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とある3人のデート・ア・ライブ

作者:火雪
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第二章 雨
  第4話 十香の気持ち

5人はザドギエルが黄緑色の網にかかっているのを見た。

ASTの攻撃である。攻撃を制限しようとしているのがハッキリと分かる。

しかし、

網にはすぐに破られた。

士道「ASTでもダメか」

佐天「でも、あれをどうにかしないと…」

一方「……あのガキが何とかしねェ限りはあのでけェ野郎からの攻撃を耐えるしかねェな」

士道「十香、手伝ってくれ!」

十香「え?」

十香は士道が自分に助けを求めることに疑問を感じた。

士道は四糸乃を助けるためだが、わざわざ自分を頼る必要はないのに……

士道「俺達はあいつを助けるって約束したんだ!」

一方「チッ……」

士道が一方通行の方を少し見て言った。なので思わす舌打ちしてしまった。

そして十香は思う。

十香「(そうか、そうだった。何で今まで忘れていたんだろう。私を救ってくれたのはこういう男だった)」

十香は思い出した。士道が無償で自分を助けてくれたことを。

十香「なら私がASTを引きつける」

上条「十香!?」

上条は思わず叫んでしまった。

その間にザドギエルはASTからの攻撃を防ぐために、自分を中心に回るように吹雪を出している。

十香「士道達はあの子を助けに行け!」

そして不自然な吹雪はどんどん大きくなっていく。これはかなり危険かもしれない。

上条「クッ……時間がない!行くぞ!」

士道「……すまない、十香」

十香「気にするな。早く行け!」

上条と士道はビルの階段を降りていった。

十香「私はASTを引きつけるが……涙子とあーくんはどうする?」

一方通行と佐天は少し黙ってから言う。

一方「あのでけェ野郎が不自然な吹雪の中心で固まってるンだろ。そうなると俺たちは何も出来ねェよ」

佐天「そうですね。上条さんみたいな右手があるわけじゃないですし」

十香「ならここで待ってくれ。私がASTを引きつけておくから」

と十香は言って飛ぶ準備をするが、

佐天「1人で行かせると思います?」

と佐天が言った。十香は思わず振り向いてしまう。

佐天「十香さんは確かにASTに狙われてるかもしれません」

佐天「でもだからって友達が1人で危険な目にさらされてるっていうのに、見過ごせる訳がないじゃないですか」

十香「友……達……?」

十香は鳩が豆鉄砲をくらったような顔で佐天を見る。

自分が士道に助けられてから友達が出来ただろうか。

そして、自分が友達だと思っていても相手がそうじゃなければ、それは友達なのだろうか。

それは以前考えたことがあった。

だから士道以外、友達などいないと思っていた。

だが、目の前のロングで黒髪で可愛らしい花飾りをつけた女の子は今何て言った?

一方「口を挟んで悪ィが……ASTがテメェに狙いをつけたっぽいぜ?」

十香の思考は中断された。すぐにASTの方を見る。そしてこちらを見て言う。

十香「時間がない!涙子とあーくんもASTを引きつけるのに手伝ってくれるか?」

佐天「もちろん!」

一方「チッ!」

そして3人は上空へと飛びたつ。






不自然な吹雪の前についた上条と士道はというと、

パリン!というガラスの割れた音が響いた。

上条「この吹雪も俺の右手に反応したな」

士道「でも、壊されたところはすぐに修復されるし……どうすりゃいいんだよ?」

上条「俺の右手を吹雪に当てておく。そこに隙間ができるから士道はそこから入れ」

士道「……わかった」

士道は覚悟を決めた。

上条が吹雪に手をかざすと右手より下の方にトンネルの入口らしき隙間ができた。

入口はかなり狭いがなんとか入れそうだ。

士道「じゃあ、行ってくる」

上条「あぁ。頑張れよ」

士道「おう!」

上条と士道は左手で握り拳でお互いの手を軽くコンとぶつけた。

そして、士道は不自然な吹雪の中に入って行った。

上条「(これで俺の役目は終わりか……)」

上条は少し離れた位置で不自然な雪を見ていた。

そして、





世界が変わった。






空にあった雲が一気に晴れた。






しばらくして、佐天と一方通行が空からおりてきた

そして3人は合流する。

上条「終わったな…」

一方「そォだな……」

佐天「じゃ帰りますか」

3人はゆっくりと帰っていった。



次の日、この3人の生活が大きく変わる。







翌日、今日は学校が休みだ。

一方通行と佐天はまだ寝ているが上条は思ったより早く起きたので外に散歩にきていた。

何事もなく歩いていた……はずだった。

ここでも上条の不幸スキルが発動した。

道に迷ってる人に道を聞かれること21回、空き缶に踏んで頭を激突すること13回、不良に絡まれている女の子を助けること9回、自転車や自動車に引かれかけること計18回等……

