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戦国†恋姫~黒衣の人間宿神~

作者:黒鐡
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十章 幕間劇
  橋を渡り初め×鬼退治

俺達の目の前に立ち塞がっていたのは、あまりにも大きな物だった。大きな木箱、みっしりと詰まった大俵。そして予備の武器を束になった刀束。

「まだ、こんなに仕事が残っているのか」

その一つ一つが、まだ触っていない状態であったがためか。一真隊の長屋の庭に積み上がっていた。

「一真様が仰ったみたいに、一つずつ分割して、端から片付けてはいるんですけど」

忘れ物がないように、チェックリストで一つ一つ確認しながらの作業だ。確実に抜け目なく進んではいるんだけど。

「やってもやっても終わる気がしないのですよぅ・・・・」

「まあ詩乃は仕方がないとして、俺も長久手に行っていたり黒鮫隊の部下からの報告書を読んだりで、そちらは任せっきりだもんな」

長久手に出かける時もそうだけど、俺は一日に何をしたのかをたまに読まないといけないものもある。あとは、鬼についてのレクチャーとか銃の鍛錬とかで。

「一真様は一真様の仕事がある事ぐらい分かってますから」

「私達もちょっと忙しかったので」

「とはいえ、片付いていないように見えても、必要な物と情報は揃ってますから。実際は既に掃討戦の領域です」

ただ一人、チェックリストを手にした詩乃だけが力強い言葉を返す。

「大丈夫そう?」

「無論です。明日には滞りなく」

まあ、大丈夫そうだな。詩乃には、既に解き方が分かったようにパズルを解くだろうし。

「さすがに任されたとはいえ、織田家恋人の面目あるいは神様の面目を潰す訳には参りません」

「そうだね!あとちょっと・・・・?頑張ろう!」

「おーっ!」

何か?が聞こえたような気がする。気にしない事にしといてと、今の所、一真隊での仕事はない。交渉事や買い出しならやってるけど、この手の仕事は任せた方が良さそうだな。承認が必要な案件は片付いている。

「俺の仕事は、今日の夕食かなー?」

「ホントですかっ!」

「まあ、一真隊の仕事だと今の所それしか思いつかないし、それとも一発屋に行く?」

「一真様。だったら今日は一発屋じゃなくて、一真様の料理が食べたいです。一真様がたまに呟いていた南蛮の食事とか」

「あ、そういえば鞠ちゃんの歓迎会もまだでしたよね!」

「そうか。詩乃はどうする?」

「一発屋の焼き魚と一真様の料理、大層悩ましい二択ですが、今日は功労者であるお二人の意見に従いましょう」

「じゃあ、献立はあとで教えるとしよう。今日はお前らで言うなら南蛮料理だ」

と今日の夕食は洋食に決定した。何にしようかな?といっても南蛮料理=洋食だから普通にスプーンやフォークやナイフを使う。それを教えるの少々面倒だが、ならイタリアンにするか。ピザとパスタにして。確か箸で食べるイタリアンの店があったような。

「おお、一真様。こちらにいましたか。探しましたぞ」

「壬月?どうした、こんなところまで来て」

「上洛の準備はどうかとな」

「見ての通りさ。それに一真隊の運営について俺はほとんど手を出していない。報告を聞くに後は積み込み作業らしいから、明日の評定での久遠の良い報告が出来るかと」

「なら何よりだ。久遠様の恋人である貴殿の準備で出立が遅れると、松平や他の家にも示しが付かんのでな。それと丁度良かった」

何だろう?この間もそうだったけど、同じ展開のような気がする。

「少々頼みがあるんだが」

「何だ?」

何か凄い悪い予感がするような。それで話を聞いた後に、行ってみたけど。

「ンだとぅ!?何で渡れねーんだよ!普請中か!」

「い、いや、そういう訳じゃ・・・・」

「だったら渡れるだろ!」

「あうぅ・・・・ダメですよぅ」

「がるるるるる!」

「く、くぅ~ん・・・・・」

「この高札にちゃんと書いてあるだろう!この橋渡るべからずって!」

「なら、端じゃなくて堂々と真ん中を渡ってやんよ!それなら文句ねーだろうが!」

「意味が分かんないよー」

「よし分かった!言って分からないんなら力で押し通るまでだ!抜けよオラぁっ!」

「こら、こんな往来で・・・・っ!」

「ああ、いたいた。おーい、お前ら!」

夕食を考えながら、壬月に会った俺は頼まれ事で向かった。行った所は井之口の町の一角で、川を挟んだ向こう岸の場所で言い争っていた。

「あ、一真!」

三若である和奏達と。

「おう、一真!」

武装した小夜叉だった。ふむ、・・・・よく観察すると返り血を浴びてるな。またどこかで一暴れしてきたのかな?明日は評定なのに、元気一杯だなと思ったら小夜叉が得物を抜いていた。

