FAIRY TAIL 友と恋の奇跡
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第173話 一夜を過ごすのはどこ?
前書き
駄作者07です!タイトル青い天馬の一夜の事じゃありませんよぉ~!
今回は大魔闘演舞2日目が終わり、森の小川で宴をする妖精の尻尾の魔道士一同。一方、妖精の尻尾ABは皆より一足先に森の小川を後にし、Aチームが泊まる『蜂の骨』に集まる事になった。
ナレーション風に書いていきます。
それでは、第173話・・・スタート!
妖精全「乾パァァァァァァァァァァイッ!!!」
大魔闘演舞2日目の夜、クロッカスの街にある小さな酒場、森の小川では今日も妖精の尻尾の魔道士達が宴をしていた。
マカオ「Bチームがトップ3に入ったぞっ!」
ワ「このまま今年もフィオーレ一の座を取っちまうかもなっ!」
ビールの入ったコップを片手に持ち、お互い肩を組みながらマカオとワカバが笑い合う。
ナブ「Bチームは3位、Aチームも4位だから、めちゃくちゃ順調に進んでってるぞっ!」
マッ「去年の大魔闘演舞の初盤が嘘みたいだぜ。」
ウォ「今年も俺達が優勝だぁぁぁっ!」
ナブやマックス、ウォーレンやその他のメンバーもこれまで以上に大騒ぎをしていた。もちろん、
ナ「いい加減にしろよ、カチコチパンツ、ポジティブ野朗。」
グ「ごちゃごちゃうるせぇんだよ、バカアホリョウ、燃えカス野朗。」
リョ「少し黙れねぇのか、吊り目野郎、垂れ目野郎。」
当の本人である妖精の尻尾ABのメンバーも大騒ぎをしていた。今回はリョウも酒場にいて、ナツとグレイと喧嘩をしている。その様子をテーブルを囲んでルーシィ、ハッピー、ウェンディ、シャルル、マヤ、フレイ、ユモ、ショール、トーヤが眺めていた。リョウ同様ユモも酒場にいて、ルーシィ達と一緒にいた。
ル「全く。少しは大人しく出来ないのかしら?」
シャ「ほんっと、うるさいんだから。」
ため息混じりにルーシィとシャルルが呟く。
マ「3人共いけいけ~!」
ハ「ナツ~、頑張れぇ~!」
フ「応援する意味が分かんねぇよ・・・」
喧嘩している3人をなぜか応援するマヤとハッピーにフレイが呆れながら突っ込みを入れる。
ウェ「でも、あの光景がもう馴染んでしまっていますね。」
ウェンディの言うとおり、ナツとグレイとリョウの3人はどこへ行っても喧嘩、喧嘩、喧嘩。周りの視線を気にせずに喧嘩、喧嘩、喧嘩。もう妖精の尻尾の魔道士達の間では馴染みのある光景だった。
ユ「喧嘩と言えば、あの3人だもんね。」
ショ「あの3人が一度も喧嘩せずに、ものすごく仲が良かったら逆に可笑しいよな。」
余談だが、ショールの言葉を聞いてその光景を頭の中で想像したマヤが「ぷふっ!」と噴出した。
ナ「だあーーーっ!あったまきたぞっ!火竜の・・・」
グ「お前等、少し寝てやがれっ!アイスメイク・・・」
リョ「怪我しても俺は知らねぇからなっ!2剣流・・・」
その3人が今、魔法を発動させようとしていた。ナツは拳に炎を纏い、グレイは両手に冷気を溜め、リョウは鞘から『銀覇剣』と『天力剣』を抜いた。
ル「ちょっと!止めなさいってばっ!」
ト「こ、こんなところで、魔法を使ったら・・・!」
ここは街中にある小さな酒場だ。滅竜魔道士であるナツ、実力は妖精の尻尾内でもトップクラスであるグレイ、妖精の尻尾の数少ないS級魔道士であり、聖十大魔道でもあるリョウ。この3人が同時に魔法を放てば、森の小川は藁の家のように簡単に吹っ飛んでしまうのは目に見えている。問題はそれだけではない。ナツ、グレイ、リョウは大魔闘演舞に出場している妖精の尻尾の魔道士だ。こんな大惨事が大魔闘演舞の主催者側に知られてしまったら、大魔闘演舞には出場出来なくなり、街の人達からは再びブーイングを食らうだろう。
マ「3人共喧嘩をするのは勝手だけど、たかが喧嘩で魔法を使うのはまずいよ~!」
ルーシィ達が必死に静止の声を掛けるが、3人にはその声が聞こえていない。3人が魔法を放とうとしたその時、ナツとグレイの首根っこを掴んだエルザと、リョウの首根っこをバーカウンターに座ったまま腕を伸ばし掴んだマスターが、
ナ「うがっ!」
グ「うぎっ!」
リョ「ギャッ!」
3人の額と額と額をゴチーン!と音がしそうな勢いで正面からぶつけ合わせた。その様子を見ていたルーシィ達は「あっちゃぁ~」「い・・痛そう・・・」と言いたげな顔をしたり、冷や汗を流していたり、ぶつかったのと同時に目を瞑ったりしていた。
エ「全く。お前達は大魔闘演舞に出場している魔道士だと言う事をちゃんと自覚しているのか?今ここで問題を起こすといったいどうなるか、後先考えてから行動しろ。分かったか?」
ナ&グ&リョ「あ・・あい・・・」
エルザの雷を食らったナツ、グレイ、リョウは素直に返事をした。それを見たマスターはまたビールを飲み始めた。説教はエルザに任せたと言う事だろう。
ショ「はぁ。危ない危ない。」
ウェ「一時はどうなるかと思いました。」
ショールとウェンディはほっと安堵の息をついた。
ユ「大魔闘演舞の間は、あまり喧嘩をしない方が良いと思うよ。ていうかグレイ、服は?」
グ「うぉあっ!いつの間にぃっ!?」
ト「さっきまで、着てましたよね・・・?」
フ「あいつの服はどうなってんだ?」
ちなみにグレイの服はさっきまで喧嘩をしていた場所に脱ぎ捨てられていた。いったいいつ脱いだのだろうか?
