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機動戦士ガンダムSEED DESTINY~SAVIOUR~

作者:setuna
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第三十話 デスティニープラン

 
前書き
とうとう最終決戦までこぎつけました。 

 
ジブリールを討った翌日。
デュランダル議長が演説を行うらしいと聞いて、全員がモニターに集まった。

デュランダル『……今私の中にも皆さんと同様の悲しみ、そして怒りが渦巻いています。何故こんなことになってしまったのか。考えても既に意味のないことと知りながら私の心もまた、それを探して彷徨います。私達はつい先年にも大きな戦争を経験しました。そしてその時にも誓ったはずでした。こんなことはもう二度と繰り返さないと。にも関わらずユニウスセブンは落ち、努力も虚しくまたも戦端が開かれ、戦火は否応なく拡大して私達はまたも同じ悲しみ、苦しみを得ることとなってしまいました。本当にこれはどういうことなのでしょうか。愚かとも言えるこの悲劇の繰り返しは。一つには先にも申し上げたとおり、間違いなくロゴスの存在所以です。敵を創り上げ、恐怖を煽り戦わせてそれを食い物としてきた者達。長い歴史の裏側に蔓延る彼等、死の商人達です。だが我々はようやくそれを滅ぼすことが出来ました。だからこそ今敢えて私は申し上げたい。我々は今度こそ、もう一つの最大の敵と戦っていかねばならないと』

ルナマリア「え?」

アレックス「………」

デュランダル『そして我々はそれにも打ち勝ち、解放されなければならないのです。皆さんにも既にお分かりのことでしょう。有史以来、人類の歴史から戦いの無くならぬわけ。常に存在する最大の敵、それはいつになっても克服できない我等自身の無知と欲望だということを』

ステラ「…?」

デュランダル『地を離れて宇宙を駈け、その肉体の能力、様々な秘密までをも手に入れた今でも人は未だに人を分からず、自分を知らず、明日が見えないその不安。同等に、いや、より多く、より豊かにと飽くなき欲望に限りなく伸ばされる手。それが今の私達です。争いの種、問題は全てそこにある!!だがそれももう終わりにする時が来ました。終わりに出来る時が。我々は最早その全てを克服する方法を得たのです。全ての答えは皆が自身の中に既に持っている!!それによって人を知り、自分を知り、明日を知る。これこそが繰り返される悲劇を止める唯一の方法です。私は人類存亡を賭けた最後の防衛策としてデスティニープランの導入実行を、今ここに宣言いたします!!』

ナオト「遂に議長がデスティニープランを…」

ハイネ「長かったな…」

デュランダル『デスティニープランは我々コーディネーターがこれまで培ってきた遺伝子工学の全て…また現在最高水準の技術をもって施行する究極の人類救済システムです。人はその資質の全て…性格、知能、才能…また重篤な疾病原因の有無の情報も本来体内に持っています。まずそれを明確に知ることが重要です。今のあなたは不当に扱われているかもしれない。誰もあなた自身すら知らないまま、貴重なあなたの才能が開花せずにいるのかもしれない…それは人類全体にとっても非常に大きな損失なのです。私達は自分自身の全てを、そしてそれによって出来ることをまず知るところから始めましょう。これはあなたの幸福な明日への輝かしい一歩です』

ステラ「…デスティニープラン…って何?」

ルナマリア「知らないわよそんなの、何で私に聞くの?こうなったら…」

ステラ「?」

ルナマリア「身内に聞くのよ!!」




































そして来たのはアレックスの部屋。
ルナマリア達だけでなくシン達までいる。

アレックス「…何で俺の部屋に来たんだ?」

ルナマリア「それはアレックスが議長の身内だからです。さあ、デスティニープランって何ですか?教えて下さい」

アレックス「あ、ああ…早速議長に連絡を取ったんだが、大掛かりな遺伝子的な“自分を探す”システムにハローワークを組み合わせたようなものだ。コーディネーターとナチュラルの確執を取り除く物だ」

