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『自分:第1章』

作者:零那
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『一生の後悔』

近所の人に口が悪いと言われた。
挨拶してた。
何かして貰えば御礼もしてた。

『あんたんとこは親があんなんやから』そんな風に言われた。
母さんは言われてもしゃあない。
父さんは違う。
帰って来んのは母さんのせいや。
母さんがこんなんやから。
父さんに逢えん娘の立場は?


子供を甘く見るな。
解ってる。
父さんは優しい。
母さんのせいで、帰って来んなって酒浸りになって...
仕方ないやん。
こんな家やで。
帰って来たく無いわ。


母さんも、暴力振るわれて当然。
悪いけど同情の欠片も無いで。
『かわいそう』なんかじゃ無い。


ただ、殴ってる父さんの顔は怖かった。
それでも父さんは悪く無い。


いつもより激しく暴れた日、兄と姉が台所で包丁を握ってた。
兄は父さんがキライ。
零那を3歳迄育児したのは兄。
零那の悪戯や夜泣きのせいで、兄は父さんから厳しく叱られてきた。


零那にとって父さんは優しい人。
でも兄にとっては違う。


でも、そんな父さんを零那は裏切った。
人生最大の一生の後悔。



兄と姉が包丁を持ってるのを知ってか知らずか母さんが飛び出した。

玄関で体育座りしてた零那の前を勢い良く。


何も持たずに。
兄も姉も続いて飛び出した。
兄に名前を叫ばれた気がした。
わからんけど。
条件反射だったんかもしれんけど。
飛び出した。


父さんを裏切った瞬間。


冷静だったら、間違いなく父さんと残ってた。
あんな女には絶対ついて行かなんだ。
母さんを庇う兄と姉が理解できん。


帰りたい。
父さん、追いかけて来んのかな。
なんで今此処に居るんやろ。
帰りたい。
兄がシッカリ零那の手首を持ってて引き帰せれん。


母さんは、公衆電話で、ポケットから出した小銭で、何人かに泊めて欲しいとお願いしてた。


ずっとずっと、後ろが気になって...父さん来てくれんのんかなって...探してた。


裏切ったのは零那。
父さんのこと好きなくせに。
父さんを悪者扱いする側に...
ついてきてしまってる...


母さんは7人兄姉の7人目。
上5人とは異父兄姉。
だから?
何処の家に世話になっても皆が冷たかった。
性格悪い子供が多かった。
他人のこと言えんけど。


とにかく女は皆、姑息で汚かった。
仲良くなることは無かった。


男の子達は暴力的なんばっかりだった。

今思えば母さんの親の血筋自体が問題ある。


父さんから連絡は無い。 
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