戦国†恋姫~黒衣の人間宿神~
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十章 幕間劇
蹴鞠=リフティング×お買いもの
ん?何か庭の方が騒がしいな。しかもにぎやかだけど何してんだろう?
「えーいっ!」
「猿、そっち行ったぞーっ!」
「ひゃ・・・・っ!っとと・・・・はーいっ!」
「わぁ!ひよ、上手なのー!」
「えへへ・・・・。ほら、犬子ちゃん、行きましたよー!」
「うわっ!ちょっとひよ、そんなの届かないよー!」
「じゃ、そういうおいしい所は雛がもらっちゃおうかなー。滝川家お家流、以下略ー!」
「雛!お家流を以下略するんじゃない!」
「別に使えるんだからいいでしょー。ていっ」
「雛ちゃん、お家流は反則ですよー!」
「ふふん。こういうのは、目立ったもの勝ちなんだよー」
「賑やかそうだな」
「ああ、一真様。お帰りなさいませ」
俺はただいまというと何しているんだ?と聞いたら、鞠から蹴鞠を教わっていたんだと。蹴鞠って、平安時代には蹴鞠は宮廷競技として、貴族の間で広く親しまれたんだっけ?貴族達は、自身の屋敷に鞠場と呼ばれる専用の練習場を設け、日々練習に明け暮れたというとどこかの歴史に詳しい奴から聞いた。現代で言うなら、サッカーのリフティングかな。やった事もあるし、結構上手い。
「猿!この一撃を受けてみろっ!てりゃーっ!」
「うわー・・・・和奏ちん、その蹴り方、強すぎだよー」
「ころちゃん!」
「任せといてよ、ひよ!」
何かひよところが協力してから、返した。そしたら今度は和奏と犬子が協力プレーしたけど。
「二人とも凄いの!・・・・じゃあ、鞠も負けないの!えいっ!」
あれが優雅で貴族がやっていたという蹴鞠なのか?どこからどう見ても必殺技みたいなのを繰り返しているが。
「もっかい滝川家お家流以下略ー!」
既に出てるし、お家流。
「何やら目を疑う気もしますが、蹴鞠だそうです」
「ああうん、見れば分かる。だが、想像してたのより違うな」
俺と詩乃は見学してたけど、そしたら一息ついたみたいだった。
「あーっ。面白かった!猿、また誘ってくれよ!」
「はいっ!また皆でやりましょう!」
「蹴鞠って、こんなに楽しかったんですね」
「雛、もうクタクター」
「あ、一真なの!一真!」
「おう、皆お疲れさん。と言いたい所だが、和奏、さっき壬月が探していたが、こんな所で遊んでていいのか?」
「あーっ。しまった、後で行く事になっていたんだった!雛、犬子!」
「うん。それじゃねー。鞠ちゃん」
「またなのー!」
「また蹴鞠する時は呼んでね!」
三人とも言い残して行ってしまった。よく分からないが、鞠とも馴染んでいるようだ。蹴鞠ね。ボールの大きさは、サッカーボールよりかは小さめだな。何かの皮を巻いているようだ。
「一真様。鞠ちゃん、蹴鞠がすっごく上手なんですよ」
「ふむ」
「ねえねえ、次は一真も一緒にやるの!今度は詩乃も」
「身体を動かすのはあまり得意ではないのですが・・・・」
「まあ、そっちはそっちでやってて。こっちはこっちのボールでやってるから」
と言って、空間からサッカーボールを取り出す。トレミーには、体育館があってバスケやバトミントンやテニスをやっている者もいる。取り出してから、サッカーボールで一人リフティングしてたけどね。
「わー。凄いの!一真!」
「うわぁ、凄い!あの蹴鞠見た事ないけど、あれもなのかな?」
「ひたすら蹴り続けてる。こんなの初めてだよー。あ、背中で受け止めた!」
「一真!それ、鞠もやりたいのー!」
「これ?蹴鞠より大きくてよく跳ねるよこれ」
と言って、リフティングをやめてからボールを手で思いっきり地面に当てたら凄く跳ねた。蹴鞠は固いから跳ねないと思うけど、これは中に空気が入っているからな。で、試に鞠が蹴り上げた上手くできてたけど少し加減入れないとどっかに行ってしまう。
「おー、うまいな。初めてのボールなのに」
「ぼーるっていうんですか?一真様」
「サッカーボールという。まあお前達で言うなら蹴鞠用のボールみたいなもんだ」
「へぇーそう何ですか。でもよく跳ねますねこれ?」
