Element Magic Trinity
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壊滅のアマリリス
30分後。
ギルドには機能を停止してただの鉄屑と化した設置型の完全自律型魔導式兵器、デバイス・アームズが数多く転がっていた。
「ハァ・・・ハァ・・・」
「何だよこいつ等・・・」
「何もしてこねぇくせに・・・無駄に頑丈だな」
相手が何もしてこないからギルドはテーブルなどが壊れている程度だが、相手をしたナツ達は魔力も体力もほぼ限界であり、破壊した際に飛び散った鉄屑が多少の傷をつけている。
「ガジガジガジ・・・食っても食っても減らねぇとは、キリがねぇな」
「これでは兵器が完全に消えるより、ガジル様が満腹になる方が早いですわ」
鉄屑の山を崩しているのはガジルとシュラン。
が、幾らガジルが鉄を食べられるとはいえ当然限界があり、軽く100を超えるデバイス・アームズの残骸を全て食べ切るのは不可能だ。
「ナツ、さっき殴られたトコ平気?」
「おうっ!何ともねぇぞ!さっきルーに治してもらったしな」
ハッピーは先ほどキャトルから喰らった金牛宮の拳のダメージを心配するが、当のナツは何事もないかのようにピンピンしていた。
「痛た・・・」
「アラン君、大丈夫?」
「うん、何とか・・・」
刃の生えたデバイス・アームズを破壊したアランが表情を小さく歪めながら拳を撫でる。
どうやら、少し刃が掠ったようだ。
「マスター」
「ワシは大丈夫じゃ。奴がしてきたのは単なる拘束、ダメージはない」
エストによって拘束されていたマカロフも既に拘束から抜け出しており、エルザに答える。
メンバー全員、多少の傷を負いながらもピンピンしていた。
―――――――1人を除いて。
「・・・悪ィ」
ポツリ、と。
空っぽの樽に座って俯いていたアルカが呟いた。
全員の視線がアルカへと向く。
「何言ってんだよアルカ、お前は悪くねーだろ」
「そうだよ!」
「違ェよ・・・」
その声に、いつもの力はない。
弱々しく、力がなく、今にも折れてしまいそうな声だった。
「ミラ」
「なぁに?」
くるりと振り返って、ミラはいつもと変わらない優しい笑顔を浮かべる。
ぎゅっとアルカは拳を握りしめた。
音もなく立ち上がり、目線を下へ下げたまま―――――告げる。
「別れよう」
一瞬、その言葉の意味を、ギルドにいた全員が理解出来なかった。
数秒経って意味を理解して、聞き間違いじゃないかと全員が疑う。
「・・・え?」
ミラの顔から笑みが消えた。
ゆっくりとその目が見開かれて、その手から銀のお盆が落ちる。
カァン、というお盆の落ちる音を耳にしながら、アルカは立ち尽くすミラの横を進んでいった。
「今まで、楽しかったよ」
ギルドの入り口の前で足を止め、顔だけ振り返る。
笑っていた――――これ以上ないくらいに、ヘタクソに。
口元は笑みを浮かべているが、その目は悲しそうで辛そうで、今にも泣きだしそうに見えた。
「――――――じゃあな、お前等」
短い別れの言葉。
ただそれだけを告げ、アルカはギルドから姿を消した。
その後ろ姿がどんどん遠くなっていく。
「どういう・・・事?」
「じゃあな、って・・・まさか!」
嫌な予感がした。
嫌な予感しかしなかった。
あのアルカがミラに別れを告げ、ナツ達にも別れを告げる。
それが意味するのは―――――――。
「っ・・・アルカ!」
「ミラさん!?」
ミラは数秒震え、耐えられなくなったように駆け出した。
銀髪を揺らして、ここからじゃもう見えないアルカの背中を追う。
「アルカ・・・」
ルーの声が震える。
被害者の子供と加害者の子供。
ドラマ等でありそうな状況に、ルーはどうしようもなく座り込んだ。
