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蒼の使い魔は悪魔で召喚魔剣士

作者:蒼鈴六花
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魔法人形

今回は長いですが、半分くらいそのまま・・・オリジナル要素は後半からです。前半はほとんどかわらなかったです。


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また、タバサに任務が来た。
地下水と新しい薬の研究してたんだが……仕方ないまた今度にしよう。

俺たちはプチ・トロワに向かった。
今回の依頼内容は学院に通わない貴族の子弟オリヴァン、十五歳を、通わせること。ついでに魔法人形を一つもらった。
学院に通わすってもう完全に騎士の仕事じゃないけどな。



そして今回の目的地、ガリア首都リュティスのロンバール街の一角にある屋敷につく。

俺たちはオリヴァンの母であるド・ロナル伯爵夫人に挨拶をすませ召使のアネットに説明を受けながら目的の人物の部屋にいく。

学院にいけないという原因はわからない。夫人はとにかく学院に通わせろの一点張り、使用人達ではどうすることもできないとのこと。

そして目的地の部屋につく

「こちらでございます」

アネットはドアをノックする。

「アネットでございますよ。ぼっちゃま、扉を開けてくださいまし。もし、ぼっちゃま!」

返事はなくアネットはため息をつく。
タバサがアンロックの呪文を唱えるも、トライアングルクラスのアンロックも受け付けない強固なロックの呪文がかかってるようだった。

タバサはすぐに次の行動にでる

「ラナ・デル・ウィンデ」

「ちょ!騎士さま!いったい何を!」

タバサはエア・ハンマーを容赦なく扉にぶつけ吹き飛ばした。

「派手にやるな」

俺たちが中を見るとひどい有様だった。部屋の三方にずらっと棚と書架があり、棚には様々な人形。床には将棋版、カードなどと食器やワインのビンが散乱していて少年の体臭と食べかけの食事の匂いが混ざったひどい匂いのせいで見た目豪華な部屋が牢獄のような雰囲気を漂わせている。

悪魔になってから嗅覚もよくなっている俺にはまさしく地獄とでも言うべき部屋だった。
できれば長居したくない。
精神に地下水が話しかけてくる。

(俺、嗅覚なくてよかった……)

(今はお前が羨ましいよ)

部屋の真ん中にある天蓋付きのベットの中で、呆然として俺たちを見つめる少年がいた。太った体つきをしたオリヴァン少年だ。

「だ、誰だお前たちは」

タバサは無言で杖を振る。
オリヴァンの体がふわりと浮く、寝巻きに包まれた太った体を揺らして騒いだ。

「な、何をする!無礼者!アネット!こいつをつまみ出せ!」

平民のアネットにメイジを止めることはできずおろおろと見守る。

そして俺たちはオリヴァンを浮かして学院まで連れて行った。
とりあえず歩くといったので一度下ろして、アネットが寝巻きを着替えさせた。

「おい貴様ら。まず名乗れ」

「ガリア花壇騎士。タバサ」

「使い魔のアルだ」

「使い魔に花壇騎士ィ?貴様が?ふざけるな!僕より小さいじゃないか!むしろ男の方が騎士に見える!いくつなんだ貴様は?」

「十五歳」

それきり興味を失ったのか、オリヴァンは屋敷の方へと引き返し始めた。

「どこに行くの」

「屋敷に帰るんだ。歩くとは言ったが学院にいくとは言ってない。いいか?今度呪文使ったら、父上に頼んで打ち首にしてやるからな!」

タバサは杖を振らず、口笛を吹く。待ってましたといわんばかりに大はしゃぎのシルフィードが上空から降りてきて、オリヴァンの首根っこを銜える。

「うわ!こら!下ろせ!下ろせったら!」

そして学院についたらすぐに学院に行かない原因が分かった。
いじめられてるから、学院に行くのを嫌がったようだ。タバサは学院に連れて行くという任務を果たしたから帰ろうとしたがアネットに止められ説得された。

