「メ」から始まる異世界日記
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始まりは変化球
前書き
空に浮かぶ大きな島。それがどうやって浮いてるのか、疑問に思った人はこの世界にはいない。なぜならそれが「普通」だから。
大きな島の中心部にある大都市、メタシティ。そんな都市の普通じゃないけどそれが普通のお話。
メタシティの中にあるタイクツ大学付属高校。
授業は午前中で終わり、午後は商業やら工業やら農業やら生徒が思い思いのことをして暮らしている。
そんな世界の、普通とは言い難いものの取り立てて珍しいって訳でもない能力を持った青年のお話。
「そんじゃあ、このくらいにしてギルドに戻ろっか~?」
エメラルドグリーンを思わせる髪の毛をあちこちはねさせて同じくエメラルドグリーンの透き通った瞳で俺を見つめてくる15歳くらいの少女に俺は同調して
「異議なし!」
気合いMAXで答える! 行くときより帰るときの方が元気があるのはご愛嬌。
たいして、仕事相応に疲れが見える口調で
「そうね、帰りましょうか。このあたりのモンスターはあらかた片付けたでしょうしね」
ブラウンの長髪をポニーテールにまとめた19歳(本人談)の落ち着いた声が響く。
てか暗い。あ、あれ? 灯りは?
「ちょっと!? コウ!? 灯りは!?」
このメン洞窟と呼ばれる洞窟には依頼できているんだ。メタシティのはずれにある今にもお化けやらなんやらが出てきそうだ。つーか出てくる。
てか洞窟で灯りなくすとかなにごと!?
「そうだよ! なんで洞窟で灯りがみつかんねぇの!?」
「あー…ティラミンの水の魔法で…」
今、落胆したエメラルドグリーンの少女(まとめ方荒いが気にするな)がミドリ・エイメ。
そしてミドリにティラミンと呼ばれた少女(笑)のティラミス・ラ・ミラ。
さぁ、皆さんお待ちかね!この小説の主人公おぶ主人公の俺こと、コウ・春陣!
16歳でマジカッコ良くて(中略)な青年だ!
「はぁ…流されたのな…」
「加減したつもりだったんだけど…ごめんなさいね」
「ティラミンかわいいから許す! 異論は神が認めてもわたしが認めん!」
いや…許すとかそんな問題じゃねぇ。
「出口の方角…どっちかわかるか? ティラミスさんや」
「たぶん…右の方だった…気がするわ」
「じゃあ左だな」
「じゃあ左だね」
俺とミドリのユニゾン。
ティラミスさんは絶望的な方向音痴だからな。絶対右とかいうならまだしもたぶんとか言うんだったら逆だろう。
ミドリも認識は同じなようで、歩き出そうとすると…
「わたしの直感は左と告げているわ! どうせ皆さんはその逆を行くと思ったから右といったのに…」
最後の言葉は尻すぼみ。そういうの含めて逆にいかないと…そのせいで前はかなり迷ったから。
洞窟を抜けると外はもう日が落ちていた。
「さっさとギルドに戻らねぇと…」
「報告書テラめんどいぃ!」
「報告書はわたしが書いておきますわ」
「ティラミン…マジ天使…」
「可愛い妹のためならなんのそのです!」
…ちょっと首をひねりたくなるような言葉遣いをするミドリと血のつながりのないティラミスさん。
ツッコミどころ満載だ…あえて言わせてもらおう…筆者!出てこい!
そんな俺の心情も知らずに女どもはどんどん先へ。
そのとき俺はというと
「なんだあれ? 流れ星か…? あと…悲鳴? 空から人が降ってくるのか!? そんなベタな…ぐふぉ!!」
妙な風きり音が聞こえ、上を見上げた俺は真後ろから重力ガン無視で高速平行移動してくる人にはね飛ばされ、その人とともに転げていった。
「今…なんか…コウの悲鳴…ま、いっか♪」
「そうですね~ 行きましょ」
おのれ女ども!!