そりゃ中に空気が入っているからな。で、鞠にルールを聞いてみたら、本当は細かいのがあるけど落としたらダメだそうだ。
「楽しくやるのが一番なの!」
「まあそうか、皆。このボールでやるなら少し練習した方がいいぞ?蹴鞠のより跳ねやすいから」
と言ってから、ひよ達は少し練習した。鞠とひよところとついでに詩乃も。加減が分かったらしいので、俺もやる事になった。
「という事で、鞠から行くのー!えーい。一真!」
「はいはいっと」
俺は胸でキャッチしてから足で少しリフティングしてから蹴り上げた。皆が返しやすい高さにして、無論加減をつけてな。もしも、どこかに行くようだったら念力でやればいいし。
「一真様!上手!」
「次は詩乃だぞー」
「は、はい。ええっと・・・・」
「詩乃、そこで足を出すの!」
「こ、こうですか・・・・えいっ!」
と言って蹴り上げた詩乃。
「良い感じなの!ひよ」
「はーい!ころちゃん!」
「ひよも上手いな」
「えへへ、一真様よりかはマシですけど蹴鞠は久遠様達がしてるのを、時々見てたので」
久遠もやるのか。
「・・・・よっと。次は鞠ちゃーん!」
「一真!」
「おっと、詩乃」
「はい。えいっ!」
と蹴り上げたのが少し高かったが、余裕で蹴り返した鞠。蹴鞠のもいいが、こっちのも結構皆やるな。
「一真!いくのーっ!」
と言ってキャッチしてからまた返した。こういう運動もたまにはいいよな。しばらくやった後、俺ところが抜けてから三人でやりだした。
「鞠はどんな感じ?」
「良い子だと思いますよ。隊の皆ともですけど、さっきみたいに和奏さん達ともすぐに仲良くなっちゃいましたし」
「友達とか作りやすい子何だな、鞠は」
「今川彦五郎様って聞いた時は、さすがにちょっとびっくりしていましたけどね」
「まあ俺もそんな感じだったしね、でも神とか関係なく接してくれるのはありがたいけど」
と三人での蹴鞠というよりリフティング。詩乃もどんどん上手くなっていってるなー。蹴鞠のよりやりやすいのかな?
「ふう、疲れました」
「お疲れさん、詩乃」
「うぅ・・・・たくさん走り回って、疲れちゃいましたー」
「ひよもお疲れー」
「ころちゃん、お水ちょうだい。あと一真様のもお願いしていいですか?」
「翼は出せないけど、手でかざすのなら大丈夫だよ。それにしても鞠は元気だな」
この中では2番目に運動量を熟しているんじゃないのか。たまに力み過ぎる事があったけど、念力で戻してやった。
「ですねぇ・・・・。一真様もですけど、ぼーるが鞠ちゃんの思い通りに動いてる感じがします。はぁぁ、気持ちいい」
「だな。はい、終わりっと。翼無しだとこんだけだ」
リフティングは俺も上手いから魔法のように操れる。そろそろこちらの休憩もお終いにしてやるか。
「ころ、行くぞ!」
「え・・・・?あ、はいっ」
「鞠ー。今度は俺たちが相手だ!」
「・・・・・っ!分かったの!じゃ、最初は一真に行くのーっ!」
いくらリフティングの名人とはいえ、一人だと寂しいもんな。たまに部下達とリフティングした後は、一緒にゲームするくらいだ。それから、また入れ替わり立ち替わり、鞠とリフティングを楽しんだ。
「ふう、いい汗かいた」
「ふわぁ・・・・・もう動けませーん」
「私も・・・・」
「詩乃、生きてるか?」
「返事がなければ、ただの屍だと思って頂いて構いませんので」
皆全力で走り回って、俺と鞠以外の者はクタクタのようだ。詩乃はともかく、ひよやころは決して体力がない方ではないのにな。
「皆、もうおしまいなの?」
鞠は元気があるから、まだまだいけそうだな。俺もだが、それに重装備で走り回るって事はよくあったからな。
「はぁ、はぁ・・・・ねぇ、もしかして鞠ちゃんって・・・・一回も休んでないんじゃ?」
「もしかしなくても、そうだと思う・・・」
「俺は一回休憩したが、まだまだだと思うけど」
しかも、詩乃や他の皆にもフォローしてたからな。結構な運動量だけどな。
「そういえば一真様。お城から戻ったら、どこかに行くって言ってませんでした?」
「ああ、そんな事も言ってたな。街に買い物に行くのだが、皆は無理だよな?」
