少年少女の戦極時代Ⅱ
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
オーバーロード編/再
第39話 急転
咲やヘキサらリトルスターマインのメンバーは、今日もダンススクールで学んでいた。
「ハイ、じゃあ10分間休憩~」
『はーい』
休憩が入ったことで生徒がどやどやと散り、自分の荷物からペットボトルやマイボトルを出す。
咲も例にもれず、スポーツ飲料のマイボトルから水分を補給した。
「っはー! 踊ったあとは、よりおいしーねー」
「キセツ的にツメタイのがこいしい時期んなったわねー」
「……最近、あつい」
ナッツが凍らせたペットボトル飲料をちびちび飲みながらスマートホンを繰る。スマホ世代の咲たちにとっては、自由時間=スマホいじりである。ナッツはスマートホンをいじりながらでも会話ができるので咲たちも黙認している。咲自身、着信がないかといった程度の確認のため、スマートホンを一時は出す。
「あら」
その中で、碧色の筐体をいじっていたヘキサが声を上げた。
「レッスン中に着信あったみたい。ちょっとかけてくるね」
「いってらー」
咲はひらひらと手を振った。ヘキサがレッスン室から出て行った。
「最近のでおもしろいのある~?」
「あたらしいジョーホー番組はじまったくらい。DJサガラのとにたようなん」
「あ、それ、おれも知ってる! 金パツでロックシードごろごろつけた、すんげーゴージャスなねーちゃんがMCのヤツな」
「そう、浅井姫華。ドクゼツでこっちの心抉りにくるスタイルなんだけど、ダンスシーンはベンキョーになるから観てる」
「ナッツに同じ」
「トモまで」
「ケータイのゲツガクリョウキンに親がうるさいから、たまによ、たまに」
くだくだとしゃべっていると、ヘキサがレッスン室に戻ってきた。
ヘキサは講師に何事か話すと、一直線にこちらに来て荷物を持ち上げた。明らかに帰る態勢だ。
「ごめんなさい。家族がケガしたって。病院に行かなきゃいけなくなったから、早退する」
ヘキサは青い顔で一気に言い上げた。
「家族って……まさか光実くん?」
ヘキサは無言で肯いた。咲は慌てて立ち上がり、ヘキサの手を掴んだ。
「ま、待って! ……それ、ヘルヘイム関係?」
咲も、仲間たちも注目する中、ヘキサはまた肯いた。
「……“森”にいる時に。ユグドラシル側の人が誤射したそうなの。意識が戻らなくて」
「それ、ほんとに誤射?」
「分からない……少なくとも貴兄さんはそうホウコクを受けたらしいわ」
「今の電話、上のお兄さんから?」
「ええ。自分は行けないから、わたしにたのむって」
貴虎が行けないからといって小学生のヘキサを行かせるということは、それほど貴虎側の事情は込み入っていると予想される。ヘルヘイムの森に探索に行った紘汰が心配だ。
咲はヘキサの手を離し、ナッツたちをふり返った。
「みんな。あたし、レッスンが終わりしだい、ヘルヘイムの森に行くから。帰りおそくなったら、言い訳おねがいね」
「おうさっ」
「……了解」
「任されたわ」
休憩終了のホイッスルが鳴った。ヘキサは着替えもせず、学生鞄を持ってレッスン室を出て行った。
咲は胸に心配を抱えながら、それでも仲間に付いてレッスンに戻った。
後書き
まずはコドモたちの話題に上がった「浅井姫華」というキャラクター案を下さった読者様の一人にこの場を借りてお礼申し上げます。こんな形でしか登場させられなくて申し訳ありません。
さあここからはスピード展開になります。色んなことが一気に起きます。
もし混乱された方がいらしたらじゃんじゃん聞いてください。説明できる限りでしますから。
ページ上へ戻る