ルナマリア「それってどういうことなんですか?」

アレックス「例えば、俺達コーディネーターはナチュラルよりも能力が高いが、ナチュラルの全てがコーディネーターに劣るわけじゃない。事実、レイもナチュラルだが、並のコーディネーターより能力が高いだろう?」

ルナマリア「レイはナチュラルなんですか!?」

アレックス「何だ?知らなかったのか?」

ルナマリア「初耳ですよ!!」

アレックス「まあレイと同じとまではいかなくても、優れた能力が人それぞれ何かあるのは確かだ。デスティニープランは、それを見つける事。自分の一番得意な分野で勝負すれば、ナチュラルだってコーディネーターに勝てる。実際連合にだってコーディネーターを上回る能力を持った人だっている。ステラの上司であるネオ・ロアノークのように。」

シン「…確かに」

他の連合の軍人と比べてネオは確かに他より頭一つ抜けていた。

ハイネ「じゃあ、遺伝子の結果で仕事を強制されるとかは無いのか?」

アレックス「無いらしい。あくまで自分の意思でやりたい者はやればいい、と言っていたからな。上から強制するのではなく、人々が自主的に賛同する形で実施するそうだ。遺伝子的にどうこう言われても好きなものは好きだし、嫌いな物は嫌いだからな。」

ステラ「…?」

まだ理解していないのかステラは首を傾げている。
アレックスは少し考えると口を開く。

アレックス「ステラ、君は海が好きだろう?」

ステラ「うん、好き」

アレックス「ならもし、海を見てはいけないと言われたらどうする?」

ステラ「嫌」

アレックス「だろう?つまりそういうことだ。」

クレア「そうだよね。やってる事が楽しいからいいんだって人は沢山いるし、好きだから、素質はあるけどいい加減にやってる人より上達もする事だってあるだろうし、ハローワークにない新しい仕事を考えつく人もいるだろうし」

アレックス「それに、プラントの婚姻統制だって強制じゃないだろう?理屈じゃないんだ」

シン「遺伝子だと分からないことだってありますしね」

アレックス「そうだな。例えばリーダーとかだな。ある程度の能力を伸ばすくらいなら出来るだろうが、これは培ってきた経験や育んできた人格が占める部分が大きい」

ナオト「そうだよね、私も指揮はあんまり得意じゃないし…」

シン「ルナの射撃は一向に上達しないしな」

ルナマリア「シン、あんた後で覚えてなさい」








































議長の演説やデスティニープランについて話していたら、ヴィーノが部屋に駆け込んできた。

ヴィーノ「みんな、アルザッヘルが撃たれた!!」

シン「え?」

ヴィーノ「連合のあのレクイエムで!!」

シン「ええ?」

ルナマリア「何で!?誰が!?」

レイ「基地に反抗の動きがあったんだ。それをローラン隊が討ったということだ」

シン「レイ!!」

部屋に入ってきたレイに全員の視線が注がれる。

クレア「反抗?」

ルナマリア「軍はあれを直したの?」

レイ「言った通りだろ?シン。例え良いことでもスムーズにはいかない」

その後、オーブ宇宙軍がデスティニープランの強制への反対と大規模破壊兵器の排除を宣言して、レクイエムのステーション1を目指して進軍を開始したと報告があったのはそれからしばらくしてだった。











































シン「本当に一体何を考えてんだよオーブは!!?デスティニープランは強制的な物じゃないのに!!」

アレックス「そう言うなシン。レクイエムはザフトが握っている。強制されると思っても不思議じゃない。」

クレア「でもオーブだってユニウス条約違反の核動力のフリーダムとかを隠してたんだし今更だよね…」

ナオト「そうだよね、ユニウス条約の明白な違反だよ。おまけにエターナルまで…これほどの宇宙戦力を保持しておきながら、強すぎる力は争いを呼ぶ?笑っちゃうね。にしても、もどかしいな。議長ももっと上手くやれなかったのかな。反ロゴスで世界を纏めた手腕は見事だったけど」

