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ヘタリア大帝国

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TURN143 ラストバトルその十四

 女王が死ぬとだ、ラムダス達は。
 急に動かなくなった、女王が死ぬ直前の瞬間まで連合艦隊に殺到せんとしていたが。
 まるで呆けた様だった、柴神はその彼等を見て東郷に言った。
「ではだ」
「はい、柴神様が仰った通りですね」
「最早この者達は何にもなってはいない」
「では今のうちに」
「掃討することだ」
 残った彼等をというのだ。
「暫く自分で動くことも出来ないからな」
「わかりました、それでは」
 連合艦隊は最後の掃討戦に入った、最早それはただ的に当てるだけのものでどうということはないものだった。
 その最後の掃討戦も終わろうとしているところでだ、星域に別の艦隊が来た。彼等は。
「まさかと思いますが」
「御主か」
 柴神はここでだった、モニターに出て来た犬の頭をした自分と同じ者を見て言った。白い狼を思わせる顔だ。
「リュタトゥスか」
「隊長ですか」
「久しいな、数万年振りだな」
「はい、全くですね」
「別れた時はまだ子供だったがな」
 柴神はその彼に笑いながら言う。
「大きくなったな」
「隊長が行方不明になられて心配していましたが」
「うむ、人間達の一部を連れて別世界に出ていたのだ」
「そうだったのですか」
「そうだ、そして今か」
「我々ノープドッグも人間達と文明を築きようやく彼等と戦えるだけの力を備えたのです」
「そのうえでだったのだな」
 今ラムダスの本拠地に入ってきたというのだ。
「だが女王はだ」
「隊長が倒されましたか」
「いや、倒したのは私ではない」
 柴神はそのことは首を横に振って否定した。
「私ではないのだ」
「では隊長の世界の人間達がですね」
「彼等が倒したのだ」
「そうだったのですか」
「彼等は私の仲間であり友だ」
 柴神は東郷達をこう紹介する。
「これからもな」
「では隊長は」
「この世界に戻るつもりはない」
 このことをだ、同族にはっきりと告げたのだ。
「私のいるべき場所を見付けたからな」
「それでは」
「そしてラムダス達だがもう女王は倒した」
「後は雑魚ばかりですね」
「ここのラムダス達もかなり倒した」
「後は各地にいるはぐれラムダス達を掃討すれば」
「この世界からもいなくなる」
 最早大勢は決したというのだ。
「御主達に任せていいな」
「はい、お任せ下さい」
「ではだ、私達は帰る」
「隊長がおられる世界にですね」
「そこで生きる、これからもな」
「ではまた」
「うむ、また会おう」
「平和になる二つの世界で」
「そうしよう」
 こう話してだった、柴神は古い仲間と再会と別れの挨拶をした。そのうえで別世界から去るのだった。
 連合艦隊はホワイトホールまで来た、そこで真希が父に言う。
「お父さん、これでなのね」
「ああ、終わりだ」
「私、いるだけだったね」
「そこまでの窮地はなかった、いいことだ」
 そのことを喜ぶ東郷だった。
「それではな」
「お家に帰るのね」
「お祝いだ、皆で楽しもう」
「うん、じゃあね」
 真希は東郷に満面の笑顔で応えた、皆戦いを終え満面の笑顔で彼等の世界に戻る。その彼等の世界では。
 カナダがだ、寂しい顔で自分の妹に話していた。その話はというと。
「あの、僕太平洋経済圏に入ってるよね」
「ええ、もうね」
「結構国力もあるのに」
「全然目立ててないわよね、私達」
「困ったね、いつものことだけれど」
「どうしたものかしら」
「気にしたらいけないよ」
「そうだ、祖国さん気にするな」
 そのカナダと兄と一緒に苦しい顔になっているカナダ妹にデカラヴィタとブラックホースが言う。
「私達は私達でやれることをやればいい」
「それだけだ」
「ううん、それでいいかな」
「目立てなくても」
「そうじゃないかい?」
「自分達のペースでやればいい」
「変に肩肘を張ることもない」
「そう思う」
 二人はこう自分達の祖国に言う、目立たなくてもいいかとだ。
 しかしだ、クマ二郎はこうカナダに言うのだった。
「誰もこっちに気付いていないからな」
「ううん、困ったねクマ四郎さん」
「ダリナンダアンタイッタイ(翻訳:誰なんだあんた一体)」
「君の飼い主のカナダだよ」
 このやり取りは健在だった、そして。
 東郷達が戻ると皆彼等を万雷の拍手と歓声で迎えた、カナダもそこに入るが彼を見ている者は一人もいなかった。


TURN143   完


                   2013・10・10 
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