シャ「それより、あんた達がこれ以上ここにいたら、妖精の尻尾の評判も、この酒場も危険だわ。」
評議院からの評判は元から悪いというのに、更に悪くなってしまう。森の小川も妖精の尻尾の騒がしさで柱がミシミシッと呻き声を上げているくらいだから、この3人が大暴れしたら崩壊してしまうだろう。
ハ「別の場所に移動した方が良さそうだね。」
ナ「でもどこに行くんだよ?」
ル「外だと更にうるさくなっちゃうわね。」
考えてはみるもの、なかなか良い場所が思い当たらない。
リョ「やっぱり、大人しく宿に戻るしかねぇと思うぞ。」
さっきまでナツとグレイと喧嘩をしていたリョウが口を開いた。他に口を開く者はいない。他に良い場所が思いつかないからだ。
エ「それしか無いな。ここからだと、私達Aチームが泊まっている『蜂の骨』の方が近い。そこに移動しよう。」
マ「私達も行って良いの?」
ル「もっちろん!ていうか逆に来てほしいんだけど・・・」
ウェ「アハハハ・・・」
マ「?」
なぜか「行きたくない」とでも言うようにうな垂れるルーシィと、その様子を曖昧な笑みで見つめるウェンディを見てマヤは頭に?を浮かべる事しか出来なかった。
ショ「マスター、俺達一足先に宿に戻ります。」
マカ「おぉ。今日はゆっくり休んで、明日も頑張ってくれぃ。」
ショールが酔っ払ったマスターに許可を貰うと、AチームとBチームは森の小川を後にし、Aチームが泊まっている宿、『蜂の骨』へと向かった。
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淡い光が灯るクロッカスの街の街灯が左右平行に並んだ道を妖精の尻尾の魔道士であるナツ、マヤ、ハッピー、フレイ、ルーシィ、リョウ、グレイ、ユモ、エルザ、ショール、ウェンディ、シャルル、トーヤが歩く。
ユ「ねぇルーシィ、『蜂の骨』はどんな宿なの?」
ユモがルーシィに問うと、ルーシィは森の小川から出る時からうな垂れていた頭を更に低くうな垂れると、
ル「・・・部屋・・・・」
ユ「えっ?」
ル「だから!Aチーム全員同じ部屋なのよっ!」
どうやらルーシィはメンバーが全員同じ部屋で寝泊りする事に納得出来ないらしい。
リョ「それなら、俺達Bチームが泊まっている『豚の帽子』も同じだぜ。」
ル「えっ?」
ト「アハハハ・・・」
普通に言うリョウにルーシィは驚く。どうやら同じ部屋と言う事にあまり納得していないのはルーシィとウェンディとトーヤだけらしい。後のメンバーはそんな事全く気にしていないらしい。
ル「普通気にするでしょ・・・」
ルーシィが呆れたようにため息をついた。すると、
ナ「おい、俺達が泊まってる宿の前に誰かいるぞ。」
ウェ「あ、本当だ。」
フ「よく見えるな。」
グ「俺は全く見えないぞ。」
今ナツ達がいる場所から『蜂の骨』の位置までまだかなりの距離がある。滅竜魔道士は竜と同じくらいの視力、聴覚、嗅覚が優れている為、ナツとウェンディは見えても、他のメンバーには全く見えないのだ。
ショ「で、誰がいるんだ?」
ショールがナツとウェンディに問うと、
ナ「う~ん・・・知らねぇ奴だ。」
ウェ「青い髪の毛の女の人です。」
ギルド内で青い髪の女はジュビアがいるが、当の本人であるジュビアは『謎の仕事』に行っており、クロッカスの街にはいない。
『蜂の骨』までの距離が縮まると、ナツとウェンディ以外のメンバーにもその姿がはっきり見えた。腰近くまである青くて長い髪の毛をそのまま下ろしており、コバルトブルー色のセーターに黒いフレアスカートを穿いている少女が『蜂の骨』を見つめていた。その少女がナツ達に気づくと、驚いたように少し目を見開いた。が、すぐに体をナツ達の方に向けると、
?「あの・・大魔闘演舞に出場している、妖精の尻尾の魔道士の方達ですか?」
エ「あぁ。そう、だが。」
ナ「俺達に何か用か?」
ナツが少女に問うと、少女はナツ達に気づかれないように小さく微笑んだ後、
?「運命の歯車が、逆回りし始めました。」
?以外「えっ???」
少女の言葉にナツ達の頭の中に?が浮かび上がる。
?「『極悪十祭』・・・」
ト「えっ・・?」
?「人間と悪魔の奈落の宴・・・」
ル「奈落・・・・?」
ナ「おい!どういう意味だっ!」
ナツが怒鳴りながら少女に問うが、
?「未来は今、誰も予想する事が出来ない、思わぬ方向へと進み始めた――――――――――」
