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第四章

「いいと思うぞ」
「そうだよな、じゃあな」
 爺さんに言われてだ、ノドムはすぐにだった。
 その娘のところに行った、それで話をした。
「あの、君って」
「はい?」
「ちょっとお話したいけれどいいかな」
「あれっ、あんた確か」
 女の方からだ、彼にこう言ってきた。
「あれよね、隣村の」
「あっ、俺のこと知ってる?」
「ノドムさんよね」
「何で俺のこと知ってるのかな」
「覚えてないの?シーラよ」
 女は笑って彼に自分の名前を言ってきた。
「シーラ=ナム=ジェムよ」
「子供の頃よく一緒に遊んだ」
「そうよ、覚えてるわよね」
「そういえば」
 そう言われてだ、ノドムも思い出した。幼い時にだ。
「この村に来た時に」
「よく一緒に遊んだわよね」
「シーラちゃんか」
「そうよ、ノドム君」 
 シーラは微笑んでノドムに親しく言ってきた。
「久しぶりね」
「まだこの村にいたんだ」
「家で働いてるわ」
 つまりだ、農業をしているというのだ。
「学校を出てからね」
「俺もだよ」
「ノドム君も農業してるのね」
「そうだよ、魚も獲ったりしてさ」
「そうなのね」
「そうだよ、それでシーラちゃんさ」
 今度はノドムからシーラに対して言った。
「今一人かな」
「独身かっていうのね」
「そう、どうかな」
「相手いないのよ」
 少し苦笑いになってだ、シーラはノドムに答えた。
「これがね」
「そうなんだ」
「お家はそのままよ」
 昔の家に子供の頃から住んでいるというのだ。
「それならわかるでしょ」
「うん、あの家だね」
「それはノドム君もよね」
「変わらないさ、ずっと」
 ノドムは笑ってシーラに答えた。
「俺は」
「そうなのね」
「ああ、お互い一緒なんだな」
「そうね、それじゃあね」
「それじゃあ?」
「今ね、私言われてるのよ」
 また苦笑いになってだ、シーラはノドムに言ってきた。
「親にね。結婚しろって」
「シーラちゃんもいい歳だからね」
「そうなのよ、だからね」
「?だからって」
「そう、ノドム君がよかったら」
「えっ、俺となんだ」
「どう?お互い知らない仲でもないし」
 シーラがこう言うとだった、それまで二人を見ていた爺さんが出て来てだ、ノドムに対して強い声で言ってきた。
「おい、話は全部聞いたぞ」
「あっ、爺さん」
「あっ、ではない。とにかくな」
「とにかく?」
「これはまさに天佑じゃ」
 そこまでのものだというのだ。 
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