「どうしよう・・・どうしたらいいんだろ・・・」
「ルー・・・」
頭を抱えるルーをルーシィが辛そうに見つめる。
本日何度目か、静かになったギルドに、悲痛なルーの叫びが響いた。
「僕はどうしたらいいんだろう!」
「大変ですね・・・妖精の尻尾も」
1人の少女が、映像録画魔水晶を両掌にのせ、そこに映る光景を見つめていた。
「どうするんです?ミストガン。あなたの所属ギルド、なぁんかいろいろ大変そうですよ?闇ギルドが奇襲してきたみたいですし」
「ああ・・・だが、アイツ等は絶対に引き下がらない。意地でもティアに追いつくだろう」
「ですね♪」
マグノリア、東の森。
その森の大樹の根っこに腰掛けたメープルは、静かに佇むミストガンを見上げて微笑んだ。
「それで・・・今回はどうします?あなただってあのギルドの1人だから黙っていられないとは思いますけど・・・私も力を貸しましょうか?」
「いや・・・メープル、お前はあっちを頼む」
首を傾げて訊ねるメープルに、ミストガンは静かに呟く。
「今回は、私だけで十分だ」
その声に、その覆面で隠された顔に。
目に見えない、確かな怒りを滲ませて―――――――。
「おじーちゃん・・・僕、どうしたらいいの?」
マカロフに目を向け、ルーは問う。
その目は涙を堪えるように潤んでおり、きつく拳を握りしめていないと今にも泣いてしまいそうだった。
「ずっと・・・ずっと血塗れの欲望が憎かった。いつか絶対みんなの仇を取ろうって思って、だからティアに無理言って大空でも出来る攻撃魔法を教わって、狙撃の腕だって磨いたのに・・・僕が倒そうって思ってたのは、アルカのお父さんだったなんて・・・」
黒い瞳から、涙が零れる。
ポロポロと落ちて、ギルドの床を濡らす。
「大切な人達が死んだ時、言葉じゃ表せないくらい辛い思いをするって、僕は知ってるはずなのに・・・アルカに同じ思いをさせようとしてたんだ!だけどアイツ等を許せない・・・許したくないっ!もう・・・訳解んないよ。どうしたらいいんだよおおおおおおおッ!」
沸き上がる憎しみ、悲しみ、怒り、辛さ。
仇を討ちたいと思う気持ちと、アルカに辛い思いをしてほしくないという気持ちがルーの中で生まれ、真正面からぶつかり合って、矛盾を生む。
どうしようもない感情の爆発を叩きつけるように、ルーはテーブルを握った拳で強く叩いた。
反動で酒の入ったジョッキが跳ね、中身が零れる。
「・・・ルー」
「!」
テーブルに突っ伏して肩を震わせるルーに、マカロフが声を掛ける。
ピクリと小さく反応したルーは素早く顔を上げた。
頬は涙で濡れ、止めどなく涙が溢れている。
「お前は故郷の皆の仇をとりたいんじゃな?」
「・・・うん、みんなは僕にとって大切な人達なんだ」
「お前はアルカを悲しませたくないんじゃな?」
「うん・・・アルカは僕のお兄ちゃんみたいな存在だから」
だから、矛盾が生まれる。
大切な人の為に動けば、大切な人が悲しむ。
故郷の人達を取るか、アルカを取るか・・・究極の選択だった。
だが―――――
「ルー、よく聞け」
マカロフは、そのどちらも選ばせない。
「仇をとる事の全てが、人を傷つける事ではない」
よく通る声。
真っ直ぐにルーを見つめて、マカロフは何の迷いもなく言い放った。
「ルー、お前の魔法は何の為にある?」
「何のって・・・防御とか、回復とか、補助とか・・・」
思い出すように目線を上げ、左手の指を3本立てる。
その答えに満足したように、マカロフは深く頷いた。
「だったらお前にしか出来ない仇の取り方があるはずじゃ」
「僕にしか・・・出来ない?」
「故郷の皆もアルカも救える方法がきっとある。ルー、お前にはそれを見つける力がある」
そう言って、マカロフは真っ直ぐルーを見つめた。
ルーも真っ直ぐにマカロフを見つめる。
