| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

精霊と命の歌

作者:蒼鈴六花
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

Disc1
  仄暗き魔の森

 
前書き
結構行き当たりばったり。大雑把過ぎる骨組みを何とかせねば……

ちょくちょくオリジナル設定があったりします。ご注意を?
 

 
暗い森へと投げ出された僕は、地面に当たる寸前でパニッシャーがクッションになってくれたおかげで助かった。

「助かった、戻れパニッシャー」

パニッシャーを還した後、僕達は入れ替わる。

(なんか不気味な森だね……)

(確かに妙な感じだな。あまり長居しない方が良いだろう)

(でも、とりあえず船が墜落した場所を目指そうよ。ビビ達の事が心配だし……)

(そうだな。だが、その前に装備の確認をしたらどうだ?)

持っているものは剣一本。ポーチには何も入っていない。
剣はネザートレイター。でも、なんだか……

(力が、失われている……いや、これは変化している)

(どう言う事?)

(この剣は俺達と繋がっている。いや、一部になりつつある)

ラタトスクによると僕達と武器の間に繋がりができており、僕達の弱体化と共に剣も弱体化してしまったようだ。
逆を言えば、僕達と一緒に強くなるみたいだけど……今は弱いんだよね?

(え? じゃあ今僕達って、魔物と戦えるの?)

(道具もなしじゃ、少しきついだろうな……だが、幸いこの辺の魔物の気配にそこまで強い奴はいない。冷静に対処すれば船まで持つだろう。俺が出るか?)

(大丈夫)

(っは、頼もしくなったもんだな)

(そりゃ昔よりは、ね)

そうして僕達は会話を終えて歩き始める。


◆ ◇ ◆

Active Time Event――
『エミルはどこ?』

劇場艇プリマビスタ船内の一室。

さっき、とても変な味のするお薬を飲んでそれから部屋に来たジタンにお礼を言った。
その時、エミルの事を聞いたんだけど……

「エミル?」

「うん、ジタンと同じ金色の髪の人。ボクの友達なんだ……」

「あの時、ビビと一緒にいた奴か……この船でみかけなかったし、もしかしたらガーネット姫と一緒に連れ去られたのかもしれないな……」

「そんな……」

どうしよう……エミルまで……

ジタンと少し話をして数分後、ジタンが騎士のおじさんと一緒に来て僕も一緒にお姫様とエミルを助けに行く事になった。
エミル、それに連れ去られたお姫様の人も無事だといいけれど……


◆ ◇ ◆

森に落ちてどれくらい経っただろうか?。
最初は赤い肌の子鬼や薄茶色の狼っぽい魔物が出てきた。
多少の傷は負ったけれど動けないほどではなく、2~3回の戦闘で今の力にも慣れたため、怪我も減ったけど……

(さすがにこれ以上強くなるのは……辛いかな?)

途中から子鬼や狼っぽい魔物より強い植物型の魔物がちらほらと現れ始め、辛い状態になり始めた。

(ずっと神経を張り詰めている状態だから余計に疲れる。……そろそろ俺と変われ)

(まだ……大丈夫。でも、いざとなったらお願いね)

(……無理はするな)

途中で見つけた綺麗な湧き水を飲んで少し元気を取り戻してからまた進む。
すると、足音が聞こえた。
僕達はすぐに戦闘態勢を整える。そして、出てきたのは……

「え、エミル!?」

「ビビ!」

ビビと騎士の人、それに尻尾の生えた人だった。

「お前がエミルか、オレはジタン。ほら、ポーション」

ビビと再会を喜んでいると尻尾の人が話しかけてきた。
薬と思われる物を僕に軽く投げて渡す。

「あ、ありがとうございます」

「敬語なんて使わなくていいぜ。名前も呼び捨てでかまわない」

「うん。じゃあ、ジタンありがとう。知っているだろうけど、僕はエミル。僕も呼び捨てでかまわないよ」

「ああ」

尻尾の人はジタンと言うらしい。回復薬? と思われる物をくれた。
飲むと傷が塞がる不思議な薬。グミみたいなものかな?