ナ「お、おい!質問に答えろよっ!てめぇは誰なんだよぉっ!!」
ナツが少女の手を掴む前に、少女は霧のようにスゥと音も無く消えてしまった。
フ「き・・消え、た・・・」
静寂と沈黙が辺りを包み込む。
ハ「『極悪十祭』?」
最初に口を開いたのはハッピーだった。
シャ「人間と悪魔の奈落の宴って言ってたわよね。」
エ「『竜王祭』と似ているな。」
人間と竜の魔の宴
人間と悪魔の奈落の宴
リョ「思わぬ・・方向・・・?」
グ「意味分かんねぇよ・・・」
その時、
ショ「!うっ・・・・」
ショールが小さな呻き声を上げて額を押さえた。
マ「ショール?」
ユ「どうしたの?」
近くにいたマヤとユモが声を掛ける。
ショ「い・・いや・・・何でも無い・・・・」
何でも無くなかった。この時、ショールはまた『予知』であるものを見てしまったのだ。しかも、以前『予知』で見たものとは違う。
ショ「(今の・・さっきの女が言っていた事と関係あるのか・・・?)」
ショールは視線をシャルルに移す。が、
ウェ「シャルル、『極悪十祭』って何?」
シャ「何で私が知ってるのよ?」
シャルルは極普通にウェンディと話していた。
ショ「(まただ。また、シャルルは見ていない。俺にしか、見る事が出来ない『予知』なのか・・・?)」
ショールが『予知』で見たあるもの。それは――――――――――
銀色の台座に置かれた巨大な黒い大砲――――――――――
黒い大砲から撃たれた物体が地面を貫き、ドムス・フラウの会場で爆発する物体――――――――――
ショ「(あの黒い大砲が置かれている場所・・・ドムス・フラウの地下か!?)」
ショールはドムス・フラウを振り返る。盛り上がっていた昼のドムス・フラウがまるで嘘だったかのように夜は静まり返っていた。
エ「ショール、どうしたんだ?」
ショ「!エ、エルザ・・・」
エルザの声にショールは我に返る。
エ「早くしないと皆に置いて行かれるぞ。」
いつの間にかナツ達の姿はどこにも無かった。すでに『|蜂の骨』のAチームが泊まっている部屋に向かったのだろう。
ショ「分かった。今行く。」
ショールはもう一度ドムス・フラウを振り返ると、足早にエルザの後を追い、『蜂の骨』へと入って行った。
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『『蜂の骨』の屋根の上で―――――』
ショールが『蜂の骨』へ入って行ったのを見届けると、少女はスクッと立ち上がった。青い髪の毛と黒いフレアスカートが風になびき、右耳に青い髪の毛を掛ける。先程ナツ達の前に姿を現した少女の招待は、球体型の映像魔水晶でナツ達の事を見ている『謎の少女』だったのだ。『謎の少女』の手には情報検索魔水晶が握られていた。
?「感謝してよ。世界の危機の予言をしてあげたんだから。」
そう言うと、『謎の少女』は情報検索魔水晶の電源を入れた。するとすぐに、とある映像が映し出された。映像には先程ショールが見た『予知』と同じ黒い大砲の絵が映し出されていた。
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『ドムス・フラウの地下にて―――――』
大魔闘演舞の会場であるドムス・フラウの地下には大昔竜王祭で戦った竜達の墓場がある。
その更に地下深くに、銀色の台座に置かれた巨大な黒い大砲があった。ショールの『予知』や情報検索魔水晶の映像では分からなかったが、大砲には太くて長い黒いチューブが繋がれていた。チューブは地上―――会場の地面―――に続いている。そして、黒い大砲の中央部に、赤い術式が日捲りカレンダーのように時を刻んでいた。
『『極悪十祭』まで、残り5日 120時間27分09秒』
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『『蜂の骨』のAチームの部屋にて―――――』
ショールがAチームの部屋に入った時には、そこにいるメンバーが全員何かを覗いていた。
マ「あっ!やっとショールが来た。」
ト「遅かったですね。」
ル「どうかしたの?」
ショ「ううん。何にも無い。」
ショールは『予知』で見た事を未だに誰にも言っていない。いや、このまま誰にも言わないつもりなのだろうか?