そして―――――その顔に、いつもの子犬と評される愛らしい笑みが戻ってきた。
「そっか・・・!そうだよねっ!ありがと~おじーちゃん!」
ぱぁっと花が咲いたように笑う。
だが、すぐにその表情が沈んだような表情へと変わった。
そして、ゆっくりと口を開く。
「・・・でも、これでもう、隠しておけなくなっちゃったね」
諦めたような笑み。
言葉を失う全員に目を向ける。
数秒目を伏せ、先ほどまでアルカが腰掛けていた樽に腰掛けた。
「全部話すしかないねー・・・あんまり、話す気にはなれない話なんだけど」
はは、とルーの乾いた笑い声が小さく響く。
「・・・聞いて、くれる?」
今にも消えてしまいそうな、弱々しい声。
考える時間は必要なく、全員が頷いた。
それを確認したルーは口を開く。
「あれは・・・10年前の、僕の誕生日の前日の事だった」
10年前。
ルーの故郷、アマリリス村は血塗れの欲望によって壊滅に追い込まれていた。
「ルー、走って!振り返っちゃダメ!」
「気を抜くなっ!安全な所まで走るぞ!」
「う、うんっ!」
当時8歳、この次の日に9歳になるルーは父親の『エリアルド・シュトラスキー』と母親の『ヴァニラ・シュトラスキー』に手を引かれ、走っていた。
その背後で爆発音が響き渡る。
「うあっ!」
「大丈夫か、ルー!足場が悪いな・・・」
崩れた建物の残骸に足をとられてルーが転ぶ。
ルーを起こしながらエリアルドは表情を歪めた。
「!」
「父さん?」
すると、エリアルドは後ろに目を向け、ハッとしたように目を見開いた。
そんな父親の様子に不思議なものを感じたルーは首を傾げる。
エリアルドはゆっくりとルーに目を向けた。
「ルー、お前は母さんといっしょに逃げろ」
「え?父さんは!?」
「オレはここで戦う・・・これ以上好きなようにはさせない」
「で、でもっ!」
心配そうに声を上げるルーの頭に手を乗せ、くしゃっとエメラルドグリーンの髪を撫でる。
優しい笑みを浮かべ、エリアルドはルーを見つめた。
「大丈夫だ、父さんだって魔導士だぞ?」
「・・・うん」
「絶対勝つ。約束する。だから、母さんを守るって約束だ」
「・・・そうだよね!父さんは強いんだもんね!」
エリアルドの言葉は力強く、ルーの表情も明るさを取り戻す。
2人は小指を絡め、小さく上下に揺らした。
「約束な」
「約束だよ」
ふわり、と。
絡めた指が解ける。
エリアルドは腰に装備した銃を手に取り、ルーの手に握らせた。
「父さんの銃だ。もしもの事があったら使うんだ・・・いいか、もしもの時だけだぞ」
「うん・・・でも、そしたら父さんの銃は?」
「オレはもう1丁持ってるから大丈夫だ」
そう言われたルーはエリアルドの腰に目を向ける。
確かにそこにはもう1丁、銃があった。
それに安心したルーは銃を受け取り、胸に抱く。
「絶対勝ってね!父さんっ!母さん、行こう!」
「うん」
ルーとヴァニラは足場の悪い村を駆けていく。
その後ろ姿を優しい眼差しで見つめ、エリアルドは前を向いた。
遠くに見えるのは、深紅の髪。
駆けて行った息子へ、エリアルドは呟いた。
「・・・誕生日、祝ってやれなくてゴメンな」
「この辺りまで来ればっ・・・安心かな」
「まだ被害はないみたいだし・・・大丈夫そうね」
ルーとヴァニラは村の奥地にある森の入り口辺りにいた。
ハァハァと息を切らす2人の遠くで爆発音が響く。
残って戦っている父親を心配するように、ルーは遠くを見つめ―――――
「!うあっ!」
ズボッ、と。
突然地面に開いた穴に落ちた。
ボスッと落ちたルーは慌てて上に目を向ける。
「母さん!」
「大きな声を出しちゃダメ!気づかれるわ」
しっと唇に人差し指を当てるヴァニラ。
それに釣られるようにルーは両手で自分の口を塞ぐ。
