五流の悪役
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第四章
「主人公達も容赦するなよな」
「こうした連中こそ徹底的にやられるべきなんだよ」
「掛け値なしの屑じゃねえか」
「屑は滅びろよ」
「もうそれがお似合いだよ」
「さっさとな」
「そうなっちまえよ」
こうした反響だった、椎名は打ち合わせの時に高野にこのことを話した、見れば彼の顔は会心の笑顔である。
「凄いよ、大人気だよ」
「ある意味で、ですね」
「ああ、最低の悪役としてさ」
「幾ら何でもっていう相手ですからね」
「うん、嫌われてるよ」
最早何の遠慮もなくだ、読者達から見ても。
「もう早く負けろってさ」
「それも徹底的にですか」
「圧倒的大差でな」
主人公達が正々堂々とした結果だ。
「勧善懲悪の感じで勝って」
「そうしてですか」
「勝って欲しいって」
「読者さん達が言ってくれてるんですね」
「そうなんだよ、それで先生はどう思うかな」
この時は真剣な顔になってだ、椎名は高野に尋ねた。
「このチームはどうなるのか」
「それはやっぱり」
作者である高野にとってもだった、こうしたチームは。
「もうぎったんぎったんに」
「やられないとだね」
「はい、そう思います」
こう椎名に答えた。
「本当に」
「そうだよね、僕もね」
「椎名さんもですね」
「こんなチーム許せないよ」
怒っていた、声も顔も。
「自分でどうかって思ってアイディア出したチームだけれど」
「それでもですよね」
「やっぱりさ、漫画でもスポーツに携わっているとね」
「スポーツマンシップですね」
「それがあるからね」
だからだとだ、椎名も言うのだった。
「それでだよ」
「こうしたチームは」
「負けて欲しいよ」
心からの言葉だった。
「もう二度と起き上がれない位にね」
「主人公達が叩きのめして」
「そうして勝たないとね」
「そうですね、俺もそう思います」
その通りだとだ、高野も椎名に答えた。
「描いていて」
「こんな奴等には負けたら駄目ですよ」
「本当にね。外道もいいところだからね」
「ここまで嫌われるチームなんてないですよ」
「全くだよ、ただね」
「主人公達が勝ってもですよね」
「まだしてくるから」
椎名は嫌そうに高野に話した。
「ごねて実質勝利とかこっちが反則をしたとかね」
「そうした相手にするからですね」
「そうだよ、もう最悪の悪役だから」
「最低最悪ですよね」
「何の共感も湧かない」
ただ嫌悪感だけが湧く、だ。
「そうした相手だからね」
「じゃあこの連中との勝負は」
「徹底的に描いていこうよ、まあ今後出さないってことで」
「描く方もむかつきますからね」
笑ってだ、こう言った高野だった。
「今度からは普通の正統派ライバルチームでいきましょう」
「ああ、この連中はゲストの解説者的存在としても出さずに」
「そういうことで」
二人はこのチームとの戦いの顛末の打ち合わせもした、そしてだった。
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