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『もしも門が1941年の大日本帝国に開いたら……』

作者:零戦
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第四十三話

 
前書き
ほんとにすいません。
リアルで色々とありました。 

 




「帝国の帝都で戦闘だと? 交渉は決裂したのか?」
「いえ、どうやら自衛の戦闘のようです」

 辻中佐からの報告に東條は思わず腕を組んだ。

「……不味いな。アルヌスの丘には諸外国の武官が視察しようとしているところだ。出撃を見られたら諸外国に戦力を調べられる」
「閣下。この際ですから戦力を見せてはどうですか?」
「何? 戦力を見せるのか?」

 辻の言葉に東條は目をギロリと辻に向けた。

「戦力を見せるのは此方の兵器を見られる危険性はあります。ですが、見せる事で我々に脅威を抱いてほしいのです」
「……抑止力か」

 戦力を見せるのも一手だが、見せすぎるもの良くない。特に史実海軍で大和型戦艦は秘匿中の秘匿であり、全てが知れ渡ったのは戦後という有り様である。

「……今村には独自の判断でやるようにしよう」

 東條はそう決断した。



「帝都へのパラシュート降下ですか?」
「えぇ、帝都で交渉団と帝国が戦闘状態に入りましてな」

 アルヌスの丘の基地で今村は観戦武官にそう説明していた。

「ですがそのような情報を我々に話しても良いのですかな?」
「その通り」

 イギリスとアメリカの観戦武官はそう頷いた。ドイツの武官はそれを見つつ無言である。ソ連の武官も無言である。

「事態は緊迫していますからな。良ければ出撃するところをお見せしましょう」

 今村の言葉に観戦武官達は内心は喜びつつ滑走路に向かう。滑走路では既に武装を外した一式陸攻や九六式陸攻、零式輸送機がプロペラを回し始めて離陸していた。

「ほぅ……これは中々壮観ですな(あれは爆撃機だな。我が軍のB-25のように速いな……)」
「ふむ、流石は東洋の国だな(流石に急降下爆撃の機能は付いてないか……)」
「………(航空機の性能はヤポンスキーが上か……)」

 観戦武官達は離陸していく輸送隊にそう称賛しつつ内心では日本の戦力を調べていた。
 観戦武官達も避難民で出来た飲み屋や市場に驚きつつ本国に報せるべく書を認めている。特に彼等が手に入れたかったのは特地の地図である。
 地図があれば日本に接触出来て或いは介入もしやすく……そう思い書店で探したが一冊も見当たらなかった。
 勿論日本側もそんな見逃すような事はしていない。書店を作る場合は憲兵が検閲して許可を出す仕様になっていた。地図を販売した場合など憲兵に拘束される事になっている。
 今回は憲兵の努力が実を結び、地図の有力な情報は手に入らなかったが写真撮影は許可されていたので写真を本国に持ち帰り現像して特地がどういったところなのかが諸外国に知る事が出来た。
 この写真により獣人という言葉が復活したりした。特にドイツなど親衛隊を投入して獣人の痕跡を探したりしたのである。

「帝都から連絡は?」

 観戦武官達が離陸していく輸送隊を見ながら今村は参謀長の栗林に問う。

「昨日、弾薬類を空中投下したのが効いています。翡翠宮の戦闘は相変わらず此方が有利です」
「そうか……。救出部隊は?」
「長雨の影響で進撃は遅れていますが、後一日で帝都に到着するようです」
「……上手くいけば脱出は可能だな。だが帝国が戦力を送り込めば……」

 後の言葉を今村が言わなかった。



「突撃ィ!!」
『ウワアァァァァァーーーッ!!』

 翡翠宮の正門では掃除夫が兵士を従えて突撃命令を出した。

「三度目の突撃が来るぞ!! 撃て撃てェッ!!」

 丸太で作った急造陣地で樹が叫ぶ。近くの急造陣地から九二式重機関銃が射撃を開始する。それに続いて水野が九九式軽機関銃の射撃を開始した。
 七.七ミリ弾は突撃する兵士達の身体を貫きその生命を奪う。彼等が身に付ける鎧は弾丸に全く歯が立たないのだ。
 たまに鎧を二重に重ねた兵士が現れるが、狙撃手がヘッドショットを決めて鎧の効果を無くしていた。
 攻撃には小銃と機関銃しか参加していない。歩兵砲や砲クラスは砲弾の節約していた。初日の攻防戦では砲弾を多数消費して翡翠宮の正門を瓦礫に変えていた。
 しかし掃除夫達は瓦礫を防御陣地にして激しく抵抗していた。

「しつこいね掃除夫達も……」
「もう少しすれば奴等も最後の突撃をするだろう。その時の介錯は頼むぞ」
「任しときな」

 ヴィフィータはそう意気込んでいた。兵士達を戦死させた後、掃除夫達も突撃してくるがそこはピニャの騎士団に任していた。
 弾丸の節約もあるし、騎士団も戦いたいという尊重もあったりする。
 数人を残して部隊は壊滅するのがここ三日での光景だった。なお、遺体は丁重に葬り翡翠宮の庭に埋葬している。
 何れはキチンとしたところで埋葬する予定だ。鎧や剣とか役に立ちそうなのは回収して装備している。鎧など陣地の楯代わりしたりしている。
 そしていつしか掃除夫達しかいなく、掃除夫達も突撃を敢行して騎士団に討たれた。

「……いつまで続くのかねぇ……」
「だな。こちとらピニャ様の安否を確認したいけどよ……」

 右頬に少量の返り血が付いたヴィフィータはそう呟いた。樹は手拭いをヴィフィータにやりヴィフィータは返り血を拭いた。

「強行突破しても帝国軍が待ち構えてそうだな」
「早く救出部隊が来てくんないかね……」

 陣地でそう呟く樹だった。




 
 

 
後書き
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