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魔法少女リリカルなのは 永久-とわ-の約束

作者:ULLR
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無印編
ジュエルシードを求めて
  プロローグ

 
前書き
ちょくちょく書いて来たなのは二次。 

 
 

夢を見ている。全てが満ち足りていた、あの穏やかな日々に至り、移ろいで行く夢。
 


初めは白い天井。感じるのは痛み。次は不毛の大地。感じるのは憎しみ……そして寂しさ。
 目の前に人影が現れる。優しくされる。それから、毎日が幸せだった。
 リリア様はお優しい方だ。忙しいのに毎日声をかけて下さる。ミリィ様との時間もなるべく作って一緒にいてあげている。本当に完璧な人だ。
 グレンは真面目なヤツだ。最年少のくせして仲間の中で一番しっかりしている。歳の近いミリィ様はよく懐いている。
 アリスは堅苦しい。でも、少し天然でよく研究室をうっかり消滅させている。リリア様は大笑いしてるけど。
 アイギスは少し怖い。後頭がおかしい。コイツもよく研究室を消滅させている。ただし、こっちは半ば故意に。リリア様、少しは叱った方が良いんじゃないだろうか?
 ジンはうざいヤツだ。何かと俺に絡んできて喧嘩を売ってくる。筋肉怪力馬鹿。コイツのせいでミリィ様が変な事を覚える。
 ハウルは大人っぽい。頭が良くて、何でも知っていて色々と教えてくれる。配下の獣達も良い奴らだ。でもミリィ様のいたずらによく引っかかる。怒ると怖く、いたずらの責任を取って怒られるグレンも俺もその時ばかりは何も言えない。

 ミリィ様はとても可愛らしい。リリア様譲りの茶色掛かった髪をなびかせ、あちこちを走り回っている。お守り係のグレンと俺を引っ張り回し、とても楽しそうにしていらっしゃる。

 毎日が楽しかった。たまに起こる戦争が起こるのが玉に傷だけど、六柱の誰かが出向けばすぐに解決だ。次元世界を統一したその力は伊達ではない。
 リリア様の手を煩わせないように、ミリィ様に寂しい思いをさせないように、俺達は負ける訳にはいかなかった。戦場に出向き、帝国に仇を成す敵を殲滅し帰ってくる。待っているのはいつも優しい君主と愛しい姫君。そして、騒がしくも頼もしい仲間達。

 ずっと、そんな日が続くと思っていた。あの日、あの知らせを受けるまでは…………。







 夢が醒め、微睡みから浮かび上がる。腕の待機状態のデバイスがアラームをしきりに鳴らしていた。

「ん……?」

 朝日が安宿の窓から射し込んでいた。遮光のためのカーテンすら無いが、不満は無い。所詮は放浪の身だ。雨風が凌げれば風邪を引くこともない。頑丈な身故に出来る事だが。

「どちら様、と…………ユーノ?」

 連絡が来たのは旧知の―――と言ってもここ7、8年くらいの話だが―――人物。

(遺跡から発掘したロストロギアが管理外世界で行方不明……か。ユー坊もかわいそうに)

 本来真っ先に対処すべき存在は法と秩序の番人《時空管理局》のはずだが、どうもやつらは初動が遅い。
 ロストロギアは放っておけるシロモノでもないのにお気楽なやつらだ。

 ……まあ、ユーノはあいつがよちよち歩きの頃から知っている俺としては手伝いも吝かではないが……
 フリーの魔導師の真似事をしている身としてはタダ働きとなる。場所は第97管理外世界『地球』。行ったことのない世界だ。

「ん、続きが……?」

 文章をスクロールさせていくと、そこにはぼやけていた意識を一気に覚醒させる事が書かれていた。

(魔法文化の無い管理外世界に高位の魔法資質を持った子供、か)

 にわかに信じられないと思いながらユーノからのメッセージを最後まで読み進める。そしてしばし黙考する。

「なるほど……」

 荷物をまとめ、デバイスのストレージに入れると外へ出る。イガラっぽい空気に顔をしかめると足下に次元間転移魔方陣を展開する。手続き無しの違法渡航だが気にしない。管理局の狗が捕まえに来たら畳んで本局に送り返すだけだ。
 座標を入力し、群青色の魔力光が彼を包む。次の瞬間、そこには誰も居なかった。

 第97管理外世界『地球』の極東エリア『日本』。そこにある普通の街で物語は始まる。それは止まった『時』が動き出す些細な……しかし後に次元世界に影響する大事な出会い。平凡だった小さな少女、その仲間達と―――

 ―――悠久の時を生きる最古の魔導師達との―――

 ―――運命の出会いだった。 
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