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戦国†恋姫~黒衣の人間宿神~

作者:黒鐡
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八章 幕間劇
  久々の我が家

「ただいまー」

俺は久々に我が家に来た。たまには来ないとな。

「おかえりなさい。お風呂の支度出来ているから、先に入ってれば」

優しく迎えてくれた結菜は、そう言い残して台所に行った。久遠は先に入るかと言いだすが、ここは小谷ではないからと注意をする。俺は分かっている事だからと言い、先に入ってこいと言った。

「と、途中で入ってきたりするんじゃないぞ!」

「入らないから、ゆっくり入っておいで」

「うぅ・・・・約束だからな」

俺は人間であり神でもあるから約束は守る方だ。悪神とかだったら、約束は破るかもしれない。久遠の屋敷に居間で、しばらく考え事をしていた。鬼に対してだけど、現代兵器も使えるから一気に駆逐するのも可能なはず。なのにどうしてその選択はしないのだろう?とな。たぶんこの世界の人間にとっては、自分の得物を取られるのが嫌だと察知したのだろう。ここは現代兵器ではなく、主に刀や鉄砲を使う時代。それに武士にとっては、この先の戦いを楽しみにしているはず。

「久遠は風呂で結菜は台所か、今はこのままでいい。だが、たまには奏と一緒に入りたいもんだな」

俺はケータイにある画像を見ていた、俺と奏と優斗が写っている家族写真だ。それに今は久遠も結菜も恋人だからな、もしこの世界が破滅の世界に行くのであれば、俺は喜んで恋人達を拠点である世界に行かせようと思う。やがて、久遠も風呂から戻ってきて結菜も食事の支度もできたそうだ。それも二人がタイミングよく入ってきたからな。

