VenusBlood-d×d-
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
始まりの決別
「っ!?まさか此処まで来て裏切りか、ヴァーリ!!」
「ああ」
「何時からだ」
「コカビエルを連れて帰るときだ。アースガルズと闘ってみないか?と言われてね」
「強くなれ、とは言ったが、世界を滅ぼす要因はつくるな、とも言ったはずだ」
「知らん、俺は永遠に戦い続けられればいいだけだから。さて、晴れて敵となるわけだ。改めて自己紹介しよう。俺は、ヴァーリ・ルシファー。先代魔王の血を引き継ぐ者だ。先代の孫である父と、人間の母の間に生まれた混血児。白い龍の力は人間として偶然手に入れたものだ」
白龍皇のその言葉に無事に吸血鬼の眷属を助け出して駆けつけたリアス達は絶句している。
「しかし運命は残酷だ、だが同時に数奇だ。魔王の血族である俺に白龍皇の力が宿る反面、そこのただの人間の君に赤龍帝の力が宿る。いくら何でも、この運命はひどすぎる。敵同士のドラゴンとはいえ、片方は最弱、片方は最強・・・俺達の差はあまりにも大きすぎる絶望したよこれが俺のライバルなのかと、だがそんな時君が現れたリーネ・グレモリ!!」
いきなり自分語りを始めたわねあの子、ナルシストなのかしら?それに私にそんな今代の赤龍帝や白龍皇の事を言われても困るのだけれども。
「強い相手が居なければ作ればいい、悪魔だけでなく天使や堕天使おも作り出すエネルゲイヤなら魔王や神すら凌駕する存在を作り出す事は可能だろう」
この屑は今なって言った?作り出す?私の子供達は工場で作っているのじゃないのよ!!
「白龍皇、いえ白トカゲ、その汚い口を閉じなさいまだ死にたくは無いでしょ?」
「俺は強い奴と戦う事が望みさ、それで死ねるなら本望さ」
「そう、でも今の貴男じゃ役不足よ、殺される前に消えなさい、ボウヤ」
「そこまで言うなら是非とも相手をしてもらおうか」
随分と生意気を言うわね、悪いけど私は貴男の相手をする心算は無いの、だから。
「そんなに戦いたいなら、この子の戦闘テストの相手をしてもらおうかしら」
パチン、と指を鳴らし転送魔法を発動させあの子をこの場に転送する、ドラゴンを模して造り、いずれは既存するどのドラゴンよりも強くなる機械龍」。
「グギャャラララァァァ」
「ドラ・・ゴン?」
今代の赤龍帝が呆けた顔で会談に居合わせた皆の言葉を代弁している、特殊加工を施した特殊超合金のボディに特殊な加工を施したカーボンファイバーの翼、既存のドラゴンとはかけ離れた姿、それでいてもその姿はドラゴンを思わせる。
「さあ新旧のドラゴン対決と行きましょうか、次世代のドラゴンであるこの子の実力は全盛期の二天龍にはまだ及ばないけど、今の貴方では勝てないでしょうね」
「面白い、面白いなエネルゲイヤ!!ならそのエネルゲイヤのドラゴンの力見せもらうぞ!!」
『Half Dimension!』
体内でエネルギーをチャージし始めるマシンドラゴンに対して白龍皇は手をかざして御得意の半減の力を発動させるけど残念ね、私達に神器は通じない。
「焼き払いなさい」
私が命じるとマシンドラゴンの口からチャージされたエネルギーがプラズマ砲として放たれる、プラズマ砲が放たれた一直線上の物は全て焼き尽くされた、分厚いタングステンの装甲を一瞬で溶解させる、白龍皇が燃え尽きるとは思わないけど無傷では済まないでしょう。
「ハァ、ハァ、ハァ、何故だ!?何故半減できなかった!?」
燃え尽きる前に熱線から逃れた様ね、でも自慢の白龍皇の鎧が所々黒く焦げ溶解していた。
「セイグリット・ジャマー」
「なに?」
「あらゆる神器の力を阻害して無力化する機能、この子にその機能が搭載されているの、だから神器の力は効かないの、もちろん神滅具もね」
「おいおいマジか?そんなものまで作っていたのか、エネルゲイヤは」
「神器使いにとっては大敵という訳だ、苦っう」
アザゼル殿や他のギャラリー驚きと畏怖が籠った視線を私達に注ぐ、白龍皇が苦しそうに黒く焦げた左肩を抑えてる、うんうん熱線にもちゃんと能力が付属されているわね。
「肩の火傷が痛むのかしら?白龍皇、まあ当然よこの子は龍殺しの能力を持っているから」
「機械のドラゴンが龍殺しだと!?」
「驚く事は無いでしょう?世にある龍殺しはその殆んどが剣や槍などの武器なのよ、なら機械が龍殺しを持っていても不思議は無いでしょう?」
「とことん俺には相性の悪い相手という訳か」
白龍皇が悔しそうな表情を浮かべる、魔王の血族とはいえ神滅具が無ければ普通の悪魔と変わらないからこの子に勝ち目は無いでしょう、まあ良いサンプルも取れたし不愉快な事もあったけど有意義な時間を過ごせたわ、丁度向こうの御向かいも来たようだし。
「ヴァーリ、迎いに来たぜぃ」
現れたのは三国志風の恰好の男は即座に私達と白龍皇の間に入り迎撃の構えを取る、白龍皇と同じく少しは出来る様ね。
「美喉か。何しに来た」
「おいおい、それは酷いんだぜい?相方がピンチだっつーからすっ飛んで来たって言うのに、って言うか本当に大丈夫か?」
「心配無い、少し火傷が痛むだけだ」
「禁手の状態で負う火傷ってどんな火傷だよ、とにかく帰ろうや」
そう言って男が白龍皇に肩を貸す。
「あらあら、サンプル回収のとんだジャマが入ってしまったわね、所で貴男は何方かしら?」
「闘戦勝仏の末裔の美猴ってんだ。よろしく頼むぜぃ、大公さん」
闘戦勝仏、孫悟空の血を引く者ね。と言う事は闘釈迦天も渦の団に関わっているという事?
