とある3人のデート・ア・ライブ
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第二章 雨
第3話 四糸乃とよしのん
前書き
四糸乃のセリフが多くなったはずです。
では投稿します
一方通行と四糸乃は士道の家に来ていた。
一方通行はソファに体の力が抜けたように座っていて、四糸乃は礼儀正しく座っている。士道は何か食事を作っていた。
士道「……一方通行、大丈夫か?」
一方「俺は杖ついてる人間なンだ……能力使わねェと長時間歩けねェんだよ」
士道「だったら能力を使えばいいだろ?」
一方「俺の能力は30分しか使えねェンだ。だからいざという時の為にバッテリーは温存しとかないといけねェンだよ」
士道「ヘェ〜……そういえば四糸乃はよしのんをずいぶん大事にしてるみたいだけど、よしのんってお前にとってどういう存在なんだ?」
士道の言葉に四糸乃は俯きながら言った。
四糸乃「よしのんは……友達、です……そして……ヒーローです……」
ヒーローと聞いて一方通行は上条の顔を思い出した。以前、上条のことをヒーローと思っていたからだ。今ももしかしたら心の中でそう思ってるかもしれない。
だから四糸乃がよしのんに思ってる気持ちは少し分かったような気がした。
四糸乃「よしのんは……私の、理想……憧れの、自分です……」
一方通行は四糸乃は昔の自分と少しだけ似ていると思った。
四糸乃にとってはよしのんがヒーロー、一方通行にとっては上条がヒーロー……四糸乃がよしのんを大切にするのも分からなくもない。
士道「理想の…自分ね……俺は今の四糸乃の方が好きだけどな」
と、士道が言うと、四糸乃は驚いたようにフードを深く被って顔を隠した。
一方「何そのガキを口説いてるンですかァ……?」
士道「口説いてなんかねぇよ!……あれ?四糸乃どうかしたのか?」
四糸乃「いや……そんなこと……言われた、の……始め……だから……」
一方「(今の計算だったらすげェよな……)」
一方通行は本当に上条と良く似てるな、と思った。
上条「さて、これからどうするか……」
佐天「そうですね……あーくんから連絡がないですし、こっちで精霊のことについて調べときます?」
上条「それに関しては一方通行が大体のことを調べてくれてるだろうし……夕飯の買い物でもしに行くか?」
佐天「そうですね!」
上条「んじゃ一方通行を探すついでに夕飯の買い物でも行きますか」
佐天「了解です!」
こうして2人は買い物(+一方通行探し)をすることになった。
士道が作った親子丼を完食したところで、一方通行が四糸乃にASTに攻撃しても何で反撃しないのか聞いた。
四糸乃は自分が痛いのが嫌い、怖いのが嫌いだからと、だからASTもそれが嫌いだからと思ったらしい。
四糸乃はさらに言う。自分は弱い、怖がりだから1人だと無理だと、そうなると頭の中がぐちゃぐちゃになってしまうと、だから酷いことをしてしまうと。
士道と一方通行は黙ってそれを聞いていた。
四糸乃「だから……よしのんは……私のヒーロー、です……よしのんは、私が怖くなっても……大丈夫って……言って、くれます……」
四糸乃「そしたら……本当に、大丈夫に……なるんです……だから……だから……」
四糸乃がいい終わる前に一方通行が四糸乃の頭を強く撫でた。
四糸乃はビックリして顔を上げる。
一方「テメェがどれだけよしのんってやつを思ってるかは分かった……だから俺がそいつを見つけてやる」
士道「一方通行だけじゃない。俺も一緒に探してやるよ」
いつの間にきたか分からないが士道が四糸乃と目線を合わして、四糸乃の手を握りながら言う。
士道「お前を救ってやる」
四糸乃「え……?」
士道「絶対に四糸乃を見つけ出す。そして、もうよしのんに助けてもらわないよう、俺達がお前のヒーローになる!」
