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子虎迷走記

作者:蒼鈴六花
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第11話 距離の縮め方 後編

 
前書き
すみません。だいぶ遅くなりましたが最新話です。
これでようやっと原作6話終了。

時空を渡る精霊を完結させた時も思ったけど……待ってくれてる人っているのかな?
めちゃくちゃ更新ペース遅いから……
なんとか早くしたいなぁ。
 

 
集いの泉。

皆で話し合った結果、思ったよりも結構状況はひどかった。
自体は一刻の猶予もない。

森の被害の元凶はジルコーダなのだ。

メイトルパに棲む蟲で名前の意味は食い破る者。
その名の通り、興奮状態に陥ると手当たり次第に周囲の物を噛み砕いて回る習性を持つ。
しかもその興奮は仲間にも伝染する。

まとめると……
喚起の門の暴走による誓約の果たされていないはぐれ召喚獣としてジルコーダ達は呼び出され、突然呼び出されたジルコーダは興奮して手当たり次第に森を破壊している、だ。

キュウマ曰く、過去にも今回のような事が起こった事があるらしいが、今回は事態が深刻なようだ。

なんでもジルコーダは餌となる植物がある限りすさまじい勢いで増えるらしいのだ。
緑豊かなこの島は奴らにとって格好の餌場。
つまり、このまま放って置けば島の自然は破壊され、ジルコーダまみれになってしまうと言う事だ。

護人達は俺達に協力を頼むが、こちらにはまともな武器がない。
魔獣相手には少し不安だと言う事で護人達は武器を提供してくれた。

その中に銃が含まれていてソノラ暴走。

「こらっ!落ち着けソノラ!」

兄貴であるカイルが責任を持ってソノラを鎮め、船へと戻し、話を進めた。

そして、続きだが……巣の場所はヤッファとキュウマが調べてくれたので準備が整いしだい集いの泉に集合となった。

話し合いが終わり、最後に残ったヤッファが確認としてレックスに帝国軍の事を聞いていたが、帝国軍隊長の知り合いは目的のものがはっきりしている以上他の対象に攻撃をしないらしいので俺達が出ている間に集落が襲われる心配はなさそうだ。

しかしこれ以外もヤッファの懸念は残っているらしい。
ヤッファは盗み聞きしていたマルルゥを呼ぶ。

花の匂いがしていたからいると思ってた。

俺達は大丈夫だから集落に帰るようにマルルゥを説得した。
ヤッファは宴会の準備でもして待ってろと言うとマルルゥは少し不安はあるものの帰っていった。

そして俺達は解散したのだが……俺とレックスは特に準備する物がない。
俺に装備品は必要ないし、レックスがもらった武器を装備して古い武器を船に置いたくらいかな?

時間の余った俺達は集落を見て回る事にした。

そして……



魔坑。

巣に向かうとそこはジルコーダだらけだった。
うじゃうじゃと巣の中を這い回るジルコーダを見るとちょっと寒気がする。

こんな数に集落を襲われたらたまったもんじゃない!
というかこれ皆倒すのか!?

そう思ったが、倒すのは女王だけだとヤッファが言った。
そいつを倒せばこれ以上ジルコーダは増えないらしいので女王倒したら少しずつ撃破する。

しかし、女王までは強行突破でたどり着く事はできない。
なので、二手に別れて一方は蟲を引き付け、もう一方が女王を叩く。

俺とレックスは迷わず女王を叩く方を引き受ける事にした。

レックスはいざとなったらシャルトスを使えば良いと言っていたが、そうじゃないだろ?

「ギャウ!」

「痛いっ!?」

レックスに猫パンチならぬ虎パンチを食らわせる。
いざとなったら俺がお前乗っけて逃げ切ってやんよ!

「ユエ……」

「ガウウ!」

「助太刀いたします」

「ああ、あんただけに苦労はさせられねえ」

ちょっ……俺、お前らまで乗せたらさすがに無理だぞ?
レックスに通訳してもらう。

「安心してください。速さには自信があります」

忍者だからか?

「俺は体力には自信がある。逃げ切れるさ」

同じ虎だし、大丈夫だよな?

と言う訳で、二手に別れた俺達は早速行動を開始した。

陽動組が派手な音や光を出してジルコーダを巣の外へと陽動し、その隙に俺達女王撃破組は女王がいる巣の最奥へと駆ける。

俺はレックスを乗せているため少し遅くなっているものの、一番速い。
スピードはヤッファが一番遅いがそれでも速いと思う。

俺達は途中で出くわした蟲達を瞬殺しつつ(主にキュウマが)巣の最奥に一直線に向かった。

そして……最奥の部屋へとたどり着いた。

VSジルコーダ&女王蟻

勝利条件:敵リーダー撃破 敗北条件:レックスorユエの戦闘不能

戦闘開始!

部屋の奥に一際でかい蟲が女王蟻。
しかし、数多くのジルコーダ達が残っている。

だが、俺達はそのまま突っ込む。
キュウマとヤッファがジルコーダ達を引き付けている間にレックスは俺に乗ってキュウマ達とは別の方向から女王蟻を狙う。

女王の攻撃は強力らしく、何べんも食らっていたらもたないのでささっと殺っちまおうぜ!と言った作戦だ。

所々あった毒ダルや火薬箱はキュウマがまるでソノラのように爆破しまくってジルコーダを倒していた。
さすが忍者汚い。

そしてヤッファは鉤爪の武器でジルコーダ達を切りまくっていた。
いや……正確には砕いていた、かな?
ヤッファさん、怖い。

で、肝心の俺はジルコーダ達を踏み台にしながら進んでいた。
体重をかけて踏み潰すだけでジルコーダは死ぬか戦闘不能になるからとても楽に進める。
レックスは俺達に飛びついて攻撃してくるジルコーダを斬っている。

なんだろうかこのメンツ、強すぎやしないか?
それともこの世界ではこれが普通なのかな?
まあ、今はこんな事を考えている場合ではないので女王に先制攻撃でもしようかね!

