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機動戦士ガンダムSEED DESTINY~SAVIOUR~

作者:setuna
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第三十一話 裏切り

 
前書き
オーブ軍と交戦するミネルバ。
そこで…。 

 
ステーション1にはAAとエターナルの2艦しか来なかった。
だが、エターナルから発進したミーティア装備のストライクフリーダムにより防衛隊は既に多大な被害を被っていた。

ラクス『こちらはエターナル。ラクス・クラインです。中継ステーションを護衛するザフト軍兵士に通告いたします。私達はこれより、その無用な大量破壊兵器の排除を開始します。それは人が守らねばならないものでも、戦うのために必要なものでもありません。平和のためにとその軍服を纏った誇りがまだその身にあるのなら、道を空けなさい!!』

クレア「何を!!そっちこそよくも今まで、平和を誓ったはずのユニウス条約破りの核動力のフリーダムとかエターナルを隠し持っていたね!!」

ナオト「AAとかあの金ピカMSについての説明もして頂きたいね!!」

ラクス『それは、このような事態に備えるためです。想いだけでも、力だけでもだめなのです。あなた方も軍人であるならご自分の胸で考えてください。今のデュランダル議長の方針が正しいのかを』

ハイネ「へえ?じゃあ何かい?他人の正義が気にくわないから自分の正義を押し付けるかい?流石はお姫様…いいご身分だな!!」

ヒルダ「ラクス様を侮辱するなハイネ!!」

クレア「ハイネ!!」

3機のドムがハイネのデスティニーに向かう。

ハイネ「ジェットストリームアタックか?甘いんだよ!!」

ハイネのデスティニーがドムに接近し、ヒルダのドムを踏み台にする。

ヒルダ「なっ!?私を踏み台にした!!?」

ハイネ「そおら、墜ちろ!!」

至近距離で超射程ビーム砲を放つデスティニー。
マーズのドムの頭部が吹き飛ぶ。

ヒルダ「マーズ!!」

ハイネ「教えてくれよヒルダ!!どうしてラクス・クラインにつくんだ!!?」

ヒルダ「決まってるじゃないか!!ラクス様こそがコーディネーターの未来を創るからだ!!」

ハイネ「未来ね!!あんな戦争しかしない女のどこが信じられるんだか!!」

ヒルダ「何だと!?」

ハイネ「誰もが平和を望んだはずだ!!何がいけない、何が悪い!!?デスティニープランが駄目ならどうすれば俺達は戦争せずに済む!?ラクス・クラインに世界を任せれば、世界は本当に平和になるのか!!?」

ナオト「ハイネ…」

ヒルダ「何を言っている!?」

ハイネ「まともな政策1つ示すことが出来ず、戦争しかやらない女に世界を任せられるお前の正気を疑うぜ!!」

ヒルダ「黙れええええ!!」

デスティニーに切り掛かろうとするドムにビームが放たれた。

ヒルダ「!?」

ハイネ「お?お前ら久しぶりじゃねえか!!ゲイル、ショーン!!」

ゲイル「加勢しますハイネ!!」

ショーン「さあ、派手にやろうぜ!!」

ビームの放たれた方向を見遣ると、オレンジショルダーのゲイルのグフとショーンのザクであった。
この2機はかつてのレイとルナマリアの愛機である。

ハイネ「オレンジショルダーは同志の証ってな!!ゲイル、ショーン、散開して行くぞ!!」

ゲイル「了解した!!」

ショーン「おう!!」

ハイネのデスティニー、ゲイルのグフ、ショーンのザクが散開する。

ムウ「ムウ・ラ・フラガ、アカツキ。行くぜ!!」

そしてAAからシラヌイパック装備のアカツキが出撃する。

レイ「この感じ…?」

アカツキのパイロットに反応するレイ。

クレア「レイ?」

レイ「生きていたのか…ネオ・ロアノーク…」

どうしてAAにいるのかは分からないが、敵となるなら戦わなければならない。

ムウ「お?白い坊主君か?」

レイ「ネオ・ロアノーク…生きていたか…ならば今度こそお前を討つ。ステラのためにもな!!」

ムウ「俺はムウだ!!間違えるな!!」

アカツキとレジェンドがビームサーベルを構えてぶつかり合った。
デスティニーインパルスもストライクノワールもガイアもインパルスもオーブ軍と交戦を始めた。

ステラ「…っ!!」

ステラはガイアのバーニアを吹かし、攻撃をかい潜りエターナルに接近する。
ライフルをエターナルに向ける。
引き金を引こうとした瞬間。
ガイアに向けてスレイヤーウィップが放たれた。