俺たちは屋敷に戻るとオリヴァンは饒舌になり、自分に言い訳して学院に行かないと言い出す。
本を読み始めたオリヴァンの読んでいる本のタイトルやほかに部屋にある本のタイトルを見ても基本伝説の勇者が活躍する英雄伝の類が多かった。

その後、部屋が用意されそこでアネットからオリヴァンの事情を聞く。オリヴァンには味方がおらず、このまま克服できないようなら将来苦労するだろうと心配したアネットは俺たちにオリヴァンを変えて欲しいと頼んだ。タバサはそれにコクリと頷いた。



翌日

俺たちはオリヴァンの部屋に向かい、彼をたたき起こす。

「だから行かないって行ってるだろ!いい加減にしろよ!」

「貴方を学院に行かせるのが、私の仕事」

「いいかい?昨日も行ったろ?僕が本気を出したら大変だって。そんなことしたら、このド・ロナル家は……「どうにもならない。たかが子供同士の喧嘩で、家は傾くわけがない」そんなのわからないだろ!とにかく僕が……」

俺は

「暴れれば良いだろ」

「んな!何だと!」

「お前がされるがままなのは勇気がないだけだ」

「無礼者!使い魔風情が!いいか僕は紳士なんだ。暴れたりできるわけがないじゃんか」

紳士ねぇ……この部屋見て部屋の主が紳士だと思うやつがいるんだろうか……

そしてオリヴァンは

「お前魔法は得意か?系統はいくつ足せるんだ?」

そうタバサに聞く。

「三つ」

「トライアングルか……。よし、良いこと思いついたぞ。お前、協力しろ」



そして再び学院にて

オリヴァンがつくと昨日のいじめっ子たちが寄ってくる。
ちなみに俺は吸血鬼事件の時のように隠れてる。なんか悪魔になってから隠密スキルも上がった。気配を殺し様子を見る。

オリヴァンはいじめっ子たちにさも自分が魔法を使ったように見せかけタバサに魔法を使わせていじめっ子たちを追っ払い、意地の悪い笑い声を上げていた。

そして校舎の陰、死角になる場所に移動し、慎重に周りを確認してから

「もういいぞ」

タバサが姿を現す。俺は建物の上でしたの様子を見る。

「家宝の不可視のマントの威力はどうだい?昔、ご先祖が妖精に捕らわれたお姫様を救い出すために、神からいただいたという伝説のマントさ。便利だろ?」

どこぞの魔法学校の生徒がつかってた道具みたいだな……

タバサはオリヴァンにマントを返し

「もう私にようはないはず」

「まだまだだよ。僕を馬鹿にした連中を見返してやるんだ!」

「……」

「いいか?さっき、お前が唱えた魔法、ほんとは僕にだって唱えられるんだ!ただ、まだ実力に目覚めてない!そういうわけなんでな!それがやっとわかったんだ!いいか?見てろ!」

