ワンピース*海賊と海軍、七武海と白髭。「永久の愛を」《1st》
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第一章
*エースとの別れ*
雷が泣いた日。6
頂上戦争から二週間
あたしは部屋を出る事もなく、飲まず食わずの生活を続け
誰とも会う事なくずっと部屋の中にいた
この二週間、
ずっと泣いてばっかで
部屋はずっと真っ暗だからレオンたちが今どうしてるかは分からないけど
ハンコックが傍に居てくれてるみたいだから安心できる
・・・誰にも何も言えずに出て行くのはあまり好きじゃないけど
皆の心配した顔を見るのは嫌
リノ「・・・よし」
泣くだけ泣いた
自分を責めるだけたくさん責めた
そして後悔もたくさんした
今レオンたちやハンコックたちに会うと
また悲しくなる事ぐらい分かってる
・・・だから少しの間だけこの国から出るから。
でもちゃんと戻って来るよ
机の上に置いてある置き手紙をもう一回読むと
フードを深く被って意識を集中した
この国の何処にあたしの舟が置いてあるのか分かると
その場所へ瞬間移動をした
いつもはミファルがいるからこの技を使う事はあまりないけど
やっぱり衰えて来てるか・・・。
リノ「・・・よし」
舟に乗り込んで座ると足元に雷を集中させると
小さな音を立てて動き出した
今日は霧が出てて良かったなぁ
もしも出てなかったら今頃誰かに気付かれてたかも
****
舟を飛ばす事二日
リノ「や~っと着いたー」
あたしはとある島に辿り着いていた
女ヶ島アマゾン・リリーから北に向かって早くて二日、遅くて四日で辿り着けるこの島は
今から十年前にあたしがここでレオンたちと初めて出会った場所だった
リノ「えっと・・・村は・・・」
意識を集中させて村の居場所を確認すると
女ヶ島を出た時よりも濃い霧の中を歩き始めた
獣1『見てー!リノだよー!』
獣2『本当か!?』
村に向かって歩いていくと
草むらの中に隠れてた獣たちが飛び出してあたしの元に集まってくる
リノ「皆、久しぶり」
獣1『久しぶり~!』
獣3『お前がこの島に来るなんて十年ぶりじゃないか!』
獣4『見違える程に綺麗になったわね~リノちゃん!』
リノ「はいはい、お世辞をありがと」
獣4『お世辞なんかじゃないのに~』
リノ「嘘くさい~ あ、そうだ。村長が何処にいるか分かるかな?」
獣5『こっちだ!案内する!』
リノ「あ、ありがと~」
近くにいた子たちの頭を撫でていて気付かなかったけど
大群に押されたり引っ張られたりしながらも野原を歩くと
懐かしい村の中を通って海がよく綺麗に見渡せる丘へ連れて行かれると
一つの墓の前でポツンと悲しそうな背中をした村長が座っていた
リノ「・・・ここまで送ってくれてありがと」
獣5『いいや!そんじゃあまたな!』
リノ「うん」
嬉しそうに来た道を戻っていく獣たちの後ろ姿を見送ると
村長の元へ歩いて行って隣に座る
リノ「村長」
村長『おやおや・・・誰かと思ったらリノじゃないか。一人か?』
リノ「うん。」
村長『そうか。・・・目が腫れているが たくさん泣いたようだな』
リノ「・・・・・・」
村長『話は聞いたぞ』
リノ「そ・・・っか」
やっぱり・・・聞いてるよね
いくら人間が大嫌いなこの島でも・・・そういう話は聞いてるか
あたしがここに来た日も皆してあたしを食べようとした程だしさ
・・・人間の話はどうでもいいかと思ってたんだけどな
リノ「失望した?」
村長『いやいやいや。私は君がやりたいようにやればいいと思うぞ。
例え誰が何と言おうと・・・私は君の味方だ、リノ』
リノ「・・・村長」
村長『もしもリノ、君がこの街へ来た理由が心を休める為ならば居たいだけいなさい。
君は大歓迎じゃよ』
リノ「それもそうなんだけどあたしさ・・・ここへ来た理由は修行するためなの」
村長『おぉ・・・そうか。それならそれで歓迎だ。』
リノ「良かった~駄目って言われるかと思った」
村長『何を言うんだ。君みたいな凄腕の子が来てくれるとこっちも助かる』
優しく笑った村長がお墓に目を戻した
・・・村長はこの島で一番強い獣で、
殆んどの獣が村長を越えようと日々鍛錬尽くしだって話をレオンから聞いた事がある
中には武将色の覇気を使える獣がいるぐらいだしね
なのに村長は武装色も見聞色も使える
あたしは村長直々に見聞色を教わったけど武装色だけが会得していない
・・・武装色も会得したら今よりも もっともっと強くなれる
村長『それでリノ、私に何を教わりたいのだ?』
リノ「武装色」
村長『ほほう・・・これまた・・・難解なものを』
リノ「お願い村長」
村長『よかろう。早速特訓じゃ』
リノ「よっし」
立ち上がってローブについた汚い物を取ると
村長の隣に立って歩き始めた
―――そうしてあたしの特訓も始まった
後書き
雷が泣いた日。 終
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