五流の悪役
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第五章
彼等は描いていった、実際に主人公チームは彼等を完膚なきまで叩きのめしたが彼等はそこでも実質勝利だの運営委員会に抗議だのした。そうして最後の最後まで醜い姿を見せたのである。
その彼等を見てだ、読者達は最後の最後まで不愉快な思いをした。それで彼等はこう言ったのだった。
「何ていうかな」
「徹底してるな、こいつ等」
「下衆もここまでくると見事だな」
「ザ=下衆だな」
「下劣過ぎるな」
「最低の最低だろ」
「下の下以下だよ」
そこまで酷いというのだ。
「負けてからも揉めるとかな」
「潔さは微塵もないな」
「作者もこんなチームよく思いついたな」
「読んでいて実に不愉快だったけれどな」
「勝った時は喜べたのにな」
「まだあったなんてな」
「流石に運営委員会は無視したけれどな」
その抗議をだというのだ。
「けれどな」
「不愉快な敵だったな」
「最低だったよ」
こう話すのだった、とにかくこのチームは悪い意味でインパクトがあった。高野と椎名も新しい相手との対決を描きながら話した。
やはり打ち合わせの場所はファミレスだ、そこでだった。椎名は会心の笑みでこう高野に言った。
「不愉快極まりなかったけれど」
「大成功でしたね」
「ああ、読者アンケート凄かったよ」
「トップでしたね」
「ダントツでね」
「ネットでも凄く書かれていましたね」
「うん、祭りだったよ」
そこまで評判だったというのだ。
「まさに」
「そうですよね、俺も見ましたけれど」
高野もネットをチェックしている、そこで彼が見たのだ。
「連載中凄まじかったですよ」
「うん、まあ実際にはな」
「こんな連中いませんよね」
「いたら凄いよ、怖いよ」
椎名は笑って高野の言葉を否定した。
「ここまで最低な連中はね」
「そうですね、いないから描けたんであって」
「こんなスポーツマンシップのない奴等いないから」
「スポーツをするのなら」
「ないない、絶対にいないよ」
「そうですよね」
こう二人で話すのだった、そしてだった。
二人はそれからもその漫画を描き続けた、そしてその中でだった。
日本ととある国のスポーツの試合を観た、そのうえで呆れて呟いた。
「いましたね、本当に」
「うん、いたね」
呆然として二人で話した。
「俺達が描いた連中が」
「実在したね」
「いや、事実は本当に」
「創作より凄いよ」
二人は顎が外れそうになる位驚いていた、日本はそのチームと戦い苦しめられていた。彼等のあまりものスポーツマンシップのなさに。
それでだ、二人はこうも言うのだった。
「それが日本に関わってくるなんて」
「嫌なことだよ、祟りみたいだ」
「全くですね」
「どうにかならないかな」
こうテレビで観戦しながら話した。本当に事実は漫画より奇である。
五流の悪役 完
2014・3・28
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