鞄から一冊の本を取り出すオリヴァン

「イーヴァルディの勇者だよ!僕もこんな風に、いつか自分の力に目覚める!今はまさに雌伏の時なのさ!」

「貴方みたいな子、一人知ってる」

「なんだと?」

「その子も、自分の実力がないことをすごく気にしてる。でも、貴方みたいに他人の力を自分のものと偽ったりしない」

「偽ったりしてない!いつか目覚める!先取りしてるだけだよ!なにせ僕はド・ロナル家の跡継ぎなんだ!」

「どうしてかわかる?プライドがあるからよ」

「僕にだってある!」

「自分に嘘ついて楽しい?」

「黙れ。父上に頼んで、お前の首を飛ばすぞ。花壇騎士だからって威張るなよ?所詮、ただの騎士風情だ。伯爵の父上が一言告げれば、お前の首なんか簡単に飛ぶんだからな」

オリヴァンはじっとタバサを見たがそのうち崩れ落ちた。

「悔しいんだよ。わかってくれよ……ったく太ってるからっていじめやがって」

「貴方がいじめられてるのは、太ってるからじゃない。オドオドして自信がなさそうに見えるから」

「知ってるよ!けど僕を助けてくれる人なんかいないんだ。いいだろ?一回くらい、良い思いしたって……」

「あなたを認めてくれる人だっていたはず」

「いないよ!いるわけないだろ!そんなの、じぶんが一番よくわかってるよ!」

そして俺たちは立ち去った。



翌日からオリヴァンは活躍を始めた。

授業で高度な魔法をタバサに使わせ、休み時間になると周りに多くの生徒たちが集まり、オリヴァンはもう鼻高々である。そして放課後、意気揚々と家に帰り散々飲んで食べて寝てしまった。

その後、アネットがタバサに謝ったその時、窓にシルフィードが張り付いていた。シルフィードは器用に窓を開け首を突っ込み怒りに燃えた目でタバサを睨みつける。
アネットは怯えてあとじさる。

「お姉さま。なにしてるのね。お兄さまはなんでお姉さまを止めないのね」

「りゅ、竜がしゃべった」

アネットは床に崩れ落ち、その物音でオリヴァンが目覚めたがシルフィードを見て気絶した。
タバサは誤魔化すために

「ガーゴイル」

それにアネットは納得してくれた。シルフィードは

「お姉さま。お兄さま。どういうこと?」

「何が」

「なにがって、自分の胸に聞いてみるのね!あのわがままで小生意気な小太り坊やの言うことなんか、どうして聞くのね!ほっとけば良いのね!いじめられるのは自業自得なのね!お兄さまもなんで!」

「タバサには何か考えがあると思ったし、タバサに危害がないようなら俺はタバサの力になる」

「それでも私、我慢ならないのね!」

「すみません……、ガーゴイルさん。貴方の主人に失礼なことをお頼みしてしまって……でも、ぼっちゃまは決して心の曲がった方ではないのです」

アネットはオリヴァンのこと、自分のことを話し始めた。

アネットはこの屋敷に来たと当時、失敗ばかりしてのろまのアネットと呼ばれ、しかられない日はなかったぐらいで、仲の良い子もおらず毎日がつらかったという。そんなある日掃除中にとても高いつぼを割ってしまい。死んでお詫びするしかないと思ったとき、オリヴァンが「僕がやったことにしておくから気にするな」と言ったらしい。

その言葉に救われ、たとえ誰もオリヴァンの味方にならなくても自分だけは味方でいると、そう覚悟を決め一生懸命、奉公した結果失敗することもなくなり今の自分があるのは全部オリヴァンのおかげ、だから今度は自分がオリヴァンを助ける番だということらしい。

そんな風に言われると何もいえなくなりシルフィードは少し黙ってから。

「でも、だからと言って甘やかして良いことにはならないのね!」

と飛び出していった。



翌日

学院の門のところでいじめっ子たちが待ち伏せしていた。そしてオリヴァンは決闘を申し込まれる。
放課後、帰ってからオリヴァンは家に代々伝わる戦衣装を身にまといすっかり古代勇者気取り。

シルフィードは人型になってオリヴァンに決闘は自分でやれ!と言いに来たらしい。
その後、タバサはオリヴァンのために助けているんじゃないとアネットのことをオリヴァンに話す。

