リメイク版FF3・短編集
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兄弟姉妹になれたなら
前書き
エリアさんがご存命で、水のクリスタル編以降も行動を共にしていたら………の、もしも話。
とある宿屋ロビーの、テーブルを挟んだ向かい合わせの席にて。
「 ────こうしてイングズとエリア二人並んで座らせると、美人兄妹か何かみたいねっ?」
「そうだね、街の中を二人並んで歩いてるだけでも注目の的だし、何かもう、眩しいくらいだよ……」
「確かに金髪と目の色似てるぽいしなぁ? おれ、こんな兄貴と姉ちゃんほしい……!」
「さ、3人してまじまじと見つめないでくれないか。……巫女にも、失礼だろう」
正面からレフィアとアルクゥ、横からルーネスにじぃっと見つめられ、イングズは気恥ずかしいようだがエリアは嬉しそうに微笑んだ。
「 ───ではイングズさんは、わたしの"兄さま"ですね?」
「「「 は………?? 」」」
4人は一瞬驚いて目を見張る。
「わたしが妹では……、ご迷惑ですか?」
「そ、そういう訳では──── 」
しゅん、としたエリアにイングズは少々慌てる。
「じゃあ、おれが代わりにエリアの兄さまに……!!」
「あんたじゃ似ても似つかないわよっ」
名乗りを上げたルーネスを一蹴するレフィア。
「ならエリアは、おれの"姉さま"……!?」
「ルーネス、君何がしたいのさ……」
アルクゥは呆れ気味で、イングズはルーネスをたしなめようとする。
「余り勝手な事を云って巫女を困らせるな、ルーネス」
「ふふ……、そんな事ありませんよ。あなた達はそれこそ兄弟のようで、微笑ましいです」
「そうだろ~? やっぱ長男はおれだよなぁ!」
「あんたよくそんな事云えたもんねっ、どう控え目に見ても次男坊でしょーが!!」
「え~、イングズはおれの"弟"だぜっ?」
「 ────── 」
ルーネスはイングズの肩に腕を置くが、その位置は少しばかり高めだ。
「う~ん……、イングズが弟にしてはルーネスより育ちが早すぎるというか────そういうパターンもありかもしれないけど、ちょっと無理あるよ?」
アルクゥが冷静に指摘するが、ルーネスは納得しない。
「いいんだよ! どうせこの先、おれが背ぇ抜いてやるんだから!!」
「ほう、面白い。その暁には"兄上"とでも呼んでやろうか」
「おぉ! 何なら"お兄ちゃま"って呼ばしてやるかっ?」
「ふふふ……、ルーネスとイングズさん可愛いですね」
「ちょ、エリア何云ってるの、ただのバカよその二人っ」
「僕はどうしたってイングズとルーネスの弟で、三男だろうね……。はぁ」
「あらアルクゥ、それだけじゃないわ? あたしの弟でもあるんだから実際は四番目の末っ子ね!」
「うん、レフィア、それ分かってる」
「では、わたしはどの辺りに入るのでしょう?」
小首を傾げて問うエリア。
「いいよエリアさん、僕より上で。五番目の末っ子だよ僕は………」
「いいんですか、アルクゥ? じゃあわたし、あなたの姉さまですね!」
にっこりされて、アルクゥはどぎまぎする。
「エリアさんが、僕の姉さま────(それだけで、ドキドキするよっ)」
「云っとくけどルーネス、あたしはあんたよりお姉さんだからねっ!」
「はぁ? 何云ってんだ、おれの方がレフィアの兄ちゃんだ!!」
「そんなのお断りっ! あんたみたいなバカなお兄ちゃんより、バカな弟の方がまだマシよ!!」
「バカバカ云うな! おれはそんな性格キッツイ姉ちゃんなんて持ちたくないね!? どうせならエリアみたいな超絶キレイで優しい姉さんの方が断然いい!!」
「 ────あら? それならルーネスもわたしの弟ですね!」
「あぁ、もちろんっ!………へ? アレっ??」
「レフィアと巫女に弟扱いされるのも無理はないな、ルーネス」
イングズは、呆れたような可笑しいような微笑を浮かべている。
「レフィアは……、わたしの姉さまですか? それとも妹?」
「えっ? そ、そうねぇ………」
レフィアは何故か、躊躇している。
「レフィアはしっかりしていますから、きっとわたしの姉さまですね」
「い、いえっ、いいの! 譲るわ、姉さまはエリアにっ」
「え……、いいんですか?」
「あなたの方が、あたしより上品でおしとやかで綺麗で可愛いくて優しくて────(胸もあたしよりあるみたいだし……っ) もう色々負けちゃってるからいいわ、あたしが妹でっ」
「レフィア……、そんなあからさまにコンプレックス抱かなくても」
アルクゥは、つい同情を寄せてしまう。
「分かりました。わたし、3人の姉さまですね。そしてイングズさんは────やはり兄さまですよね?」
「わ、私が巫女の兄というのは、おこがましいと思うんだが………」
「そうだ! イングズもエリアの弟になっちまえっ! ついでにおれの弟にも……!!」
「 ルーネス? 兄さまに口答えするものではありません。弟らしく、振る舞うのですよ?」
「へっ? あ、ハイ、姉さん……。ごめんなさい、兄さんっ」
「いや、別にどうという事は──── 」
「兄さまも兄さまらしく、威厳を持って下さいね?」
「 しょ、承知した 」
そんな3人のやり取りを見て、微笑ましく感じるアルクゥとレフィア。
「姉さまに頭上がらない弟と兄さまって感じだね?」
「いいじゃない、エリア嬉しそうだもの!」
END
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