一方「何勝手に人をヒーローにさせようとしてンだよ……」
一方通行はため息をしながら再び、四糸乃の頭を強く撫でて、
一方「そンなによしのんが大事なら……2度となくすンじゃねェぞ…」
四糸乃は辱めいたようにフードを強く被って、コクッと頷いた。
一方通行は四糸乃から手を離し、ソファに座る。
一方通行はガラじゃないな、と思っていた。
その後、士道が四糸乃にむけて何かを話していた。一方通行はその時、あのままキスするんじゃないか?と思うくらい2人の顔が近づいてることに気づいた。
そして、
バタンという音がした。
勢いよく十香が入ってきていた。
数秒間、皆が硬直していた。
すると、四糸乃が士道から離れてどこかへテレポートした。
そして、
十香は出て行った。
士道はというと、
士道「どうやらあのパペットは鳶一のところにあるらしい。だから取りに行くぞ!」
一方「……その前にあの精霊、ほっといていいのかよ?」
士道「まあ……俺が悪いんだけど、今は…ほっといた方がいいと思うから……で?一方通行は行くのか?」
一方「あいつの所に行くのは全力で断りてェが……あのガキに約束しちまったからなァ……」
士道「そうと決まったらさっさと行くぞ!」
一方「あ、おい!……俺が杖ついてること忘れてんじゃねェだろうなァ……」
こうして一方通行と士道は鳶一折紙の家に行った。
その頃、上条達3人はというと、
佐天「いや〜結構買いましたね」
上条「ぐはっ…疲れた…」
買い物を済ませ、家に帰ってきていた。
上条「でも休んでられねぇな。さすがに一方通行に任せすぎだ。そろそろ俺達も働くぞ」
佐天「了解です!」
そして、この2人も精霊の調査へと動き出す。
なんだかんだで鳶一折紙の家の前まで来ていた。
一方「……なンか、インターホン押すと勢いよく銀髪ASTがでて来そうな気がするンだが……」
士道「はぁ?なんでだよ?」
士道は一方通行の言葉を受け流しつつインターホンを押す。
すると、勢いよく鳶一折紙が出てきた。
一方「(やっぱりな…)」
一方通行は心の中で自分の予想が当たってたことに少しビックリしていた。
士道「わ、悪いな。急に遊びにきたりして」
折紙「別に構わない。それより……何故あなたも来ている?」
一方「俺の知り合いのガキが人形をなくしたンだよ。人形の特徴を聞いたら、テメェがこの前の精霊との戦闘の後に拾ったヤツと似てたから確認しにきたンだよ」
士道はとっさにこんなことを言える一方通行を驚きの目で見ていた。一応嘘は言ってないのだが。
折紙「……用はそれだけ?」
一方「あァ……」
その言葉を聞いた折紙はドアをバタンと閉じて中に戻った。
数十秒後、折紙が四糸乃が左手にしていた人形……よしのんを持ってきた。
折紙「私も元々いらなかったから処分に困ってたところ」
一方「そりゃ危なかったなァ。ンじゃ俺は帰らせてもらうぜ」
折紙「じゃあ、士道は上がって」
士道「え……?えー!?」
一方「ンじゃ後は任せたぞ」
士道「(俺、何の為に来たんだろう……)」
士道は心の中でそう思った。
数分後、
空間震警報が鳴った。
四糸乃はASTに追われていた。
自分のまわりに防壁を張ってなんとか攻撃を防いでいる。
だが四糸乃の精神状態はかなり揺らいでいる。
そして、
ザドギエルが召喚された。
一方「チッ!遅かったか!」
一方通行は風力操作で風の渦をつくり、空を飛んで、ザドギエルに一番近いビルに降り立った。
一方通行は右手によしのんを持っている。
ザドギエルがこちらに向かって吹雪をしてきた。それが一方通行へと直撃する。
とっさに風の渦を作り、放出した。
だが吹雪を全て打ち消すことはできなかった。
吹雪が一方通行に襲いかかる。
反射はきかなかった。
吹き飛ばされ数m後ろに転がる。