「っておい!何得物抜いてるんだ!」

「って、一真!そこを渡っちゃダメだ!」

「は?」

俺の目の前にあった橋を渡ろうとしたら、和奏に止められる。よく見ると橋の入り口に立てられた高札には『この橋、渡るべからず』と書いてあるが。工事中なのか?にしても完成系って感じだし。

「いいよそんなの。さっさと渡って来いよ一真!」

「だからダメだって言っているだろ!」

何の事だよ、一体。

「とにかく、こっちに来るなら別の橋を渡ってきてー」

「はー!何で俺が一々そんな事しなきゃいけねーんだよ!とにかく渡るからな」

と言って一度姿を消した俺。三若と小夜叉は、俺がどこに行ったのか分からないらしい。風術で一旦消えたようにしてから、大天使化をした。本当ならこんな町の中で、しかも民が見てる中での姿は皆平伏するだろう。大天使化をしてから、さっきいた所に降りてから、堂々と橋を渡ってやった。三若共はやかましかったが。

「で、どうしたんだ。小夜叉?」

「おう、聞いてくれよ。子分のしつけがなっちゃいねーぞ」

「こ、子分って、ボクらは一真の子分じゃないぞ!」

「お前ら、我は久遠の恋人。だから、我にとってはお前達も部下扱いになる。森一家は特別だが」

「そ、そんな無茶苦茶な。というか一真様。さっきこの橋を渡っちゃダメだって言いましたよね」

「それは人間が作った事だろう。神の我には、関係ない事だ。あと小夜叉、返り血が付いてるぞ?」

と言って小夜叉に手をかざすと、光の粒子が小夜叉に降り注いで返り血が浄化された。でも我の姿は、大天使化のままだけど。これくらいなら大丈夫だけど。

「ありがとよー。一真」

「で、何でもめてたんだよ。あと小夜叉は得物をしまえ」

壬月から話は聞いたが、森一家の名前が出た途端にひよは怯えるし、ころもテンションダダ下がり。なので、その二人を連れて行く訳にはいかなかったから我が来た訳となる。来たら来たで、言い争いというより得物まで構えてるし、この橋について争っていたようだけど。

「こいつらが、この橋を渡るなってうるせえんだよ」

川辺に掛かっているのは、出来たばかりの真新しい橋のようだ。当然、こちらにも『この橋、渡るべからず』と書かれた高札が立っている。

「普請中か?でも我は普通に渡れたが」

「普請は終わったんだとよ。まあその姿なら渡っても文句はないンだけど」

「で、我は渡ってしまったがあの橋は結局何なんだ?」

俺は三若に視線を向けると、和奏が言った。

「この橋は、ここに橋があった方が便利だろうって、殿が指示して作らせた橋なんだよ」

ふむ、確かにここにあった方が楽だが。この辺りに橋があるとすれば、川上にあるな。

「今まで何かと不便だったから、この辺りの人達も喜んでさ。殿の指示で作った橋だから、皆で『最初に久遠様に渡ってもらおう!』って事にしてたんだけど」

いい話だけど、我が渡ってしまったけど、それはあくまで人間の約束事だろう。それに井之口の主になってそんなに経っていないが、街の皆に慕われている証拠だな。

「けど、まだ久遠様が渡っていないからダメだって言っているのに、小夜叉が渡ろうとして」

「だってよ。もう橋が出来ていんのに、殿が渡っていないから使えないとか可笑しいだろ。皆渡りたいんなら、さっさと使えばいいじゃないか。それに一真も渡ったし、どこか壊れるような橋じゃねえからな。殿は上洛の支度で忙しいからな。だったら代わりにオレが渡り初めしようと思っていたのさ」