だがオリヴァンは大声で笑いアネットのミスをかばったのはすべて自分の都合のためにやったと言う。
それにシルフィードは怒り

「きゅいきゅい!お前みたいなのは、このシルフィが魂の泉に返してあげるのね!」

オリヴァンに噛み付こうとしたシルフィードを俺は止め。

「落ち着け、シルフィード」

「お兄さま!とめないで!こいつを噛んでわたしも死ぬのね!きゅいきゅい!」

「簡単に死ぬなんていうな、ほら落ち着け」

「な、なんだよ!このガーゴイル風情が!おいお前、きちんと教育しとけよ!」

俺に止められてるシルフィードをタバサはいつも通り黙って動かない。シルフィードは悲しくて、悔しくて、俺が離すとがっくりうなだれた。

「そんなガーゴイル川にでも捨ててしまえ。よし、ほら行くぞ」

「お姉さま!行っちゃだめ!現実の厳しさを教えてあげなくちゃ!」

タバサはオリヴァンに先に行ってるようにいうと、オリヴァンは何だと?と言いながらもこなかったら父親に言いつけるとだけ言い残し行ってしまった。

シルフィードはタバサに向き直り。

「長い間お世話になりました。実家に帰らせていただきます。どうか使い魔を首にしてなのね」

「タバサ、そろそろ話してあげた方が良いんじゃないか?」

「……手伝わない」

「ふぇ?」

「タバサには考えがあると言ったろ?」

「なるほど!つまり騙してこのままとんずらってわけね!」

「とんずらもしない」

「……はい?どういうこと?」

わけがわからずシルフィードは首をかしげる。

「もう準備はした。後は待つだけだな」

俺はタバサのほうを向くとコクリと頷くタバサ、その様子にますますわけが分からなくなるシルフィード
だった。


部屋をでたオリヴァンのほうは

アネットだって自分の父や母と同じだと、自分のことなんかとっくの昔に捨てていると思っていた。信じてるなんて嘘だと

そこにアネットがきてオリヴァンの格好に気づき目を丸くして話しかけたらオリヴァンは怒鳴りつけ走り去っていく。

そして彼の部屋に入り俺たちから事情を聞く。

「どうして止めてくださらなかったんですか!」

「変わらない」

「変わるも何も!決闘と言えば命のやり取りじゃございませんか!とりあえずお助けください!」

タバサは首を振り

「助けるのは、貴方」



決闘場所にて

いじめっ子たちは代理に傭兵メイジを雇っていた。オリヴァンがどういうつもりかと言うと相手は笑いながら手紙を放った。

そこには「オリヴァンはトライアングルではない。魔道具で透明になった花壇騎士が後ろにいただけ」と
オリヴァンはタバサを呼ぶが返事はない。そして決闘は開始されるが……

「おやめください!おやめください!」

アネットが駆け寄ってきた。
オリヴァンは驚く。傭兵メイジにどけと言われてもアネットは怯まず必死になって頭を下げた。しかし傭兵メイジは呪文を唱えアネットに火球が当たる。

オリヴァンは駆け寄り、誰か水の魔法を!と言うが傭兵メイジは冷静に致命傷と告げる。

何で僕なんかのためにとオリヴァンが叫ぶがアネットは信じているからとかばってくれたことをいうと、オリヴァンはそれは嘘だったんだと本当のことを言おうとするがアネットは知っていると、それでも信じますとそういって目を閉じた。オリヴァンは震えた。