「・・・・・分かった、リーネ・グレモリ今回は俺の負けだ、だが次は勝つ!!」
「そう、貴方のおかげで貴重なサンプルが取れたわ、それを踏まえてこの子をより強く改良するは、競争ね貴方が強くなるか、この子がチューンアップするのとどちらが上か」
そう言って白龍皇と猿は消えて行った。
渦の団が撤退してから三大勢力は現場に残った死体などの処理を開始し始めた、燃えて行く死体をフィネガスと眺めていると、三大勢力のトップが此方にやって来る。警戒して斧を手に取るフィネガスを制しながらサーゼクス、アザゼル、ミカエルと私は対面する。
「リーネ、さっきの件だが本気なのかい?エネルゲイヤが独立すると言うのは?」
「はい、本気です。我々エネルゲイヤは独立した勢力として生きて行くことに決めました、これはエネルゲイヤの総意と思ってくれて構いません」
「引きこもり娘、お前の望みは何だ?それに渦の団と連呼したように独立をして。お前達と渦の団は繋がってんの?」
「その問いには否と答えさせてもらいます。無限の蛇や旧魔王派の収める世界などに興味はありません、ですが良い期会ですから彼等を利用して独立しようと思ったので」
「貴女は平和な世界を望むと仰いました、なら何故貴女は悪戯に世を混乱させるような事をするのですか。」
「それには1つ訂正をしなければなりません」
「訂正?」
「私が望む世界は我子達と平和に過ごせる世界です。世界の平和とか三大勢力の存亡なんてどうでも良いんですよ」
「リーネ」
サーゼクス殿は私を悲しそうな表情を浮かべる、そんな顔を浮かべられる筋合いは無いのだけれども、アザゼル殿もミカエル殿も複雑な表情を浮かべている。
「サーゼクス殿に1つお聞きしたいのですけど」
「・・・・・何だい?」
「貴方の目指す平和な世界に私の子供達の居場所は在るんですか?」
「それは・・・」
「ある訳無いですよね、古臭い血筋や家柄にこだわる下らない価値観、自分の栄華の保身にしか興味の無い貴族共、自分の都合で無理矢理眷属にする上級悪魔達、はぐれ悪魔を悪と決めつける上層部、そんな悪魔勢力が我々を受け入れる訳が無い、もし受け入れたとしてもそれは利用する為、あの子達をそんな目に遭わす位なら、私はこの命を賭けて貴方達と戦います」
覚悟はとうに出来ている、後は向こうの出方次第。
「渦の団と繋がって無いなら俺はお前らの独立を受け入れるぜ、代わりにだが技術提携などを結びたい」
「命を冒涜していると言うのが我ら天使から見たエネルゲイヤの見解です、ですが産まれて来た命に罪は在りません。それに子を思う母の思いを踏みにじるは天使のするべき事ではありません、我々も認めましょう」
「・・・悪魔勢力も認めよう、例え貴族達が認めなくとも私が認めさせよう」
「有難う御座います、今後は悪魔勢力だけでなく天使、堕天使の方々ともより良い関係を築きたいものです」
そう言葉を交わし私はそれぞれと手を交わす。
「此方をお渡ししておきます、エネルゲイヤへ転送できる唯一の方法の証、いわばビザの様な物です、こちらが無ければエネルゲイヤを訪れる事は叶いませんので紛失する事の無いようお願いします。こちらを友好と信頼の証として皆さんお預けします、ご使用は一枚一回限りですので数がご入り用の時はお知らせください手配しますから」
私は三大勢力のトップにエネルゲイヤへの転送券を渡す。
「では今後とも良い関係を」
会釈をする、フィネガスも礼を払い私達はその場を後にする。
「皆、エネルゲイヤに引き上げるわよ」
パンパンと手を叩き皆に合図を送り皆が集まり出す、私は巨大な転送用の魔法陣を出現させる、そこにリアスが駆け寄って来る。リアスは魔法陣の外で立ち止まり私を見る。
「何でですか!!何で独立なんてするんですか!?お父様やお母様がどれだけ悲しむか!!」
「リアス、貴女も子を産み母となれば分かるわ。我が子の幸せの喜びが、我の子の不遇がどれ程の絶望か」
「・・・・・」
私の言葉にリアスは何も言わない、あの子は母様の次に私の傍で私を見て居たから、思う所があるのね。
「リーネ・グレモリは今日をもって死にました。ここに居る私は魔王サーゼクス・ルシファーの妹でも貴女の姉でもありません、私の名はリーネ・エネルゲイヤ。魔導都市エネルゲイヤの大公です」
「・・・・・・・・」
私がそう名乗ってもリアスは何も言わなかった、ただ一滴の涙があの子の頬を流れ落ちて行った。
「さよなら、リアス」
消えゆく私が発した言葉、それが私があの子をリアス・グレモリーを妹として発した最後だった言葉だった。
後書き
第4の勢力、エネルゲイヤいよいよ始動です、しかしこの先の話が浮かばない、どうしよう。
とりあえず原作に暫く沿った話にしようと思います。
今回もお読み頂いて有難う御座いました。
ページ上へ戻る