今回の上洛は、松平や他の勢力と共同で動く事になっている。ある程度余裕を持ったスケジュールで、進んでいる。期間も長いし、動かす兵力も違う。まあ、俺はいつも通りに動かせばいい事。俺がここを離れればトレミーも追ってくる。兵達からバレないように上空にいる。特に一真隊は、初めての十分な準備を行うからの作戦行動に入る。黒鮫隊は独立部隊、俺が命令しない限りは動かない。いくら久遠でもな。
「すみません。休憩の合間に和奏さん達が遊びに来て、ちょっと蹴鞠をしようっていう話だったんで・・・・まだ今日の作業が」
「私も同じです」
「ああ、別に急な訳じゃないから気にすんな」
「申し訳ありません。私はもう限界です」
「詩乃はもう無理すんな、これを飲んでおけ。少しは体力が回復されるだろう」
といって、小さい小瓶を出した。それを飲んだら、詩乃の身体が光輝いたと思えば顔色がよくなっていた。ちなみにボールは空間にしまってある。この小瓶は体力を回復させる物で、分かりやすく言うならフェニックスの涙の改良版。
「だったら、鞠が行くの!」
「おう、だろうと思ったし、まだ美濃に来たばかりだから足りない物とかあったら言ってな」
と言って鞠と一緒に行ったら、時計に緑のランプが付いたので通信機を耳につけた。そしたら、俺らが行った後の長屋にいるひよ達の会話だった。
『うぅ・・・・一真様、行っちゃいましたね』
『いいなぁ、鞠ちゃん』
『ですが、今回ばかりは本当の体力勝負でしたね。鞠さんと一真様の無尽蔵な体力にはどうあがいても勝てる気がしません。先程の小瓶のおかげで疲れは飛びましたけど』
『だね・・・・。ひよ、とりあえず今日の残りの作業、早く片づけちゃおう』
『そうだね。きちんと終わらせたら一真様、褒めてくれるかな?』
『ええ。私達は出来る事を頑張りましょう』
だった、会話終了したので通信機をポケットにしまった。そんなこんなで、鞠を連れてやってきたのは井之口の市だ。
「わーっ!賑やかなの」
「だな・・・・。いつの間にこんなに賑やかになったんだ」
上洛の噂を聞きつけた商人達だろうか。俺が長久手に行く前より喧噪は熱を増している。
「ふわぁ・・・・色んな物が売ってあるの」
「おいおい。あまり走り回るなよ」
と言いながら手を繋ぐ俺と鞠。腕の長さが違うけどそれは関係ないみたい。
「えへへー。一真の手、おっきいのー」
嬉しそうに手を握るからいいんだけどね。
「ほらほら。一真、こっちなの!こっち!」
しばらくは鞠の買い物になりそうだな。俺の買い物は大したのじゃないし。
「一真!蹴鞠、売ってるの!」
「はい、いらっしゃい」
「ふわぁ・・・・きれいなのー」
鞠は店先に並べられたいくつもの鞠を笑顔で見回す。手に取ってはその具合や大きさを確かめている。さっきのボールよりかは鞠のほうがいいかもな。
「これは、京の鞠?」
俺が帰ってきた時にやっていた蹴鞠の鞠とは違う。綺麗な装飾の施された鞠のようだ。たぶんこういう綺麗なのでやっているんだろうな。
「そうだよ。綺麗だろう」
「うん!とっても綺麗なの!」
「これも蹴って遊ぶの?」
「投げて遊ぶ手鞠だけど、まあ・・・・上手なら蹴っても上手く使えるんじゃないのかね」
ほう。鞠でも色々なスタイルがあるそうだ。手で遊ぶ鞠か。楽しそうだけど、やっぱり俺は蹴る方だな。
「前は駿府まで行ってたんだけどね。最近のあっちは随分キナ臭くなってるし、今回は上洛があって人も増えてるから、こっちに来てみたんだよ」
って、よりによって駿府に行ってた人の店か。
「どうしたんだい?旦那」
「いや、何でもない」
鞠にも聞こえたのかと思ったが心配はなそうだ。店先の鞠を相変わらずニコニコと眺めているだけだ。周りも騒がしいから、聞こえていなかっただけかもな。
「どうしたの?一真」
「鞠・・・・その蹴鞠、気に入った?」
「・・・・ふぇ?」
「いいよ。気に入ったの、一つ買ってあげるから」
「ホント!?」
「うん。でも一つだけだよ」
「あ・・・・でも、いいの」
一瞬嬉しそうな顔になったが、すぐにしゅんとしたようだ。
「どうして?」
「鞠、お金持ってないから・・・・。はたらかざるもの、くうべからずだから」
ああ、そういう事か。この間言われたばかりだし。