しばらくその場の全員が呆けたようになっていたが一人が乾いた笑いを上げ、それに釣られて他の連中も笑う。傭兵メイジだけは笑わずじっといつでも動けるようにしている。

そしてオリヴァンはみっともなくボロボロ泣きながら杖を掲げて鼻水垂らしながら絶叫した。それをいじめっ子の少年たちは笑う。

オリヴァンの唱えた呪文がいじめっ子のリーダーの少年の頬をわずかに斬り、それで出てきた血にその少年の怒りは頂点に達して傭兵メイジに命令する。



十分後

何度魔法を打ち込まれてもオリヴァンは立ち上がった。体もぼろぼろ、服も原型をとどめてない。
もうほとんど意識もないのに意地だけでたっていた。

その様子に傭兵メイジはこれ以上やったら死んでしまうと雇い主に忠告するが雇い主の少年はやれと命じる。

そして傭兵メイジは命令を実行するためにオリヴァンに魔法を使った。
やっと出番か……

大きな氷の矢がオリヴァンめがけて飛ぶも

「メガファイア」

一瞬で氷の矢は溶け蒸発する。

「誰だ!」

すっと物陰から俺たちは出る。
歴戦の傭兵は一瞬で相手の実力を見抜く。

「ガリア花壇騎士、タバサ」

「使い魔のアルだ」

「セレスタン!こいつらだ!こいつらが僕たちに恥をかかせたんだ!やっちまえ!」

雇い主の少年は傭兵メイジ、セレスタンに命令するも

「黙ってろ」

「何だと!」

「花壇騎士と聞いちゃ黙ってられねえ」

俺たちは戦闘態勢にはいる。

「おっと、使い魔の坊主は下がってな、お前もなかなか強者そうだが俺が用があるのはそっちのお嬢さんのほうだ」

「俺は元、北花壇騎士でね、お前ら花壇騎士とワケあって揉めて首になって、今はこの通りしがねぇ傭兵暮らしさ」

「命令は僕が下す!」

「ぼっちゃん。こいつは料金外でいい。何せこりゃ、騎士の決闘だからな」

セレスタンは杖を構える。

「タバサ」

俺はタバサに聞く。

「任せて」

「分かった」

俺が下がったことを確認するとセレスタンは

「準備は良いか?では、セレスタン・オリビエ・ド・ラ・コマンジュ。参る」

そして決闘は始まった。
セレスタンは火系統の使い手らしい、タバサはいつもの風と氷の魔法で対抗する。

途中セレスタンがタバサの噂を話しタバサを七号と言ったことにむっときたがそのまま決闘を見る。
タバサは防戦一方に追い詰められもしたが、巻き返し最後にエア・ハンマーを叩きつけ勝負は決まった。

「あの雪風……、お前が七号……」

呆然としていたいじめっ子たちにタバサは向き。

「決闘は引き分け。それで手打t「解決しそうなとこ悪いが、ちょっと待っててくれタバサ」どうしたの?アル」

俺はセレスタンに近づき胸倉掴んだ後、懐から薬と思われる青い液体の入った瓶を取り出しそれをセレスタンに無理やり飲ませる。

「な、何を!っぶ!」

セレスタンの傷が治っていく。

「初めて試したが効いたな。さぁ、これでまた動けるぞ、お前にはきっちり教えないといけないことがあるんでな」

アルは凶悪そうな笑みを浮かべて言う。

「な、なんだ。俺が何したってんだ!」

「お前はタバサのこと2度も七号と言った。一つ目は噂だったから許してやるが、二度目はだめだ。タバサは七号なんて人形みてえな名前じゃねえ、タバサは人間だ。こんな噂がもう流れないようにしないとな」

俺から出た殺気が周りのものを硬直させる。

「召喚、ダークレギオン。ライフスティール」

セレスタンの頭上に黒くて紅い体は禍々しく、黒い大きな翼の生えた生物が出てくる。周りで見ていた少年達やセレスタンは恐怖した。

ダークレギオンは紫色の光になりそれがセレスタンに纏わりついて消えた。
するとセレスタンが苦しみだす。

「っがあ!き、貴様、俺に何をした!」

「さっきのやつをお前に憑依させた。憑依中はじわじわ痛みが来るだろう?体力が削られていくんだ」

セレスタンは顔を青ざめさせながら。

「は、早くそいつを出してくれ!」

「お前がタバサを七号って言う噂をなくなるように動いてくれたら憑依を解除してやる」

「する!するから!こいつを早く出してくれ!」

「言ったな?では、ダークレギオン、憑依解除」

セレスタンから紫色の光が出て行く。セレスタンは肩で息をしながら震えている。

「言っておくがもし、やらなかったら今度は……」

セレスタンは何度も頷くと、ほうほうの体で逃げ出していった。
少年たちはこしを抜かし

「あ、悪魔だ……」

と口々に囁いた。俺が振り向くと、ひっ!!と声をあげ気絶した。
そしてタバサのほうに向き。

「勝手なまねして悪かった」

珍しく複雑そうな顔したタバサ。ちょっとやりすぎたかな……

「……いい」

そうタバサは言った。

その後、タバサはアネットに近づき呪文を唱えると小さな魔法人形になった。血をすったものに化けることができる魔法人形、スキルニルだ。
タバサがスキルニルを戻してる間、俺はオリヴァンの怪我を多少治しておく、全部治すのはあえてしない。最低限にとどめる。
そして振り返るとアネットがいて多少俺を怖がってはいたものの、何度も頭を下げた。

