少年少女の戦極時代Ⅱ
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トッキュウジャー合体SP編
第27話 おむかえチューリップ
『ミカンといいブドウといい! 何回我々の邪魔をすれば気がすむんだ!』
『ミカンじゃねえ! オレンジだぁぁ!!』
叫びながら、鎧武はモグラ怪人に大橙丸で斬りかかった。
――舞をほぼ騙すように烈車に乗せてから程なく、バダンの勢力は性懲りもなく現れた。
鎧武は当然、龍玄と共に駆けつけ、バダンと戦っていた。
その中で龍玄が戦闘員に背中を取られた。近接武器がない龍玄では応戦が間に合わない――!
だが、鎧武が行くより速く、別のアーマードライダーがその戦闘員を槍で斬り捨てた。
『戒斗!?』
バナナの鎧の赤いアーマードライダー――バロンこと駆紋戒斗だった。
…………
……
…
月花はチューリップホッパーでヘルヘイムの森を突っ走っていた。
ヘルヘイムの森に、咲の目当ての人物はいる。チューリップホッパー搭載のレーダーを見ながら、月花はその人物を探す。
『い~た~!』
チューリップホッパーに急制動をかける。
それに対し、何事か、という風情でこちらを顧みたのは。
『戒斗くん、めっけ!』
「人を指さすな……何故貴様がここにいるんだ」
戒斗は手にしていた白い直方体の包みを投げ捨て、辟易を隠しもせず月花を見返した。ここの所、頻繁にヘルヘイムの森に出入りしているとの情報は正しかった。
月花はチューリップホッパーから降り、ロックビークルに戻ったそれをキャッチした。
『紘汰くんから借りたの。自分にはもうバイクのロックビークルがあるからってキモチよく貸してくれたわ』
「それはどうでもいい。わざわざそんな物を使ってまで何をしに来たかと聞いているんだ」
『カンユウ』
月花はドラゴンフルーツの錠前を閉じ、変身を解いてから、戒斗に笑みかけた。
人が人と対話する時、言葉はもちろん、表情も大切だとナッツが前に言っていた。だから内心必死で、なるべく不敵に見えるような笑みを浮かべる。
「勧誘?」
「そう。街におもしろいヤツが出たの。地下てーこくバタン…ハダン…? とかいってるけど。インベスじゃないのに、インベスよりチセイテキで強そーなんだ~これが」
「インベスより知性が……?」
「知ってるよ。戒斗くんが探してるモノって、そーゆーのなんでしょ」
「――――」
返事はなし。手応えはあり。咲はトドメに用意しておいた一言を告げた。
「ぶっちゃけ、戦ってみたくない?」
…
………
…………
「てな感じで連れて来ちゃいました」
てへぺろ、と擬音がつきそうな咲の笑顔。
変身を解いた紘汰は、肩からどっと力が抜けてその場にしゃがみ込んだ。光実も紘汰ほどではないが、驚いているらしい。
「チューリップビークル貸せってそういうことだったのかよ~」
「で」
戒斗は腕組みして、不遜に紘汰を見下ろした。
「奴らは一体何なんだ」
せっかく咲が連れて来たのだ。ここで戒斗を味方にできれば戦力面は無敵と言っていい。
紘汰は立ち上がり、詳細を戒斗に説明した。
説明が終わってから、戒斗は呆れの色が濃い溜息を落とした。
「俺が倒すべき相手は別にいる。貴様らも、倒すべき相手は他にいるんじゃないのか」
それを言われると言い返せない。アーマードライダーが倒すべきは人に害成すインベスであり、葛葉紘汰の敵は世界のルールだと定めてしまった。戒斗の言う通り、これは寄り道以外の何物でもない。
紘汰は答えに詰まって目線を泳がせる。そんな紘汰に対し、戒斗はまた溜息一つ、その場から去ろうとした。
「紘汰っ」
「! ライト……」
走って来て息を切らすのは、トッキュウジャーのライトだった。
「紘汰……ごめん! 舞ちゃんがバダンに捕まった!」
後書き
白い直方体は辞書です。辞書置きしてた頃にこのコラボ回が放映だったので。
ついに咲がロックビークルを手に入れました。手に入れたと言っても紘汰から借りた形ですが。
レーダー機能にコドモでも乗れる形態。これ今後、本当に重宝しそうです。
原作では自主的に加わった戒斗ですが、本作では咲に連れられてきて参戦したという形で咲をねじ込ませて頂きました(*^^)v
咲は咲なりに自分とできることを探して、戒斗を連れて来るために奔走したのでした。
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