dark of exorcist ~穢れた聖職者~
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第12話「大質問会」
―――【"ルークス・ソーリエ" 大聖堂】
大聖堂には、アイリスら5人の悪魔狩りと、"焔の悪魔"べリアルが集まっていた。
全員が大聖堂の長椅子に座っている。
「さて、皆揃っているかな?」
アルバートが大聖堂の奥から現れた。
「よし、じゃあべリアルもいることだし、大質問会を始めよう♪」
「「…………………………」」
アルバート以外の全員が一斉に沈黙した。
「……………………えっと、いきなり何言ってるんですか? アルバートさん」
パトリックが全員の疑問を聞いた。
「質問会さ。お互いに知らないことが山程ある。そんな気持ちの悪い疑問を一気に解決しようということ」
「そうね、悪魔は"殺す"だけだったし、せっかくだから色々聞いておこうかしら」
「確かに悪魔に関して、知らないことが沢山あります………僕にも関係があることですし」
「そうだね、べリアルさんのこととかもっと知りたいからね」
悪魔狩り達はべリアルの方に向き直り、質問をする態勢に入った。
「じゃあ、最初は俺からな」
パトリックが挙手し、べリアルの前に立った。
「じゃあ………お前ら悪魔って、どうやって生まれたんだ?」
べリアルはパトリックの質問に答えた。
「う~ん……俺達悪魔は、ご存知の通り人間よりずっと長く生きてる。10年、100年とかそんな単位
じゃない。俺も"擬態"してるからガキみたいに見えるけど、こう見えて何千年と生きてる。
だから、人間ほど明確に誕生したことを覚えてないんだ。悪いけど、俺も例外なく覚えてない」
「そっか~……それにしても……………何千年って……」
「いきなり凄いわね………じゃあ次あたしね」
アリシアが挙手し、パトリックをどかした。
「アンタら悪魔って、"シェルター"にいたので本当に全部?」
「"シェルター"? あぁ、あの隔離場のことか……確かあそこには1000体くらいいたな………」
「えぇ、記録にも1000体を閉じ込めているって書いてあったわ」
「あぁ、当時はそれで全部だ。悪魔が増える方法があるって言うなら別だけど……」
「増える方法はアンタも知らないの?」
「さぁな、悪魔は自然発生するもんだと思ってたからな」
「自然発生って…………」
「じゃあ、次は僕が……」
クリスが挙手した。
「悪魔として生きてるって、どんな感じですか?」
「……………………人間として生きてるお前に対して俺は、ってことか?」
「はい」
「……………正直、人間の感情や"死"の概念が理解できれば、と思っている。純粋な悪魔の俺には人間の
価値観は分からない。だから…………悪魔として生きてるってのは、"空っぽ"かな。何も無い生涯だ」
「そうですか………」
「だから、人間として生きるお前はそのままの生き方を楽しめ。悪魔として生きるのは苦痛なだけだ」
「………………………………次は、俺だ」
キリシマが挙手もせずべリアルの前に立った。
「…………………上位の悪魔はあと何体存在する?」
「正確な数は分からないが、10体もいない。俺が知ってんのは、"風のフォカロル"と"海王リヴァイアサン"
と"殺戮のグラーシャ・ラボラス"。あとは"セーレ"くらいだ」
「……………セーレとは?」
「"移動"を司る最速の悪魔だ。セーレの能力であの隔離場から遠い場所に逃げたんだ。キリシマ、だっけ?
お前も人間にしてはなかなかの速さだったけど、セーレには勝てない」
「なぁ、話の途中だけどよ、ちょっといいか?」
パトリックがキリシマとべリアルの間に割って入った。
「フォカロルは前戦ったから知ってるけどよ、"リヴァイアサン"とか"グラなんとか"ってのは何なんだ?」
「"海王リヴァイアサン"は、海を支配していたデカブツだ。"殺戮のグラーシャ・ラボラス"は、悪魔狩り
はおろか、人間や同族すら殺しまくった大馬鹿だ。まぁ両方とも俺の敵じゃないが」
「へ、へぇ~」
「最後は私だね」
アイリスが笑顔を浮かべてべリアルの前に立った。
べリアルはアイリスが何を聞いてくるのか予想がつかず、微妙な表情を浮かべた。
「じゃあ、べリアルさん。私が聞きたいこと聞くね?」
「あぁ」
「べリアルさん、行きたい所とか、食べたいものとかある?」
「「…………は?」」
全員が呆然となった。
後ろで聞いていたアルバートは「アイリスらしいなぁ」と呟きながら笑っていた。
「えっと……アイリス、だったよな? なんでそんなこと聞くんだ?」
「だってせっかく私達の所に来てくれたのに、行きたい所も食べたいものも無いなんて寂しいもん。
だから、どこか美味しいもの食べに一緒に出かけたりしたいなぁ、と思って」
べリアルは言葉を失った。
人間に戦いを仕掛けられるのは慣れている。
行きたい所や食べたいものを聞かれるのは初めてだった。
「………俺は人間がどんな食ってるのか知らないから、食べたいものは答えようがないけど………」
「おすすめがあるなら、連れてってくれ」
それを聞いて、アイリスの笑顔が一気に明るくなった。
「うん! 今度皆でご飯食べに行こ♪」
アイリスの言葉に、キリシマ以外の全員が堪えられず笑いだした。
アルバートが始めた大質問会は、アイリスの質問で和やかに終わった。
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