タバサは口笛を吹くとシルフィードがやってきた。
俺たちはその場を立ち去った。



その後、オリヴァンは目を覚ました後、真っ先にアネットを探した。そこにアネットがやってきて、火球でやられたんじゃとオリヴァンは驚くと

「ぼっちゃまは夢を見ていたんですよ」

「……夢?」

「ええ、悪い夢です。これから、目を覚ませば良いだけの話ですわ」

「そっか夢か。でも僕、負けちゃったよ」

「負けちゃいましたね」

「アネット、僕、悔しいよ……」

「負けると悔しい。勉強になったじゃありませんか」

オリヴァンは頷いた後、僕学院に通うよ、と言った。



二つの月が照らす夜空をシルフィードは飛ぶ。

「きゅいきゅい!さすがお姉さまなのね!お姉さまのことに気づいたお兄さまもすごいのね!始めはお姉さまがおかしくなったって思ったけど、ちゃんと計画があったのね!きゅい!」

タバサはいつも通り黙ったまま。

「それにしても、お兄さまかっこよかったのね!少し怖かったけど……、わたしもお姉さまが七号だなんてよばれるの我慢できなかったのね!」

「人の名前ではないからな、さて、これからどんな噂が流れるか……」

「そういえばお兄さまあのメイジに何飲ませたの?きゅい」

「あれはポーションと言う俺と地下水が共同開発した薬だ。体の傷、体力を回復する効果がある」

「きゅい。そんなの作ってたのね」

「他にも色々な薬ができそうだ。なあ地下水」

「ですね、旦那。楽しみが増えて最近は退屈しないですむから旦那には感謝です」

「俺も楽しみが増えたから感謝している」

「何か、意気投合してますわね、お兄さまと地下水」

俺たちは学院に帰っていった。



その夜学院にて、タバサSIDE

部屋の中は静まり返っていた。

帰ってから少ししてアルは眠った。

タバサはアルの言葉を思い出す。アルは私を人間だと言ってくれた。
彼は悪魔だけど、優しいところがある。召喚獣たちといる所を見たりしても優しさが出ている。学院の厨房とかで手伝いをしてることもあった。学院の人たちと親しくしている。

彼の優しさは元人間であったころの名残なんだろうか?

たまに彼が悪魔らしく残酷な表情をしたりするけど、彼は悪魔でなかった頃はどんな人物だったんだろう。
そう思う、そして私のために怒ってくれるのは嬉しかった。けどそのせいで彼が残酷な悪魔だと思われるのは嫌だった。

元人間のころの名残であっても彼は優しい悪魔だ。

彼は自分が悪魔と呼ばれてどう思っているかは分からない。
けど私は……

タバサは少しアルを見てふっと微笑むと寝た。



SIDE OUT

その後、噂の方はと言うと……

七号の名を呼んだものの下には悪魔が来る。などと広まったので。俺はやつに半殺s……制裁を加えに行った。

噂の改善をするように言いつけ、脅しておいた。
また変な噂流したら今度は実験台になってもらおう。

やつはいい実験台第1号になりつつあるからな。ふふふ、今度はどんな薬を試すか……とりあえずFFTの薬や道具は全部作ろうかな。

俺の楽しみは増えるのだった。





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後半にオリジナル要素入れました。少し変な気もしますが・・・
セレスタンはかわいそうですが実験台第1号になりかけです。彼は今後どうなるかは分かりません。

タバサにはフラグがたってきたのかな?って感じです。ゆっくり恋愛に発展するやも

次回:ようやく本編!デルフリンガーの登場です。

では、誤字・脱字・感想・アドバイス等お待ちしております。


 
 

 
後書き
FFTの道具でもフェニックスの尾は無理だろうなー。 
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