ハイネ「言うな。今更言っても後知恵になるだけだ。」

ミネルバは、ステーション1の防衛を命じられた。
やってくるオーブ軍の中には、あのエターナルも確認されたと言う。
ストライクフリーダムやインフィニットジャスティスもきっと現れるだろう……。

クレア「でも、オーブ全軍はダイダロス基地に向かっちゃって、ステーション1に来るのはAAとエターナルだけ?」

ハイネ「オーブ本土じゃ反政府デモとかがあると聞くし、オーブも苦しいんだろうな」

そしてしばらくしてアレックスとシンにメサイアに向かうようにと命令が言い渡される。







































デスティニーとセイバーが発進し、メサイアへ向かう。
それをナオト達は休憩室で見つめていた。

レイ「クレア」

クレア「何?」

レイに呼ばれたクレアは不思議そうにレイを見遣る。

レイ「少し話したいことがある。いいか?」

クレア「え?うん。出撃まで時間があるからいいよ。」

ルナマリア「なぁに、レイ。ひょっとして、クレアに愛の告白!?」

クレア「え、ええ!!?」

レイ「違う」

クレア「………」

あっさりと否定されたことに複雑な表情を浮かべた。



































クレア「それで…話って何?」

シンとレイの部屋に連れて来られたクレアはレイに尋ねる。

レイ「ああ、これは議長とアレックス、ナオト、シンしか知らないことなんだが…」

クレア「うん?」

レイ「…俺にはもうあまり未来がない。」

クレア「え?どういうこと?」

レイ「実は、俺はクローンなんだ……生まれながらにしてテロメアが短い」

クレア「じょ、冗談でしょ…?クローンとかテロメアが短いなんて…」

レイ「本当だ…今まで黙っていてすまなかった……」

クレア「嘘…」

レイ「おそらく俺は、議長が作る新しい世界を見届ける事は出来ないだろう」

クレア「嫌だ…聞きたくない…そんなの聞きたくない!!」

耳を塞いで頭を振るクレアにレイはクレアの肩に優しく手を置いた。

レイ「大事な話なんだ。お前に聞いて欲しい」

クレア「嫌だよ!!僕はそんな話聞きたくない!!死ぬとかそんなこと言わないでよ!!生きてよ、諦めたりなんかしないでよ!!僕は…僕はレイに生きてて欲しい!!」

レイ「クレア…」

クレア「諦めたりしないでよ…レイのオリジナルが何歳の時のクローンか知らないけど、人類の理論上の最大寿命は120歳なんだって…もっと延びるかもしれないよ…?それに長生きしてたらクローンの短命も何とかなるかも…」

レイ「……クレア、お前…」

クレア「行こうよ、レイ。僕達の明日を手に入れよう。」

レイ「ああ、そうだな……クレア」

クレア「何?」

レイ「勝つぞ。俺達は死ぬわけにはいかないからな」

クレア「うん!!」

レイとクレアは部屋を後にした。






































メサイアに着いたシンとアレックスは議長の元に来ていた。

デュランダル「やあ…よく来てくれたね。アレックス…シンも」

アレックス「議長…」

シン「……」

デュランダル「君達のおかげでようやくここまで辿り着けた…本当に感謝しているよ…しかし、アーモリーワンでの強奪に始まってユニウスセブンの落下。そして戦闘からロゴスとの戦いまで、君達にも随分と大変な思いをさせてしまった…」

アレックス「いいえ、議長。私はただ自分が出来ること、そして望むことをしただけです」

デュランダル「そう言ってくれると嬉しいよアレックス。君達も知っていると思うが、反抗の兆しを見せた連合のアルザッヘル基地を撃ったので、それを口実に出て来たようだが…」