「じゃあこうしよう。鞠が俺の部下になったって事で、出世祝いならどうだ?」
「にゃ・・・・?」
「これから大変だけどさ。鞠、素浪人だったろう。その後、一真隊の俺の部下になった訳だから、出世祝いという事で買ってあげるよ」
「うん。お祝い!」
「という事で、おじさん。この鞠をもらおうか」
俺は鞠が一番触ったり眺めたりしてた蹴鞠を買った。
「へい、まいどっ」
「鞠、これ受け取れ」
「うんなの!大切にするの!」
と言ってまた歩き出すと、鞠は喜んでいた。新しい鞠を買ってくれた事で上機嫌になってた。俺は鞠と手を繋いでたけど、離したら迷子になってしまうだろう。こんなに幸せな笑顔を見るだけで、やる気は出てくるだろう。ロリコンにとっては。
「ああ、あったあった。おーい、親父さん」
「おお。織斑様、ようこそいらっしゃいました」
「頼んでいたアレ何だけど・・・・」
「ええ、ご用意できておりますよ」
「鞠、少しで良いからその鞠で遊んでてな」
と言って俺は店の奥に行った。親父さんと話してたけど、そろそろやるんじゃないのかな。お、後ろから騒がしいからやっているなー。周りの人から拍手もらっている。鞠の掛け声で、買ったばかりの新品の鞠を蹴り上げている。
「おーい、鞠!こっちにくれ!」
「じゃあ行くの。一真!」
と蹴り上げた鞠を胸で受け止めてからのリフティング。うん、さっきのボールよりやりやすいけど、なかなかいいなこれ。
「嬢ちゃんも凄いが兄ちゃんも上手いじゃねえか!」
「いやはや、お見事!」
「次は鞠!行くぞー」
「うんなの!」
丁度いい高さだったのか。鞠の細い手足をすり抜けて地面に落ちたはずの鞠は背中越しにと宙を舞う。
「兄ちゃん、あの嬢ちゃんの仲間かい?」
「まあな」
「これ、少ないけど取っといてくれ!」
「あ、俺も俺も!」
「え、あの、おひねりとかいらないんですけど」
「良いじゃねえか兄ちゃん。取っとけ取っとけ!」
「まあそう言う事なら」
俺は、いつの間にか持っていたざるにおひねりを受け取る。それから少し時間が経った時に、あの場所から離れて茶屋にいた。
「お団子、甘くておいしいのー」
お団子を口にいっぱいに頬張っている。鞠は今日一番の上機嫌だ。そして俺は鞠を見ながらざるを見たら大儲けしてしまった。さっきの蹴鞠興行のおひねりは、鞠に買ってあげた蹴鞠の代金どころか、この団子代を差し引いてもかなりの額が余った。
「なあ鞠」
「なあに?」
「さっきのおひねりは、だいぶ余っているから、何か欲しい物あるか?」
「んー。別にないから、一真が使っていいの」
「じゃあ、このおひねりで皆の分の団子を持って帰るか。それにこれは鞠の金でもあるし」
「なの!」
それでも余るが、これは鞠の金として預かっておこう。また買い物で使う時用とかにね。
「でも、井之口って凄く賑やかで、良い所なの」
「そうかい?」
「うん。母様がいた頃は、駿府は賑やかだったけど」
「そうか」
「駿府はね『東国の京』って呼ばれるくらい賑やかで、大きな街だったの。都落ちした貴族や、商人の人もいて、京からの鞠や細工物もたくさん市で売られていて、さっきの蹴鞠を売っていたお店のおじさんみたいな人達もたくさんいたの」
あ、ちゃんと聞こえていたか。
「ごめんな。今の俺らじゃ、鞠の力になれない」
今は上洛に集中したいし、鬼だっている。駿府を取り戻すのは先になっちゃうけどな。
「大丈夫なの。母様は久遠に負けてもういないけど・・・・鞠はまだこうやって生きているの。生きていれば、きっと何とかなるの。今は鞠も何の力もなれないけど、もっと大きくなって絶対駿府を取り戻すの。だから、今はそのためにも、ちゃんと一真のために役に立ちたいの」
「そうだな。生きていれば必ずそれは叶うだろう。俺が保障するよ」
「うんなの!」
出来事は順番。どこかを飛ばせば何も出来なくなる。まず上洛してから越前平定。そこでザビエルを倒せば何とかなるだろう。そして、俺と鞠は団子を食い終わってから土産を買い、買い物に戻った。
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