「ん?この茶碗は」

何かが違うなと思ったら俺の食器だった。いつもは来客用だったような気がしたが、今日の茶碗はいつもと違っていた。

「久遠達が京に行ってる間に揃えたの。一真用の食器だからね」

「そうか。ありがとう、結菜」

「その代り、ちゃんと使いなさいよ」

「分かってるよ」

来客用の食器だった時は何も思わなかったが、俺用の茶碗だと思うと家族の一員と言う感じがした。そしたら結菜の料理が、いつもより美味しく見えた。

「なら、早く食べましょう」

「一真」

「おう。いただきます」

今日の献立は、鮎の塩焼きと何か貝類の煮付け。あとは真っ白なご飯と味噌汁だ。ちなみに豆腐も入っている。

「鮎はともかく、鮑までか。張り込んだな」

「ご飯の後のお菓子も用意してあるからね」

「干し柿か」

「ええ。あと、お団子もあるわよ」

「ほう・・・・」

久遠って、やはり甘い物好きなんだな。

「田楽狭間でも、美濃攻めでも、打鮑は用意できなかったから。今日は奮発するって言ったでしょう?」

「うちあわび?何だそれは。聞いた事ない言葉だな、鮑なら知っているが・・・・」

「ああそういえば、一真は出陣式の事知らないわよね?戦勝祈願の儀式でね、打鮑・勝栗・昆布の三つを順番に食べるの」

「へえー、そうなのか」

「打ち合って、勝ち、喜ぶ、という語呂と掛けてあるのだがな」

なるほど。おせち料理でも語呂合わせで縁起を担ぐ食材があるからな。

「その内、こういうのも纏めて教えた方がいいかしらね。ウチだったからいいけど、これが他家だったら大騒ぎよ」

「その方が助かる。俺はあまりそういうのは教わっていない、というかこの時代の事もまだよく分からない」

「分かったわ。天人様にも分かりやすく教えてあげるわよ」

「天人様ねえ。ところで田楽狭間の時も用意できなかったっていうのは?」

「急な出陣だったんだもの。前もって言ってくれればちゃんと用意できたのに」

「田楽狭間の好機は一瞬だったからな。我もあの日出るとは思っていなかった。最も、勝栗、昆布は用意出来たのだ。打ち合う間もなく勝って喜べたのだから、良いではないか」

「全くもぅ。少しは準備する側の身にもなってほしいわ」

「だよなー。京行きだって、前もって早く言ってくれれば、もうちょっと余裕ができたのだが」

「そうそう」

「別に困った事なかったろう」

「あの時は早く戻れたからよかったが、もし遅くなって戻ってきた時はどうなっていたのやら」

そうあの時は、神界にいて早く戻れたからよかった。もし行為までやっていたら、もう少し遅めだったのかもしれない。

「で、どうだったの?堺と京は」

「うむ。目的はほぼ果たす事ができた。成果としては充分だ」

「久遠、結菜は美味しい食べ物でも食べたのではと聞きたいそうだ」

と俺が言い当てた。そしたら慌てる久遠だったが、それが図星になってしまった。ひよやころ達からお土産話とか南蛮菓子をもらったそうだ。

「結菜にもお土産を買ってきたんだが・・・・」

「あら。一真にしては気が利くじゃない、てっきり二人で食べ歩きでもしてたのかと思ったけど」

俺は笑ってごまかしたが、結菜は分かっているんだろうな。それに眞琴と市が元気そうだったからよかったと言っていた。

「ああ。そういえば久遠、近江で思い出したけど、あなた鮒寿司は食べれるようになったの?」

近江の話すれば出たなそれ、小谷城の宴席で出たが俺も苦手なんだよな。

「そっか。せっかくころが、お土産に鮒寿司持ってきてくれたんだけど」

堺の南蛮菓子ならともかく、鮒寿司何ていつ手に入れたんだ。それか市が用意させたのかな。久遠や俺は拒否したけどな。

「そんなものより結菜の料理の方が倍美味しいからな」

「ふふっ。褒めても何も出ないわよ」

夕食を食った後に、結菜が先程言っていたお菓子を用意していた。食後のデザートもここでは食べるんだな。

「そういえば、久遠と結菜に食べてほしい物があるんだけど」

「何だ?南蛮菓子か」

「作ってきた。これだ」

いつもの如く空間から出したお皿一杯ある焼き菓子。食べるかな?と思って久々に作っておいたクッキーだ。

「何それ?見た事ないけど」

「ここでいうなら南蛮菓子だけど、名はクッキーという。俺の手作りだ」

「手作り!いつの間に作ったのそれ。食べていい?」

「ああ。どうぞ」

と言って久遠と結菜の前に置いた。そしたら絶品だった、ひよ達の南蛮菓子のお土産よりうまかったと結菜が言ってた。だって軍議が終わった後、焼き終わったと女性隊員からの連絡があって、行ってみたら見事にできてた。最初は、その場にいた女性隊員にあげてからだけど。