ショ「ところで、何皆で見てるんだ?」
ショールが問うと、
ユ「先週の週刊ソーサラーだよ。」
グ「ルーシィの鞄の中身をあさっていたハッピーが見つけたんだ。」
当の本人であるハッピーはルーシィに両頬を抓られている。
先週の週刊ソーサラーは青い天馬特集で、ページの7割が青い天馬の魔道士達の写真や青い天馬の事が書かれていた記事で埋め尽くされていた。グラビアのモデルも、青い天馬特集と言う事でジェニーが載っていた。今皆が読んでいるページはすでに終盤で、「彼氏にしたい魔道士ランキング」や今話題となっている議題について書かれていた。
フ「1位は青い天馬のヒビキと妖精の尻尾のショール。」
ウェ「ショールさん1位なんですね!」
ショールがランキングで1位になってからは28回連続でヒビキと共にずっと1位をキープし続けている(本人はキープしているつもりは無い)。
ル「あれ?これって、8年前に魔道士ギルド連盟を追放された高速の弾丸の魔道士?こいつ等まだ捕まっていないのぉっ!?」
ハッピーを抓り終わったルーシィは、今話題となっている議題のトップにある議題を見て目を見開いた。そこには5人の男女の写真が名前付きで載せられている。5人の共通点は腕や肩に弾丸のような紋章が刻まれている事だけだ。
ト「高速の弾丸?」
エ「暗殺系の依頼を遂行し続けている闇ギルドだ。だが、8年前から存在を晦ましていて、未だに見つかっていない生息不明の闇ギルドなんだ。もちろん、100人近くいた高速の弾丸の魔道士の大半は逮捕した。だが、当時の高速の弾丸のリーダーと実力のある魔道士、計5人が未だに逃げ続けているんだ。その5人の魔道士が、この写真の奴等だ。」
エルザが写真を1つ1つ指差していく。
エ「高速の弾丸のリーダー、ガンオース。高速の弾丸のS級魔道士、ハビノ・リュットとレガフ・リョニッタ。高速の弾丸一の殺し屋、ライネド・テコウとリーキアズーだ。」
リョ「!?」
高速の弾丸の魔道士の名を聞いたリョウがまるで何かに気づいたかのように目を見開いた事に誰も気づかなかった。
ショ「なぁ、もう12時過ぎてるけど・・・」
ショールが時計を見て呟く。時刻は今12時47分39秒。
フ「リョウ、どうするんだ?おい、リョウ?」
青い顔をしているリョウの顔をフレイが覗き込む。
リョ「え・・あ、そ、そうだな。俺達も宿に戻―――って、無理みたいだな。」
そう言うリョウの視線の先にはベッドの上で大の字になって寝ていびきをかいているナツと、その横で小さな寝息をたてて寝ているマヤと、ナツのお腹の上で寝ているハッピーがいた。ウェンディとユモが3人に布団を掛ける。
ユ「Bチームは、今日Aチームの宿に泊まる事になったね。」
ト「結局、そういう事になっちゃうんですね・・・」
ウェ「はぁ・・・」
エ「まぁ、気にする事は無いだろう。」
グ「AチームもBチームも、同じ部屋で寝てるんだからよ。」
リョ「だからルーシィ、そんなに落ち込むなって。」
ル「落ち込むわよっ!!」
その夜、『蜂の骨』のとある1室では、大勢の魔道士達が寝る羽目になった。
後書き
第173話終了致しました!
「何かすごい事になっちゃった」と思うのは私だけでしょうか・・・?ドムス・フラウの地下にある巨大な大砲とは・・・!?ショールが見た『予知』の意味とは・・・!?リョウは高速の弾丸の魔道士を見て気づいた事とは・・・!?
次回は大魔闘演舞3日目の競技パートです!その内容は・・・えっ?2人で?
それではまた次回!
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