「私は父さんの助太刀に行ってくる。ルーは騒ぎが治まるまでここにいなさい」
「え!?でも・・・」
「大丈夫よ。私だって魔導士だし、私には心強い仲間がいるもの。ねぇ?バルゴ」
「はい、ヴァニラ様」
ヴァニラの言葉に答えるのは、現在ルーシィの契約星霊である処女宮のバルゴ。
その姿はルーシィの時の姿と同じだ。
ルーの母親ヴァニラは星霊魔導士だったのだ。
「うん・・・母さんも、帰って来てくれるよね?」
「もちろんよ♪ルーを1人になんてしないわ」
ルーの不安そうな言葉にヴァニラはウインクを残し、姿を消した。
「大丈夫・・・父さんも母さんも、帰ってきてくれる」
自分に言い聞かせるように呟いて、ルーは銃を抱きしめた。
騒ぎの声が、どんどん遠ざかっていく。
ルーの視界がぼやけ、狭くなり―――――ルーの意識は途切れた。
次の日。
ルーの9歳の誕生日。
「・・・ん」
いつの間にか眠っていたらしい。
ルーは寝ぼけた目を擦りながら起き上がった。
辺りをきょろきょろと見回し、穴の中にいる事を思い出す。
「どうやって出よう・・・」
梯子もないし、魔法も使えない。
困ったように首を傾げたルー。
すると――――
「あ、あの・・・ルーさん!」
「!」
上から声が降ってきた。
可愛らしい女の子の声に、ルーは上を向く。
そこにはモコモコのミニワンピに、頭にくるんとした角を付けた、おどおどした様子の女の子。
「アリエス!」
ルーは声を上げた。
現在はルーシィの星霊である、白羊宮のアリエス。
カレン・リリカと契約する前、彼女はヴァニラの星霊だった。
「丁度いいトコに!あのさっ、アリエスの魔法で僕を出してくれない?」
「は、はいっ!やってみます!ウールチェーン!」
もこもこもこっ!と。
アリエスの手から放たれた、もこもこの羊毛で構成された鎖がルーまで伸びる。
「ありがと!よっ・・・と」
それを掴んで強度を確かめてから、ルーは上へと上がっていく。
身の軽いルーは数秒後には上へと戻ってきており、アリエスに背中を擦られていた。
どうやら疲れたらしい。
「・・・あれ?アリエス、母さんは?一緒じゃないの?」
だが、すぐに辺りを見回して首を傾げた。
アリエスの所有者であるヴァニラの姿がないのだ。
それを聞いたアリエスの表情が―――――明らかに、曇った。
「所有者は・・・」
アリエスの声が震えている。
嫌な予感が、ルーの心を支配した。
「・・・死に、ました・・・っ!」
何を言ってるのか、理解出来なかった。
所有者が死んだという事は、ルーにとっては―――母親が死んだという事。
「・・・ウソ、だよね?」
「・・・本当ですっ・・・だから今、私は誰とも契約してなくてっ・・・すみませんっ・・・」
アリエスが泣き始める。
星霊は、所有者が死んだら契約が解除される。
次の所有者が現れるまで、星霊は強制的に星霊界へと帰されるのだ。
「今は、星霊王にお願いして人間界にいられるんですっ・・・ルーさんに、所有者が死んだ事・・・伝えたいからって・・・!」
体が震え始める。
見開いた目が、虚無を映す。
震える声で、言葉を紡いだ。
「そんな・・・ウソだ・・・だ、だって・・・母さんは帰ってくるって!」
「ごめんなさいっ・・・ごめんなさい・・・っ!」
ルーの叫びにアリエスは謝り続ける。
アリエスは悪くない。ルーは解っていた。
今回責めるべきはアリエスじゃなく、敵だ。
「泣かないでアリエス、君は悪くないんだから・・・あとどれくらい、人間界にいられる?」
「あ、後・・・30分、くらいなら・・・」
「そっか・・・じゃあ、村を案内してくれる?」
その言葉に、アリエスは思わず瞬きを繰り返した。
ルーは諦めたような笑みを浮かべている。
「・・・はい」
自分達を大切にしてくれた所有者の息子の頼みなら。
アリエスはその思いを込めて、深く頷いた。