シン「はい…」

デュランダル「困ったものだ…我々はもう戦いたくないと言うのにね。確かにレクイエムを使った我々にも非はあるかもしれないが…。」

アレックス「…言い訳に聞こえますが仕方がないと思います。ザフトは月やレクイエムのステーションでの戦闘で疲弊していましたから…。それに壊滅した連合艦隊の調査の結果を聞くと連合は核を撃とうとしていた…。プラントを守るためには…仕方がなかったんだと思います。」

デュランダル「そうかね…」

シン「議長…」

デュランダル「ん?何かな?」

議長がシンの方を見遣る。
シンも一息ついて口を開いて言葉を紡ぎ始める。

シン「…俺は二度と戦争が起こらない世界を創りたいです。未来を守りたい…俺のように…親や大切な人を失うような子供がもう二度と生まれないように…だから……俺は戦います。最後まで!!」

デュランダル「そうか…君はどうかね?アレックス。」

アレックス「はい。私もシンと同じ思いです。二度と戦争が起こらない世界を創りたい。未来を守りたい。そのために俺は戦って来ました。これはこの場にいないナオト達も同じ気持ちです。」

デュランダル「…ならば終わらせてくれ。君達の“力”で」

アレックス、シン「「はい!!」」

強い意志を胸に秘めながらアレックスとシンは敬礼をするとこの場を後にした。





































そしてミネルバのミーティングルームでナオトとハイネが話していた。

ハイネ「少しは休めたかナオト?そろそろ俺達も出撃だぜ?」

ナオト「うん」

ハイネ「ミネルバにはFAITHが5人もいるんだ。ステーション1、守って見せなきゃな。」

ナオト「そうだね」

ハイネ「お前はどうする?」

ナオト「え?」

いきなりのハイネの問いにナオトは首を傾げる。

ハイネ「戦争が終わったら何がしたい?」

ナオト「あ、そういえば考えてなかった」

ハイネ「おいおい。まあ、お前がしたいことなんてお見通しだけどな。アレックスと結婚して子供を作って幸せな家庭を…だろ?」

ナオト「……っ、ハイネ…怒るよ?」

ハイネ「悪い悪い。だけどよ、それぐらいのことは考えてもいいんじゃないか?今まで頑張って来たんだから人並みの幸せを手に入れてもさ」

ナオト「幸せ…」

メイリン『コンディションレッド発令、コンディションレッド発令。パイロットは速やかにMSに搭乗してください』

ハイネ「おっと、来たか。行くぞナオト。シンとアレックスが来る前にステーション1を墜とされないようにしないとな」

ナオト「うん。」









































ナオト達がMSデッキに着くのと同時に搭乗機にて待機していると…。

タリア『これより本艦は戦闘を開始する!!MS隊全機発進!!全砲門開け!!目標、AA!!ザフトの誇りにかけて、今日こそあの艦を討つ!!』

全員【了解!!】

メイリン『ナオト・フジワラ、ストライクノワール発進スタンバイ。全システムの起動を確認しました。発進シークエンスを開始します。ハッチ開放。射出システムのエンゲージを確認しました。カタパルトオンライン。射出推力正常。針路クリアー。ストライクノワール、発進どうぞ』

ナオト「長い付き合いだったね…ナオト・フジワラ、ストライクノワール。出るよ!!」

メイリン『ガイア、発進どうぞ』

ステラ「ステラ・ルーシェ、ガイア。行くよ」

メイリン『デスティニー、発進どうぞ』

ハイネ「ハイネ・ヴェステンフルス、デスティニー。行くぜ!!」

メイリン『レジェンド、発進どうぞ』

レイ「レイ・ザ・バレル、レジェンド。発進する!!」

メイリン『デスティニーインパルス、発進どうぞ』

クレア「クレア・トワイライト、コアスプレンダー。行くよ!!」

メイリン『インパルス、発進どうぞ』

ルナマリア「ルナマリア・ホーク、コアスプレンダー。行くわよ!!」

世界の命運をかけた最後の戦いが始まろうとしていた。 
 

 
後書き
最後の戦い。
勝つのはザフトか?
それともオーブか? 
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