リメイク版FF3・短編集
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君を狙ってるのは
────トックルの村の危機を告げられた光の戦士達はそこへ急行するも、村へ着いた矢先何かの罠、呪術によって体の自由を奪われ動けなくなって倒れ意識を失ってしまい、そこに操られたアーガス城の兵士達が4人を担ぎ上げ、生きている森から成る浮遊するハインの城へと幽閉される────
「 ────ネス、ルーネス……! 起きてよっ」
「……んあ? 何だよアルクゥ、いっちょ前にメガネなんか掛けちゃってさぁ……??」
「それは今僕が学者だから───そんな事より、見てよここ………まるで、木の根が無数に絡まって出来た場所みたいだ」
「は……? 何だここ。ってか出口どこ? しかも────レフィアとイングズは!?」
「僕が気づいた時には、ルーネスと二人きりだったよ。もしかしたら……、別の場所に閉じ込められてるのかも」
「マジで?! アルクゥ、よく冷静でいられんな! あの二人が二人きりなってたら、そりゃもうヤバイだろっ!」
「え……、何云ってるのさ?」
「おれは今シーフだけど……、レフィアは白魔で、イングズは赤魔だろ? そしたらイングズがレフィアを守るしかなくなるじゃん!」
「いや……、だから何なのさ。あぁ、そっか。ルーネスはあの二人の仲が進展しちゃうのが心配なんだね?」
「そうそう、危険だって! 早いとこ出口見っけて……、お? こんなとこに、小さい穴が」
「……<ミニマム>でなら、通れそうだね。僕今使えるよ」
「んじゃ頼むぜ、アルクゥ! さっさとあの二人見っけて、ヤバイ方向に行かせねーようにしないとなっ!」
「心配してるの、あくまでそこなんだね……」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「 ────フィア、……レフィア、しっかりしろ」
「ん……、だれ……? あ、お……王子、さま?」
「大丈夫か、回復魔法は掛けたんだが」
「え……? イイ、イングズっ!? (はっ、わたしったら、抱き起こされてる……? 顔、近いっ)」
「 ────どうした、顔が紅いぞ」
「ななっ、何でもないの!? ははっ、放してくれて大丈夫、よ……!」
「 そうか 」
「(あぁっ、勿体ない……。あのままでも、良かったのに)」
「立てるか? ────手を貸すぞ」
「えっ? あ、う、うん……(あの二人といる時より、ドキドキするのは何故……? え、あの二人??) そ、そういえばルーネスとアルクゥはっ!? それに何ここ……、根っこがそこら中絡まったみたいな────」
「どうやら罠にはまり、敵の根城に連れて来られたらしい。私が気付いた時には、他の二人はいなかった。恐らく、別の場所に閉じ込められているんだろう」
「ど、どうしよう。わたし達、ピンチよね……? 出口も見当たらないし……!」
「落ち着け、レフィア。────私が付いている」
「(は……! 何て決めゼリフ! ルーネスだと頼りないけど、イングズは段違いねっ)」
「そこに、小さな隙間があるだろう。<ミニマム>を使えば、通れるはずだ」
「そ、そうね、黙ってても始まらないものね! 何とか合流しなきゃ……!」
「 ────その意気だ 」
「(わぁ………帽子の下から、一瞬笑い掛けてくれた!? 何それ、反則よ~っ) わ、わたしが<ミニマム>使うわね?!」
「あぁ……、では頼む」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「 ────穴から抜けた先は、広いみたいだね。この先は小人は必要ないかな、戻すね?」
「って、うおぉアルクゥ、早速モンスターのお出ましだ! 何盗めっかな~?」
「る、ルーネス、盗むばっかりしてたらなかなか倒せないんだからね? それに今、二人きりだし……」
「うりゃあ!……ってポーションかよぉ、しょぼ~」
「あぁもう、えいっ、[ボムのかけら]!……もう一回! よし、倒せた………」
「 ────さっきからポーションばっかな。おれ熟練度まだ低いのかなぁ?」
「無理して盗む事ないよ、戦闘に集中しよう?」
「けどアルクゥ、今学者だろ? 使えるアイテム盗んどいてやりてーじゃん!」
「ルーネス……、もしかして僕の為に、シーフに……?」
「なんだ、おれの顔に何か付いてっか?……それより早く進むぜ! あの二人このままにしとけるかってんだっ」
「やっぱり気になるの、そこなんだね………」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「きゃ……?! (やだっ、モンスターから<ブライン>掛けられて何も見えなくなっちゃったわ……! <ブライナ>で回復しなきゃ……っ)」
「危ない、レフィアッ!」
「(え……? わっ! 何かが、わたしに覆い被さって────まさか、イングズ……!? モンスターの攻撃から、守ってくれたの?)」
「……貴様達の相手は、私だ!」
「(あっ、離れて────確か、相手は二匹よね。イングズ独りじゃ……! 早く自分で回復しないと!) <ブライナ>!………あら? もう、倒されてる……??」
「レフィア……、大丈夫だったか」
「わ、わたしは平気。さっき暗闇状態回復したし……それよりイングズ、かなりダメージ負ったみたいじゃない……! ごめんなさい、わたしが足手まといなせいで────」
「これしき、何て事はない。今自分で回復を………」
「だめ! わたしにやらせてっ。ほら、座って……?」
「れ、レフィア……?」
「無茶させちゃって、ごめんねイングズ……。<ケアルラ>!」
「あ……ありがとう。……どうした、そんなに見つめて────」
「あっ……あなたがいけないのよ、こんな、気持ちにさせるから……!(だ、だめ……何かもう、座らせたまま、押し倒しそうな勢い……!!)」
「レ、レフィア、何を……? モンスターも彷徨いているというのに……ッ」
「そんなの、関係ないわ……。今のわたしはもう、止められない……!!」
「 ─────!?」
「させるかーーっ!!?」
「きゃあ?! 何……って、ルーネス!? いきなり突き飛ばすんじゃないわよ!!」
「イングズ、大丈夫かっ? 今レフィアに何かされかけてたろ……!」
「いや、何というか……ルーネス、アルクゥ、二人共無事だったか」
「うん……無事じゃないのは、イングズみたいだね。────駄目だよレフィア、勢いで行っちゃ?」
「な、何よアルクゥ! あたしにお説教してるつもり?!……いいわよもう、さっさとここのボス倒すわよっ」
「ふぅ……、間に合ってよかったぜ! 何とか阻止できたなっ」
「な、何をだ………」
「気をつけなよイングズ、君を狙ってるの、ルーネスやレフィアだけじゃないんだからね」
「な……、アルクゥ??」
「 ────冗談だよ。さ、ハイン倒しに行こう!」
END
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