「これはどんな菓子なのだ?」

「焼き菓子だ。材料はここでは揃えられないけど」

「そうなのか。これは堺に行った時に無かったものだが」

とまあ絶賛だったけど。あまり食べるとアカンからお皿を取って空間にしまった。そしたらなぜだ?と問われたらあまり食べると体重が上がるぞと言っておいた。

「そういえばさっきの話の続きだけど、二人はこの旅で何か進展があったの?」

「ぶっ!」

おいおい、ここで蒸し返すのかよ。

「ああ・・・・あったのね。あんな事ができるようになったぐらいだから、何かあったんだなと思ってたけど」

「な、何の事だっ!何もない、何もないぞ!なあ、一真!」

「ここで俺に振られても困るんだけどな」

それにそんなに慌てたらバレるだろう、普通。

「口づけも、さっきのが初めてだったし・・・・」

「さっきの口づけなら、一真の翼で見えなかったけど。それで口づけ以外で妻の私に言えないような事って何をしてたのかしらー?」

「ない」

「・・・・ないの?」

「ない。なあ、一真」

「ふむ。何かあったかな」

どう答えるか迷った。だが正直に言った方が良さそうだな、それにしても久遠が、蛇に睨まれた蛙のようになっているな。

「じゃあ、一真に聞く事にしましょう。一真?」

「んーと、堺では二人で土産を買うために歩き回ったくらいだが、小谷城では風呂も一緒で布団も一組しかなかったから一緒に寝たくらいだ」

「なるほどね・・・・。まあ、市ちゃんらしいといえば、らしいわねぇ」

「他もしようかと思ったが、今回はそれだけの事」

「なるほどね。他って何の事?」

俺は耳を貸せと結菜に近づき、情事=行為の事を話した。そしたら結菜は、なるほどねと言って納得してたけど。

「か、一真!結菜に何を言ったのだ!」

「べっつに、ただ恋人や夫婦なら当たり前の事を言っただけさ。なあ結菜?」

「そうね。私だったらして欲しかったな、それに市から手紙が届いてたし」

手紙が届いてたのは初耳だが、恐らく小谷城からだな。俺達が城に行った後に届いたんだと言ってた。やるねー、市は。

「恋人何だから、今まで何もしなかった方がおかしいのよ。私が一真の愛妾になってからでさえ、もうどのくらい経ったと思っているの?」

「結菜だって、何もしていないではないか」

「だって、最初に恋人になったのが久遠だから抜け駆けする訳にもいかないでしょう」

「むぅ・・・・」

「でも・・・・久遠に接吻したのなら、そこまでは私もしていいって事よね?」

「おー。だったら歓迎だぞ」

「だったら、私にも口づけしてほしいな」

俺は結菜の体を抱き寄せてから、少し無理やりではあるがキスした。

「んぅ・・・ちゅ・・・一真ぁ・・・」

ふむ。他とキスすると唇の柔らかさも違うのだな。俺はキスをしながら、抱き着いた。

「ふぁ・・・・。殿方との口づけって、こんなに素敵なのね」

その物言いだと、男とキスをするのはこれが初めてと言ったところか。結菜の頬は少し赤くなっていたけど。それもまだ惚けたままの結菜の顔は見た事がない顔であった。で、キスした後久遠が呼ぶからおいでと言ったら恥ずかしがっていた。

「一真との口づけ、凄く気持ちよかったわよ?ホントに魂が吸われちゃうかって思ったくらい」

「た、魂が・・・・」

俺はカメラか!とツッコミしたくなるがよそう。そして久遠は恥ずかしがっていたので、結菜がもう一回キスしようと言った。俺は大歓迎だと言ったら、久遠がしてほしいなら代わってあげるけどとか言ってた。

「そうだ久遠。お土産、あったんじゃなかったか?」

「あ・・・・・・」

「何?まだ内緒があるの?」

俺は内緒なぞ無いと言いながら取り出したのは一組のかんざし。

「あら綺麗」

と言ってたけど先に久遠に付けてやってから結菜にも付けるとの事。そして俺は、久遠の髪に簪を付けた。付けた時に軽くキスをした。

「んんんん・・・・っ。か、一真・・・・っ!?」

「ふふふ可愛いからついな、次は結菜の番だ」

「久遠とお揃い何て、そういえば初めてじゃない?」

「ほうそうか。だったら買ってきて正解だったな」

結菜の綺麗な髪にも簪を挿して。俺は結菜の視線を見ながら、キスをする。

「ちゅ・・・・っ。ん・・・・一真ぁ・・・・」

「ほら、久遠も来いよ」

その様子を羨ましそうに見ているからもう一度招き入れる。

「・・・・・うん」

久遠もようやく、おずおずと頷く。

「で、今日は泊まって行くのか」

「今の状況を見ればそうなるな」

俺達の前には布団は一組だけ。

「何?一真は私と寝るのがそんなに不満?」

「そんな訳ないだろう。むしろ大歓迎だ」

「そう。寝る前にあれもしてくれるの?」

「あれとは何だ?結菜」

あれとは情事の事だ。この世界の原作は15禁という事は知っていた。なので、先に俺がする事にしたけど。原作の主人公は童貞だと聞く。

「とにかく今日は、一真と一緒に寝る事だからね。それにお風呂は我慢してあげるけど、寝る事くらいはいいわよね」

「おうよ。あと優しくしてやるからな」

「一真。その優しくとは何だ?」

「それは俺の口から言わせるなよな。分かった後からでは遅いけど」

その後、最初に久遠を食べてから結菜を食べた。久遠は真っ赤になって逃げだそうとしたが、結菜の助力によりシた。情事した後は、神の力の一つ浄化により匂いや液体が無くなっていた。その後結菜は真ん中で、久遠は左側、俺は右側になって寝た。  
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