なるほどな。というか、我はもう渡ってしまったから意味ないけど。

「で、我は渡ってしまったけど、橋渡って何しに行く予定だったの?城に?」

「おうよ。城に行って一真に用があって渡ろうしたんだけど、今ここにいるし渡っても平気だろー。一真は渡ったんだから。という事でお前ら帰っていいぞ」

「ちょっ!」

「何ですかそれ!?」

「あぁ!?やんのかコラァ!」

「おう!上等だ!」

「いい加減にしないか!この馬鹿者共が!」

『パシイィィィン!パシイィィィン!パシイィィィン!パシイィィィン!』

我はハリセンで叩いた。しかも関係ない雛と犬子も叩いたが問題ないだろう。我の姿はまだ大天使化だから、いつでも殺気と覇気を浴びせられる事もできるけど。

「全く、貴様らときたら。いいか!我はもう渡り初めしたんだし、我は神仏の類だ。それにもう渡ってしまったんだから三人とも帰れって、壬月にでも報告しろ」

「うぅ、一真がそう言うなら」

「くぅぅん、な、何で私と雛ちゃんにも・・・・・」

「にゃぁぁぁ。天誅にも力加減してほしいよー」

と言いながら、頭をさすりながら帰って行った。我は戻ろうとしたけど、たまには長くこの姿を保つ必要もあるから。

「で、小夜叉は我に何用だったのだ?」

「おう。それがよ・・・・」

「おおい、一真にクソガキ。また何ぞ騒ぎでもあったのか?」

三人を見送った後、川の対岸に姿を見せたのは桐琴だった。橋に立つ札に興味がないのか、堂々と渡った。

「どうしたんだ。その姿になったとしたら、何かあったのか?」

「橋の前に高札があったろ。あれで渡るなと言われたから、神の姿になって堂々と渡った訳よ」

「あー、なるほどな。それでその姿か。なら納得だ」

「ところで小夜叉が俺に用があると聞いたんだけど」

「おお、そうだった。クソガキ」

「おうよ。偵察に出した奴らから、この近所に殺し損ねた鬼がいるって報告が入ったんだよ」

「ほう、まだいたのか。鬼が」

「で、大きな所はここに来るまでにだいたいぶっ殺してきたんだけどよ。もうちょっと残ってるから、行かねえかと思ってさ。一真も行こうぜー」

あー、そういう事か。明日は評定あるけど、この姿ならこの二人を運べるし神速でやればいい事だ。

「いいだろう、行こうじゃないか」

「おうよ。そう言うと思ってもう準備はしてきたけど、もしかしてその姿ままでいくのか?」

「その方が早いだろう?それに明日は評定があるからスパーッと殺っちまった方がいいと思ってな」

「だったら今から行くか。では運び役頼むぞ。ワシらが案内する」

と言って、桐琴と小夜叉は我に捕まってきた。腕にしっかりと捕まえると、一気に飛び上がった。飛んでる途中で、小夜叉が俺の良人を宛がってもいい頃合いだとか言っていた。まあ、我は構わないんだけどね。小夜叉が我の妻になってくれても。何でも森家の次の棟梁は小夜叉だそうだ。その内跡継ぎを生まないといけないとか。

「あそこだ、一真!準備はいいか、クソガキ」

「おうよ!母、いつでもいいぜ!」

「よし!この辺りの鬼共は全て皆殺しだ!」

と言って、着地した瞬間に鬼の巣に向かって手からビームを撃った。そしたら鬼がたくさん出てきたので、森親子の出番となってから、我に近付く無礼な鬼共を翼で斬り倒した。翼を操りながらの、羽をミサイル針みたいに攻撃した。その後美濃周辺にいる鬼達全て皆殺しした。その時は夜になっていたが、森親子を捕まえて飛んでいたのですぐに戻れた。その後、森親子と別れた我は元の姿に戻った後にトレミーに戻ってから料理を作り始めた。

本ズワイガニと海老のクリームスープスパゲッティーを五人分作った俺は、空間に入れてから長屋にいる俺の部屋に戻ったら机を出していて座っていた4人。俺は作った物を皆の前に置いた、そして、グラスを出してリンゴジュースと俺は日本酒を取り出してから鞠の歓迎会を始めた。乾杯をしてから食べてくれたけど美味しいとの事だった。飲み物もと言っていたが、昼間何してた?と聞かれたんで森親子と鬼退治してきたと言った後に、トレミーの厨房から連絡があり空間から手を入れると出来立てのピザが出てきた。それも食べた。うむ美味い。これは厨房にいる隊員からの物だと伝えたら、黒鮫隊の人達はこんなに美味しい物を食べているのかと聞かれた。 
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