ステラ「!?」

ステラは咄嗟にガイアのシールドで防ぐ。
何と攻撃を仕掛けたのは白いグフである。

ルナマリア「グフ!?グフが何で!?」

ディアッカ「おいおい…隊長。俺達はザフト何じゃないの?」

イザーク「聞け、ジュール隊各員!!俺はエターナルを援護する!!あれはザフトの艦だ!!だがこれは命令ではない!!各々の判断で行動してくれ!!」

シホ「隊長…」

ディアッカ「はあ…そういうことね…OK!!」




































ハイネ「だとよ、ショーン、ゲイル。どうする?」

ゲイル「ジュール隊長は各々の判断で行動しろと言われた。ならば俺はミネルバを援護する」

ショーン「同じく!!」

ゲイルとショーンは引き続きハイネと連携し、ドムと交戦する。







































一方、メサイアで待機していたシンは妹のマユの形見である携帯を開く。

『はい、マユで~す。でもごめんなさい。今マユはお話出来ません…』

シン「………」

目を閉じると今までのことが走馬灯のように駆け巡る。
それと同時にレイから聞いたあの会話が脳裏を過ぎる。










































シン『これがデスティニープラン…なのか?』

レイ『お前が驚くことはないだろう。議長が目指されていた世界がどんなものかはお前も知っていたはずだ。』

シン『でも、急にこんなこと言ったって世界は大変だよ!!』

レイ『ああ…大変なことだ。議長は世界を作り変えようとしているんだからな。反発や不安から異を唱える者も現れるだろう…だが……人はもう本当に変わらなければならないんだ…でなければ救われない…!!私欲のために戦争を煽る者や、あんな…強化人間にされた子供達…こんな世界はもう…?』

シン『レイ?』

言葉が途切れたレイを不思議そうに見つめるシン。
すると…。

レイ『う…』

苦しそうな表情を浮かべるレイにシンは思わず駆け寄る。

シン『レイ…!?どうした?』

レイ『何でもない…構うな!!』

シン『でも…』

レイ『聞け…議長の言う世界の実現にはお前とアレックスの“力”が必要なんだ…だから議長はアレックスとお前に“セイバー”と“デスティニー”を託した…まだ戦いは終わっていない…この先にも辛く苦しい選択もあるだろう。だが…何が起ころうと誰が何を言おうと議長を信じろ。そうすればお前の望みは叶えられる。』

シン『うん…けど何だよいきなり?何かドラマの死んでいくオヤジみたいだぞ……』

レイ『実際俺にはもうあまり未来はない。テロメアが短いんだ…。生まれつき』

シン『は…?』

レイ『俺は…クローンだからな』

シン『!?』

その言葉にシンは一瞬、レイが何を言っているのか理解出来なくなった。

レイ『キラ・ヤマトという、夢のたった1人を作る資金のために俺達は作られた。恐らくはただ“出来る”という理由だけで…だが、その“結果”の俺は…ふっ…どうすればいいんだ……父も母もない。俺は俺を作った奴の夢など知らない。人より早く老化し、もうそう遠くなく死に至るこの身が、化学の進歩の素晴らしい結果だとも思えない…』

シン『レイ…』

レイ『もう1人の俺とも言える兄はこの運命を呪い、全てを壊そうと戦って死んだ。だが誰が悪い?誰が悪かったんだ?俺達は誰もが皆、この世界の“結果”の子だ…。だからもう全てを終わらせて変える…二度と戦争のない世界。お前は誰よりもそれを望んでいるはずだ。ならば…その未来はお前が守れ…俺達のように…家族を…仲間を…大切な人を失うような子供がもう二度と生まれないように…』







