かく言う俺はそこで主人公補正による女の子との激突かと思いきや…
「男かよ!! しかもマッチョのおっさ…マ…マスター!?」
「なんだ…お前か…」
いやいや!? 落ち込むのこっちですよ!? 空から降ってきた女の子との出会いから始まる勇気あり涙あり恋愛ありのファンタジー展開(の可能性)をのっけから破壊したあげくに…
「なんだ…お前か…じゃねぇよ!? だいたいどこの世界のマッチョが重力ガン無視して高速平行移動して突撃してくるんだよ!!」
「ピーピーギャーギャーうるせぇんだよこのガキが! 新しいことにチャレンジしようとするこのナイスミドルの精神を少しは見習わんか!!」
俺悪くねぇし。可愛い少女てきな期待を抱かせておいてマッチョのおっさんがきたこの喪失感(?)のままに文句やら恨みつらみを延々とぶちまける俺と魔法の使い方をミスって飛んできてその失敗にたいする苛立ちやら個人的なストレスをここぞとばかりに発散するおっさんの言い合い。
このナイスミドル(棒)なおっさんが俺たちの所属するギルド、ダイヤモンドハーバーの責任者。カッコよくいうとギルドマスターのバンギ・マックネス。
「夜に外でギャーギャーうるさいわね! まったく!!」
「あいだっ!!!」
「ぐふっ…く……な…なんだ…お前か…」
言い合いをげんこつとで仲裁(というか成敗)にきたのはおっさんの奥さんでギルド全体の母ちゃんのチワ・マックネス。スポーツ少女をそのまま大人にしたような勝ち気な目と引き締まった身体。2人とも40歳後半なのは知ってるんだけど詳しくは知らない。てか同じギルドのやつらでもあんまり年齢はわかんない。
「2人ともこんなところでわめき散らして…なさけないったらありゃせんわ!!」
「すいませんでした…」
「お前もわめk…」
ギロッ!!
「すまんかった…」
勝者、チワさん。怖いけど優しい。理想の母ちゃんをそのままやってくれてるチワさん。だからいっつも笑っていられるんだろうな…縁の下の力持ちとはまさにチワさんのためにある言葉!
「違う…」
「は? なんだクソガキ?」
「どうしたと?」
「あの悲鳴は…こんな野太いおっさんの悲鳴じゃなかった…とすると………どこだ?」
「野太くて悪かったなクソガキ!」
「そうだおっさん!! おっさんがぶっ飛んでくるとき声が聞こえなかった? たしか女の子の悲鳴だったきがするんだけど…」
「はぁ? …あぁ、たしかに…ん? おかしいな…」
「おかしいってなにが?」
「俺があんなスピードでぶっ飛んでたにもかかわらず…声がえれぇキレイに聞こえたなぁ…とな」
「たしかにあのスピードだったら風きり音もすごいはず…」
そこまできてようやく理解した。
「頭に直接…話しかけてきた…のか…?」
「おいおいクソガキ…人の頭に直接話しかけるのは…」
「そうねぇ…たしかに並大抵のことじゃないわねぇ… でもそしたらその女の子は近くにいるんじゃないかい? コウ?」
「探してくる…!」
「気をつけてねぇ! ちゃんと帰ってくるんだよ!!」
「おう、骨はひろうぜ! クソガキ!!」
「縁起でもないこと言わないっ!」
バシッ!
「ぶっ!!」
2人の漫才を背に俺は走り出した。
俺の魔法は剣精。妖精の精ではなく、精錬の精。任意の場所に任意の剣を作ることが出来る。そして俺の能力は追跡。動いているもの、例えば剣筋や弾道などがラインに見える。だからある程度の予測はできる。まぁ、空から降ってくる人の追跡なんてやったことないけどやるしかなかった。
しかし空からなんて追跡できねぇし…
そこで俺は間違いに気づいた。風きり音はおっさんが原因だった。風きり音が聞こえたから俺はとっさに上を向いたんだ。
でも違う。あの悲鳴は…上からじゃ…ないのか? だとすると…他に悲鳴の聞こえそうな場所…
「さっきまでいた洞窟…なのか…?」
そこには心なしかさっき来たときより暗く見える洞窟の入り口だった。
後書き
はい、どーも! 無兆歌でございます。
はじめて書きましてね~はいはい、緊張しております。文字間違ってねぇよな?
ともあれ取りあえず一区切りですね~はい。
他の方に比べて短いかな…次からは他の方の小説もどのくらい書いてるのかみて次号掲載しよ。
感想とか書いてくれたらうれしいですね!
一番最初だから感想とかかけないって?
まぁ、この文章おかしいとかの指摘も大歓迎であります!
つーわけで、また!
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