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保育園の先生

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第七章


第七章

「その時にな」
「どう答えるんだ?」
「どうしたものかな」
 ここに至って迷いを見せてしまった。
「本当にな」
「返答は出すしかないしな」
「そうだよな」
 それは絶対であった。彼等が言うまでもない。
「それじゃあ一体」
「どうする?」
「その時まで時間がないぞ」
「とりあえずな」
 ここでだ。彼は言った。
「俺が思うことをありのまま言うよ」
「御前のか」
「ありのままをか」
「ああ、言う」
 こうはっきりと言った。
「あの人にな」
「じゃあそうしろ」
「それが一番いいって思うんならな」
「俺達はそれに反対しないからな」
 友人達は彼の言葉にその本心を見た。それならばと。彼等もまた頷いてそのうえでだ。彼に対して告げたのである。
「いいな、御前の心をな」
「ぶつけるんだ」
「そうするよ」
 彼は決意した。両親との話もそんな風であった。ただし両親は彼に対してこんなことも言ったことが違っていた。
「いいか、それならだ」
「このことは忘れるのよ」
 こう我が子に対して言う。家の食事のテーブルにそれぞれ座ってだ。そのうえでの家族会議において告げるのだった。
「歳の差のことはな」
「それはね」
「それはなんだ」
 このことはだ。彼にとっては意外だった。まず反対されるなら歳の差のことだと考えていたからだ。しかしそれは違っていたのだ。
「それはいいんだ」
「そんなこと関係あるものか」
「そうよ」
 両親は強い言葉で告げた。
「お父さんとお母さんだってな」
「七つ違いよ」
 二人もだというのである。
「お父さんの方が年上だけれどな」
「それが逆になっただけじゃない」
「それだけなんだ」
 そう言われるとだった。意外な顔になる彼だった。
「歳の差って」
「世の中十歳以上離れている夫婦だってあるんだぞ」
「それも普通なのよ」
「大事なことじゃないんだ」
「そんなことよりもだ」
「大事なことがあるわよ」
 両親は回り道をしなかった。ずばり核心を突いて話をしていた。
「それは心だ」
「それよ」
「心・・・・・・」
 奇しくか当然のことか。淳博自身が友人達に言ったことがそのままだ。両親の口から彼に対して話されたのである。
「心なんだ」
「そうだ、心だ」
「あんたの心よ」
 それだというのである。
「その人に対してどう思っているか」
「そのことが大切なのよ」
「そうなんだ」
 それを聞いてだ。淳博は考える顔になっていた。
 そうしてだ。彼は両親に対しても言った。
「それなら」
「ああ、それなら」
「どうするの?」
「俺のありのまま思っていることを言うよ」
 やはり言うのはこのことだった。
「それをさ」
「そうするか」
「それでいいのね」
「ああ、そうするよ」
 また言ってみせた。
「それが正しいかどうかわからないけれどね」
「そうか。じゃあそうしろ」
「それが一番と思っているのならね」
「どうなるかわからないけれどそれでもね」
 また言う淳博だった。
 
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