シン「レイ…」

親友の言葉を思い出していたシンにアレックスが声をかける。

アレックス「シン、大丈夫か?俺達もそろそろ出撃だぞ。浮かない顔をしているが大丈夫か?」

シン「あ、いえ…俺達はこっちに来ちゃったけど…ミネルバは大丈夫なんですか?」

アレックス「ミネルバなら大丈夫だ。ミネルバにはナオトやハイネ達がいるんだからな」

シン「………」

アレックス「心配しなくてもステラは無事だ。もっと信じてやれ…あの子は強い。奴らの目的はメサイア内部のデスティニープランの中枢システムとレクイエム本体の破壊が目的だろう。守り通すぞ…シン。」

シン「はい…でも……」

アレックス「ん?」

シン「世界を変えて、戦争のない世界を創るためなら俺は戦います。…でもレイの…レイの運命は…?」

アレックス「………」

シン「レイの明日は…どうなるんですか?俺達には未来があるのに…あいつだけ…」

アレックス「仕方がない…クローンである以上、テロメアの問題は避けられない」

シン「………」

アレックス「だが、可能性はある」

シン「え?」

アレックス「強化人間の今までの医療データを使えば、投薬による人並みの延命が可能になるらしい。」

シン「え…?」

アレックス「強化人間ではナチュラルをコーディネーター並に強化するための薬物投与だが、レイはそうする必要はない。薬を一生手放せないかもしれないが、今も似たような状況だからな」

シン「それって…!!」

見えてきた希望にシンの表情が明るくなっていく。

アレックス「レイにも明日があるということだ…」

シン「そうですか…よかった…」

レイの明日は手に入った。
だが、問題はそれだけではない。

シン「あの…」

アレックス「ん?」

シン「フリーダムのパイロット、アレックスの親友だったんですよね?」

アレックス「ああ」

シン「今更かもしれないけど、フリーダムのパイロットってどんな人だったんですか?」

あれ程の操縦技術を持つパイロットがどんな人物だったのか今更だが気になったシンはアレックスに尋ねる。

アレックス「キラか?そうだなあ…泣き虫で甘ったれで、優秀な癖にいい加減で…でも優しくていい奴だった…」

シン「……」

アレックス「あいつとは月の幼年学校まで一緒だった。俺達がプラントに移り住んで、再会した時には敵になってしまった…今もな…。」

シン「アレックス…」

アレックス「シン、今から言う言葉じゃないかもしれないが、キラもラクスもカガリも、悪い奴じゃないんだ。あいつらはただ罪を重ねたけれど、あいつらは力を持っていた。だからそれを使って平和を創ろうとした。ただそれだけなんだ。お前が、キラ達を討つことになっても、それだけは覚えておいてくれよ。あいつらは嫌というほど真っ直ぐであろうと、善人であろうとしただけなんだ。」

シン「…………」

アレックスの言葉にシンは俯いた。
シンからしてみれば、キラもラクスもカガリも敵でしかない。
キラ達が介入しなければ失わずに済んだ命も沢山ある。

アレックス「無理にとは言わない…さあ行こうシン。出撃だ…終わらせるんだ。俺達の手でな」

シン「…はい!!」

アレックスに続いてシンも部屋を後にし、自身の搭乗機に向かう。


















































そしてそれぞれの搭乗機に乗り込み、出撃準備をするアレックスとシン。

『セイバー、デスティニー。発進』

アナウンスにより、デスティニーとセイバーが動き出す。

アレックス「シン、行くぞ!!」
シン「はい!!行きましょうアレックス!!シン・アスカ、デスティニー。行きます!!」

アレックス「アレックス・ディノ、セイバー。出る!!」

シンのデスティニーとアレックスのセイバーが発進する。
全てに決着をつけるために。 
 

 
後書き
シンとアレックス出撃。
次回はオーブとザフトの全面対決。 
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