一方「チッ!」
一方通行は一旦逃げることにした。
ザドギエルは深追いせずに、攻撃を開始したASTへと攻撃を始めている。
一方通行はザドギエルから十分な距離をとり、近くのビルへと降りる。
今の吹雪の攻撃を反射の設定に加える為の逆算時間は1分。
逆算中は反射を切っているので目をつけられたら終わりだ。
一方通行はそんなこと関係なしに逆算を開始する。
だが、この時、一方通行は気づかなかった。
自分の右手からよしのんがなくなっていることを……
そして、上条と佐天も苦戦していた。ASTとほぼ同じタイミングで攻撃を仕掛けた。
ザドギエルが攻撃してきたら上条の右手で打ち消し、隙を見て、佐天が後ろから攻撃する。
この連携プレイでダメージはほとんどくらっていないがら佐天の能力にも時間がある。
そして一番厄介なのが、
佐天の攻撃が全くきいていないことだ。これでは防戦一方だ。
佐天「どうします上条さん!このままじゃ……」
上条「佐天さんは能力の使用時間が残り1分になったら逃げろ!」
佐天「で、でも……」
佐天はここにくる際、能力を使ってきたのだ。残り時間も多くはない。
だが佐天は仲間が戦っているのに、自分だけ逃げるのは嫌な性格なのだ。
でも、
上条「能力が使えなくなったら、一瞬で死んじまうぞ!」
今は能力と上条の右手があるからザドギエルの攻撃を防いできた。
だが実際は佐天は無能力者だ。能力の時間切れがくれば彼女を守るものは上条の右手だけでしかなくなる。そうなれば佐天はほぼ終わりだ。
佐天「……わかりました」
悔しい表情で言った。その言葉をきいて上条は笑顔になる。
上条「くるぞ!」
佐天「え?は、はい!」
四糸乃を助ける為に、3人は動き出す。
一方「(あそこにいるのは五河士道か?)」
逆算があと30秒で完了するというところで士道の姿が見えた。ザドギエルに向かって何か言っている。
そして一方通行は気づく。
一方「(ン?俺はあの人形をどこへやった?)」
そう思いながら前を見る。
よく見ると士道がよしのんを持っている。
一方「(逃げる時に落としたのか……チッ!俺としたことが……よし、逆算完了)」
一方通行はベクトル操作で五河士道の横へと降り立つ。
一方「何でテメェがここにいる」
士道「はあ?何言ってるんだ!?四糸乃を助ける為に決まってるだろ!」
一方「そォいう意味じゃねェよ」
士道はえ?と反射的に言ってしまった。
一方「ヤツはこの人形を持ってる俺に向けて攻撃してきた。ヤツは恐らく敵と判断したヤツを無差別に攻撃してるンだろォな。ならここは危険だ。ヤツがいつ攻撃してくるかわからねェしな」
士道「そ、そうだな」
一方「あァ。だから早くここを……!?」
一方通行がいい終わる前に、ザドギエルこちらに矛をむけていた。
そして、
吹雪が繰り出された。
ドォンと凄まじい音が響く。
だが士道と一方通行にケガはない。
すると前には、
士道「サンダルフォン!?」
以前に十香が出していたもの。石像の雰囲気がある。
すると上から十香の声が聞こえた。
十香「士道!あーくん!大丈夫か!?」
士道「あぁ。俺たちは大丈夫だ」
さらに、上空からある2人がやってきた。
士道「あれは……上条と佐天さん!?」
佐天が上条の左手を持つような格好できた。
そしてストンと一方通行の隣に着地する。
一方「よく上条の右手が反応しなかったなァ……」
佐天「上条さんの右手に触れなければ案外いけたんですよ」
と佐天は笑顔で答える。
ここに敵同士だった紫髪の精霊、それを救ったある男、そして、学園都市から送り込まれた3人。
複雑な関係の5人が別々の目的ながらも、とある精霊を助ける為に動き出す。
後書き
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