「・・・」
村は、見るも無残な状態だった。
そこには家も木も何も無く、ただただ“元々形を持っていたもの”が転がっている。
一言でまとめれば、瓦礫の山。
そして―――――立っているのは、ルーとアリエス、遠くで穴を掘るバルゴだけ。
「バルゴ?」
「・・・ルー様」
穴を掘るのを止め、バルゴは恭しくルーにお辞儀をする。
「何で穴掘ってるの?」
「・・・」
バルゴは答えなかった。
その無表情に、どこか辛そうな色が浮かぶ。
すると、別の声が聞こえてきた。
「ヴァニラさん達のお墓を創る為ですよ・・・MO簡単なモノですがね」
「タウロス!」
それは、木を抱えた金牛宮のタウロス。
アリエス、バルゴ、タウロス。
現在ルーシィと契約する3体の星霊は、ヴァニラの契約星霊でもあったのだ。
「・・・そっか、ありがとね。みんな」
寂しそうに微笑んで、ルーは辺りを見回す。
そして――――見つけた。
「・・・父さん」
自分と同じ、エメラルドグリーンの髪。
仰向けに倒れるエリアルドに歩み寄り、ルーはしゃがんだ。
その手には銃が握られている。
「あの、ルーさん」
「どうしたの?アリエス」
「この銃・・・」
アリエスもしゃがみ、エリアルドが握っている銃を手に取る。
そして、迷わず引き金を引いた。
「あっ」
アリエスの行動に小さく声を零すルー。
パン、と音が響き―――――
ルーは気づいた。
「え?」
銃口から放たれたのは―――――――BB弾。
「これって・・・まさか、玩具の銃?」
「みたいです・・・すみません」
「謝らなくていいって・・・にしても、どうして父さん・・・」
首を傾げるが、その答えはもう返ってこない。
答えを唯一知っている張本人に、答えは聞けない。
永遠の謎と化したエリアルドの行動に首を傾げながらも、ルーはその手に銃を戻した。
エリアルドから預かった銃も、腰のホルダーに戻そうとして―――――
「・・・やめた」
その動きを止めた。
代わりにエリアルドの腰のホルダーを外し、自分の腰へと装備する。
そこに預かった銃――――『タスラム』をしまった。
「ルー様?」
「これは父さんの形見としてもらっておこうと思って」
嬉しそうに、悲しそうに、ルーは銃を見つめる。
その時、アリエス達の体が光り出した。
「あ・・・お別れ、かな」
「はい・・・すみません」
「もー、アリエスってば最後まで謝らないでよ。最後くらい笑って?ね?」
「・・・はい」
いつもの癖で謝るアリエスに対し、腰に手を当てて軽く怒るルー。
その言葉にアリエスは少し驚いたように目を見開き、それからゆっくりと微笑んだ。
「ルー様、それでは」
「また会える日を、MO楽しみにしてます」
「うんっ!僕も楽しみだよ!だから―――――」
そして、ルーは微笑んだ。
明るく、ただただ明るく。
その近くで両親が死に、故郷が滅びても尚、明るく笑う。
「また会う日まで・・・またね!」
ルーが力の限り手を振った。
それと同時に、3人の姿が消える。
ゆっくりと、ルーの手が降りていく。
「・・・ひっ」
ぺたん、と。
ルーはその場に座り込んだ。
その目から大粒の涙が溢れ、染みを作っていく。
「うっ・・・うあああああああああああああああああっ!」
誰もいない、アマリリス村。
村人全員が倒れ息絶えた村に、ルーの泣き叫ぶ声だけが響いた。
そして、皮肉にも。
――――――――今日は、ルーの9歳の誕生日。
後書き
こんにちは、緋色の空です。
ルーの過去書けたー!でも何か下手だー。
というルーよりは軽い矛盾(あれ?矛盾でいいのか?)に陥っております。
次回はアルカが・・・!多分。
感想・批評、お待ちしてます。
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