「再会を邪魔して悪いのだが、早く姫様をお助けせねば!」

騎士の人が慌てた様子で声をかける。

「えっと……どうしたの?」

「……それが、植物みたいなモンスターにお姫様が連れ去られちゃったんだ」

「それで今俺達が助けに向かう途中でエミルを見つけたって訳だ」

ビビが少し落ち込んだ様子で話し、ジタンが足りない説明を補う。
お姫様が、連れ去られた……?

「え、ええ!? じゃあ早く助けなきゃ!」

「ちょっと待てって! 傷は大丈夫なのか?」

「ジタンからもらったポーションのおかげで大分良くなったよ。僕もお姫様を助けるのを手伝うよ」

動きに支障はないし、十分戦える。
一応戦力には、なると思う。

「そっか、じゃあ頼りにしてるぜ! エミル!」

「かたじけない、エミル殿」

ジタンが僕の肩を軽く叩き、騎士の人がお礼をする。
なんだかちょっとくすぐったい気分だ……

その後、僕達は森の奥へと急いだ。
途中で植物型の魔物と出くわすけれど、先ほどまでとは違って傷を負わなくなった。

「すごいね、エミル」

ビビが魔法で魔物を倒した後にこちらを見て声をかける。

「ビビもすごいね。それに騎士の人やジタンも」

ジタンなんて隙あらば魔物からアイテムを盗んでいる。

「ボクは……すごくないよ。エミル達がいるから戦えるんだ……今でもすごく怖いし……」

そう言って落ち込むビビ。
なんだか昔の自分と被って見えた気がした。

「僕も、ビビ達がいるからこんなに戦えるんだ。それに誰だって始めは怖いし、友達や仲間に頼る事は弱い事じゃないよ。僕なんて始めて戦った時はすごくへっぴり腰で女の子に助けられたしね」

「エミルが? なんだか、想像できないや……」

ビビが驚く様子を見て過去の自分の情けなさを思い出して少しだけ笑ってしまう。
あの頃と比べたら少しは成長できたのかな?

(それに、あの頃はラタトスクに頼ってばかりだったね……)

(……そう考えると成長したな? ぼうや?)

(そうだね)

ラタトスクと昔を少しだけ思い出す。
なんだかすごく懐かしい。
でも、今は懐かしさに浸っていられる時ではない。ビビと再び気を引き締めて先へ進む。

そして、たどり着いた森の奥には巨大な植物の魔物、この世界ではモンスター? がいて、その奥にはお姫様がいた。

騎士の人は盗賊のジタンに助けて欲しくないみたいだけど、そうも言っていられない状況。
というかジタン、盗賊だったんだと思いつつも全員で戦闘を始める。

(エミル! 何か来るぞ!)

しかし戦闘を始めた瞬間、ラタトスクが叫ぶ。
僕はその声に咄嗟に回避行動に出たけど、何かが目に入って目がかすむ。

(あいつ、花粉を飛ばしてきやがった!)

目に入ったのは花粉?
周りを見ると皆はもっと見え辛くなっているみたいで敵の攻撃に当たったり攻撃を外したりしている。
特にジタンが狙われている。相手は僕達各個撃破するつもりなのだろう。
このままじゃあジタンが!
そう思った時、赤い髪の人がジタンと敵の攻撃の間に割って入り、敵の攻撃を弾いた。

「危なっかしくて、見てられねーな!」

その人はジタンに薬を渡した後、ジタンの前に出た。

「どいてな、俺が手本を見せてやる」

その人は敵のが伸ばして攻撃してくるつるを剣で切り裂き、攻撃すると共に相手の手数を減らした。
相手は雷の魔法も持っているから全ては防ぎきれないけれど、復活したジタンと一緒に辛うじて動ける僕が赤い人と同じようにつるを切る。

「皆! どいてぇ!」

ビビの声で全員が敵から離れた瞬間、ビビが火の魔法、ファイアを放った。
ずっと力を溜め続けていたらしく、すごい火力で敵を燃やし尽くした。
相手は断末魔を上げながら灰になり、僕達は無事にお姫様を救出した。

そしてお姫様に薬を飲ませて一安心した時、地震が起きる。

(この力は……! 逃げろ! エミル!)

