『自分:第1章』
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
『零那就学』
父さんに制服を着せて貰った記憶がある。
入学式やったからかな?
初めて、まともに顔合わせた。
恥ずかしくて緊張して...
でも、凄く優しい笑顔。
凄く大好き。
凄く嬉しかった。
着せて貰った薄い茶色のブレザーはブカブカ。
着心地が悪かった。
家で着てる服は小さくてキツかった。
だから尚更大きい服に違和感があった。
友達はすぐにできた。
誰かと話すのが楽しくて仕方なかった。
6~7人位で一緒に帰ってた。
勉強も楽しかった。
鉄棒が好きになった。
スカート廻りが大得意で100回できるようになった。
避難訓練の時に私語をしていて怒られた。
毎日、学校に行けることが救いだった。
あの母親が居ない空間、それがこんなに楽しい世界だったんだと。
同級生がクラスに来て『あんたの父さんがウチの父さんイジメよんやけど!!』と、怒鳴り込みに来た。
『父さんの仕返し』って、腕を取られ、雑巾絞りされた。
父さんと喋ることさえままならん娘の立場からしたら『なんでおどれが父さんのこと』...って、妙な嫉妬があった。
苛ついた。
家が苦痛で仕方ない。
学校が楽しくて仕方ない。
父さんに逢うことは叶わず。
凄く淋しかった。
ページ上へ戻る