいくまい。さらばだ若者達よ」
エックス「ジェネラルーーーっ!!!!」
動力炉に落下していくジェネラルを止めようとするエックスだが、ゼロとルインに止められ、急いでシャトルに乗り込んで脱出する。
そしてエックス達がデスフラワーを脱出した後、レプリフォースが誇りし最終兵器たる死の華が存在していた地点を中心に、宇宙空間に巨大な閃光が広がっていった。
それを悲しげに見つめるルイン。
傍らにはエネルギーを使いすぎて初期状態に戻ったソニア。
ゼロは壁に背を預けながら、宇宙を見つめる。
エックスはシャトルを自動操縦に切り替えるとゼロの元に向かう。
エックス「これを」
ゼロ「?」
エックスが差し出したDNAデータに疑問符を浮かべるが、次に差し出したサーベルを見て、ゼロはDNAデータの正体に気づいた。
ゼロ「カーネルのDNAデータか…」
カーネルのサーベルとDNAデータを受け取りながら、ゼロは悲しげに呟いた。
エックスはルインの元に向かうと、ディザイアのサーベルを差し出した。
ルイン「これ…!!」
エックス「彼の使っていたサーベル。俺より君が持っていた方がいい。形見として持っていてくれないか?」
ルイン「うん…ごめん…少し1人にさせて…」
エックス「分かった…」
ルインは奥へと引っ込み、エックスは操縦席に座って息を吐いた。
少しして、奥からルインの押し殺したような泣き声が聞こえてきた。
エックスもゼロも悲しげにデスフラワーのあった方を見遣った。
心が…感情がイレギュラーと見做される行為に走る切っ掛けとなった今回の事件。
ならば心を持ちより人間に近い思考回路を持つレプリロイドとはイレギュラーと同義なのではないか。
エックスの心中をそんな不安が過ぎっていく。
エックス「なあ、ゼロ…」
ゼロ「…どうした?」
不意に声を掛けられて、やや驚いた様にゼロがエックスに目を向ける。
エックス「もし…俺がイレギュラー化したら、君が処理してくれ」
エックスの言葉に驚愕するように目を見開いたゼロだが、その問い掛けには答えようともせずに憮然としたまま前方に目を向けた。
ゼロにとって残酷な願いだとはエックスにも自覚がある。
だがそれ以上に自身がイレギュラー化した場合の事を思うと、そう願わずにはいられない。
不安を感じてならないのだ。
エックス「約束だよ…ゼロ…」
ゼロに向かって言い放つエックス。
ゼロが受け入れてくれるかどうかは分からない。
しかしエックスとしてはこの約束だけは何が何でも譲れはしない。
何かの間違いで自分が暴走してしまったら、それを止められるのも…また止めて欲しいのもゼロ以外にありはしないのだ。
…戦いは終わった。
しかし、エックスの心を例えようのない不安がよぎる。
“イレギュラー”とは、一体何なのか?
…もしかしたら、自分自身もイレギュラーとなってしまうのか?
そしてゼロも蘇りつつある過去の記憶が自身の心に迷いを生じさせる。
…イレギュラーを許せないハンターとしての自分……。
“あいつ”を倒す定めを負った、本当の自分…。
そしてルインは部下の…そして自分を愛してくれた男を思いながら涙を流した…。
彼を救えなかった自身に憤りながら、サーベルを見つめた。
愛ゆえにイレギュラーとなった彼。
感情があるからイレギュラーとなることを本当の意味で気付かされたルインも自分がイレギュラーとなり、エックスや仲間を傷つけてしまうのではないかと恐怖を抱き始めた。
不吉な予感は現実となり、3人のハンターを運命の戦いへと導く。
そう遠くない未来で…。
後書き
シグマ撃破
次回は少し日常を書いて、X5に。
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