ラタトスクの警告する声と共に地震が収まった瞬間、先ほどまで戦っていたモンスターがいた場所に大穴が開いてそこから植物型のモンスターが溢れるように出てきた。

「うわあ!」

「早く逃げよう! 倒しきれる量じゃない!」

お姫様は騎士の人が抱えて全員で湧き出るモンスター達から逃げる。

(なにが起こっているの!? ラタトスク)

(さっきの穴から妙な力が噴き出していた。その力が森を凄まじい速度で浸食するように迫ってきている……触れた場合どうなるか分からねぇが碌な事にはならねぇだろうな)

後ろをちらりと振り向くと森の景色がどんどん灰色になっていくのが見える。
あれは確実に触れたら駄目だ。
僕は隣で走るビビがころばないかひやひやしつつも何時でも行動に移せるように走る。

そして森の出口にたどり着き、後ろを振り返るとジタンと赤い人がまだだった。
森から茨が迫ってきており、それを潜り抜けるようにジタンが走って出口に飛び込むように飛んだ後すぐに森は茨に覆われ、石化した。

息切れしていたジタンは息を整え、森を見た後、石化した茨に駆け寄って茨を叩く。
ブランクとあの赤い人の名前と思われる名前を呟いていた。

(……間に合わなかったようだな)

(……そんな! あの人を助けなきゃ!)

(無理だ。俺達にこんな大規模の石化を治せるか? 冷静になって考えろ)

(……)

その後、僕達は少し暗い雰囲気の中で野宿する事になった。
騎士の人がジタンの態度を怒っていたけれど、ジタンだって石化した仲間が気にならないわけじゃないと思う。
こっそり拳を握り締めているのをさっき見た。
この中で一番辛いのはジタンだ。
さっきのブランクさんって人はジタンの仲間だったみたいだし、そりゃ何も思わないわけがない。
一番助けに行きたいはずのジタンが一番冷静だ。
僕も、冷静にならなきゃ……そう思っているとお姫様が目を覚ました。
起きたお姫様に騎士の人が跪き、ジタンとビビが近寄る。

お姫様は僕達にお礼を言い、騎士の人とジタンで口論になるけれどそこにお姫様が加わった事で口論は一応収まった。
でも、この口論の内容……

(ほう、姫を攫いに来た盗賊と城を逃げ出した姫は意気投合。騎士はそれを追っかけているってわけか)

(なんか……大変な事に巻き込まれていたんだね)

その後の話も呪われた人の心を狂わせる霧の話やこれから先どうするかとか。
色々な話をした。
そして見張りを騎士の人、スタイナーさんっていうみたいだけどその人がやってくれる事になって皆で寝る事になった。

だけど中々寝付けず、同じく寝付けなかったビビにこの世界の魔法について教えてもらいながら異界での始めての夜を過ごした。





 
 

 
後書き
エミルの武器の能力イメージはヴェスペリアの魔装具です。戦えば戦うほど強くなる武器?
後、ATEは入れるか入れないか悩んだ結果入れる事に。

本当は村到着まで書こうと思っていたんですが、一話の量が多すぎるかなと区切りました。
どの程度の文章量が良いのやら……

あ、ちなみにエミル(ラタトスク)の戦闘コマンドは術技とFFの魔法です。
術技はラタトスクの騎士本編で覚えていた技。
魔法はビビから教えてもらっているため、少しずつ覚えていきます。でも威力はビビほどじゃない。
もしかしたらガーネットかエーコから白魔法も教わるかもね。
 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