「ガウウ!!」

岩石落とし!!

「続きます!はぁっ!!」

女王が俺の落とした岩により怯んでいる所をいつの間にか女王の背後にいたキュウマが斬り付ける。何時の間に。

驚いている間に女王に近寄った俺は女王の懐に入り、横をすり抜けるように駆け抜ける。
そしてすれ違いざまにレックスが女王を斬る。

「GyAAAAAAA!!」

「ついでにこいつも喰らっときな!」

悲痛な叫び声をあげる女王にヤッファが追い討ちをかける。
だが、これでも女王は死なない。
他のジルコーダと違って女王はとてもしぶといみたいだ。

女王は怒りから強力な酸を手当たり次第に口から吐き出して周りを溶かしていく。
めちゃくちゃ危ない!
ちょっとだけ尻尾に酸がかすった時は泣きたくなった。

俺達は酸の雨を回避しつつヒット&ウェイで女王に攻撃。
少しずつダメージを与えた。

「ガルルルル!」

お前達に怨みはない……いや、ちょっと尻尾の怨みがあるけれど。
お前達を倒す。ごめんな。

……いくぜ!レックス!

「ああ!」

俺達は疲れから一時的に酸を吐くのを止めた女王に向かう。

「今のうちだ!やれ!!レックス!ユエ!」

先に女王の懐に近づいたヤッファが女王の頭を下から殴って頭を上に向かせた瞬間、キュウマが斬りつけ脆くした首が見えた。
その瞬間、俺達は飛んだ。

「おおおおおおおおお!!」

「ガアアアアアアアア!!」

レックスの剣が傷だらけの女王の首を切り裂く。

「GyE……」

そして俺達が着地すると後ろで女王の巨体が倒れた。



……戦闘終了。

その後、俺達は残ったジルコーダを殲滅していった。

「なんか、イヤだよね。こういうのは……」

「ギャウ……」

一緒に暮らせないのは分かっている。
ジルコーダ達だって好きでここに来たわけじゃないって分かっている。
殺さなきゃ、こっちが死んでいたって分かっている。

きっと、甘い考えと思われるだろうけれど。
簡単に割り切れるようになりたくないな。



そして俺達は後味の悪さを残したまま集落へと帰る。
すると集落からマルルゥが飛んできた。

どうやら迎えに来てくれたみたいだ。

「ギャウ?」

なんか、集落からおいしそうな匂いがするんだけど……

マルルゥが言うには場を明るくしようとヤッファが言った宴会の用意をして待ってろと言う言葉を真に受けて本当に宴会の用意をしてしまったらしい。

えっへんと胸を張るマルルゥを見てヤッファは頭を抱えてたけどマルルゥに引き摺られて行った。

マルルゥによると宴会で用意された料理は鍋みたいだ!
戦闘で疲れてお腹を減らしていた俺達は食べる準備バッチリですよ!!

「ガウ!ガウウ!」

「ちょっと、待ってってばユエ!」

俺達は暗い雰囲気を押し込めて宴会がある集落へと走った。



宴会は俺達が揃ってから始まり、鍋に酒に皆大はしゃぎだった。
最初はお互いピリピリしてたのに、宴会ではそんな事はなくて皆が笑顔だった。

レックスは沢山皆と話をした。
集落の人達は少し緊張していたけれど、すぐに打ち解けた。
俺は喋れないけれど、皆にいっぱい撫でてもらった。

喋れないもどかしい気持ちはあるけれど、温かかった。
とても、眩しかった。

なんでだろう?
笑顔の皆を見ているととても嬉しい。

そりゃ皆が仲良く出来たら普通は嬉しいと思うけれど、なんだろう?
ずっと、ずーっと昔からこの光景を望んでいたような。
そんな気持ち。

おかしいよな?
俺の元いた所ではありえない光景のはずなのに。

「どうしたんだ?ユエ」

「ギャウ」

俺の様子に不思議に思ったレックスが声をかけてきたがなんでもないと尻尾を振って答える。
きっと気のせいだ。
もしかしたら誰かが飲み物に酒でも入れたんだろう。それできっと変な気持ちになってるんだ。

「ギャウウ!」

「わわっ!?ほんとにどうしたんだよ。まさかお酒飲んだのか!?」

胡坐をかいて座っているレックスの前に来てすっぽりと埋まるように座り、レックスの腹に頬を擦り付ける。

なんか、今はこうしていたいんだ。
だからちょっと辛抱してくれ、レックス。

「まったく……急に甘え出して。やっぱりお酒飲んだのかな?ユエはまだ子供なのに……」

「ギャウー」

子供じゃねー。

「そんな風に言ってるうちはまだ子供だよ」

そう言って笑いながら俺の頭を撫でるレックス。
もっと撫でろ!と頭を手に押し付ける俺。
そしてそんな俺達の様子を微笑ましく見守る皆。



そんな中、俺は願う。

この幸せが続くように。

今の幸せをかみ締めながら――



 
 

 
後書き
なんか謎のフラグを立ててしまったような……
ともかく、ユエの幼児化はだいぶ進んだ様子。成長化は一時的に無理やり成長させているので基本的に体は幼いままです。

……シリアスばっかりだし次はギャグも書きたいけど……話的に無理かな?
まあ、頑張ろう。
 
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