上条「不幸だ……」

上条は自分の不幸スキルに驚きつつ呆れていた。

そしてトボトボ歩いていると、見かけた顔があった。

五河士道、五河琴里、そして四糸乃の3人だ。四糸乃は笑顔で士道と何かを話している。

上条「(士道のやつ……うまくやったんだな)」

あの3人を眺めて、後ろを向いて帰ろうとした。

その時、

琴里「当麻くん!」

後ろから呼び止められた。どうやら気づいていたらしい。

上条は再び振り向いた

上条「どうした?」

琴里「いや、昨日の礼を言おうと思ったのよ。恐らく当麻くんがいなけりゃ士道は死んでいたかもしれないし……」

四糸乃「あの……助けて、くれて……ありがとう、ございます……」

上条「ん?あぁ。別にいいよ」

上条は笑顔で四糸乃に返した。

それを聞いて四糸乃は笑顔になった。

何分か雑談したら帰るか。そう思っていた。だがその思考をすぐに打ち消される。

琴里「あ、そうそう。ちょっとお願い……っていうかもう決定したことなんだけど……」

上条「?なんだ?」

上条はまた精霊がきたときに精霊の暴走を止めるのを手伝ってほしい。とか言うのかと思ったが、

琴里「あんた達3人、この子達と一緒に住んでもらうわよ」

と言った。当然上条は、

上条「………は?」

と、トボけた声を出してしまった。まあそれが普通だろう。

そして、沈黙が訪れた。そして琴里が言う。

琴里「後で案内するけど、士道の家の隣に精霊が住む用のマンションを建てたから」

士道「ちょっと待て!いつの間にそんなものを建てたんだ!?」

琴里「士道の知らないところでよ」

士道「何でだよ!?」

上条「それはこっちのセリフだ!」

と上条と士道がなんか言い争いを始めたが、構わずに琴里は言う。

琴里「昨日の時点で精霊が2体保護されたでしょ?だから士道だけじゃ精霊達の心の状態を一定にするのは難しいと思ってね」

上条「でもさ、別に俺達じゃなくても……」

琴里「私たちじゃダメなのよ」

上条「何でだ?」

琴里「精霊達は私たちに心は開いているけど、まだ完全には信じ切ってない。でもあなた達は士道ほどではないけど、一緒にいるときは精神が安定しているわ」

上条「だからって……」

琴里「2日前の夕方に一方通行に会って聞いたわよ。精霊の調査をするらしいわね」

上条「(一方通行の野郎…)」

上条は少し一方通行を恨んだ。でもこうなると否定する要素がなくなったので、

上条「……分かったよ。分かりましたよ。一緒に住めばいいんだろ」

上条は諦めて一緒に住むことにした。

琴里はそれを聞いて笑顔になる。

琴里「もう引越しの業者に頼んでるから先に荷物は任せても大丈夫よ」

上条「そうかい。えらい早いことですな」

こうして、上条、佐天、一方通行は十香と四糸乃と一緒に住むことになった。







上条は引越しの事を言いに行くと言って今住んでいる家にゆっくり歩いて向かっていた。

その時、不意に前に一方通行が言っていた学園都市の目的を思い出した。

上条「(……あれ?)」

今、一方通行の言葉に違和感を覚えた。

すぐに立ち止まる。

その日の一方通行の言葉を思い出す。








一方『学園都市の狙いが分かったンだよ』

一方『今日の昼、魔術師がここの家を訪ねて来たンだよ』

一方『ヤツらが言うには……』

一方『学園都市は空間震を人工的に起こさせようとしているンだとよ』















おかしい。

明らかにおかしい。

何故気づかなかったのだろうか。

一方通行はあんな事を言っていたが、

そもそも、










″何故一方通行はその魔術師の言葉を簡単に信じたんだ?″











いや、それ以前に、











″何故魔術師が学園都市の狙いを知っているんだ?″











科学の街で……それも上層部だけが知っているような情報なのに。

仮に上層部の誰かがバラしたとしてもそれはネット上で騒いでいるはずだ。

たかが、普通の魔術師が知っているはずがない。

それに琴里は言っていた。










琴里『2日前の夕方に一方通行に会って聞いたわよ。精霊の調査をするらしいわね』












2日前のその時間帯は丁度一方通行が学園都市の狙いのことを話していた時間だ。

明らかに矛盾している。

一方通行が2人いるわけがない。

なら……
































あ の 時 の 一 方 通 行 は 誰 だ っ た ん だ ?









 
 

 
後書き

 
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