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戦国†恋姫~黒衣の人間宿神~

作者:黒鐡
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七章
  宴×鬼の動き

「それでは久しぶりのお姉様との再会を祝して!」

この城の主であり、この宴会を取り仕切っている眞琴の号令に、それぞれが杯を掲げ、宴会が始まる。

「堺に向けて出発したのが、随分前に感じるな」

「そうだな」

「壬月達はめちゃくちゃ怒ってそうだ」

「考えたくないから考えたくない」

「久遠はそれでいいけどさー、一真隊のメンツは壬月の説教確定かもな」

「ええー!確定なんですかーっ!?」

何でも本気説教を喰らったら、穴と言う穴から血を垂れ流して死ぬって言うものらしい。それは本当の話なのか?久遠は取り立ててやるとか言ってたがまあいい。

「壬月の説教を免じる方法はあるにはあるから俺に任せておけ」

「お頭ぁ!」

「うう、お頭のお心遣いに感謝ですぅ~・・・・」

ホッと安堵した二人の向こうからスキップしてくる市。姉妹の会話を聞く訳にはいかないから、詩乃のところに行った。

「詩乃」

「・・・・(モクモクッ)」

「魚、美味しいか?」

「・・・・(コクコクコクッ)」

幸せそうに食べていると、ずっと見てたくなるなと思った。

「か、一真様」

「ん?」

「あの・・・・ジッと見られていると、落ち着かないです」

「あ、悪い悪い。少し考え事をしていた」

「鬼の事ですか?」

「そう。さっきエーリカが言っていたんだが、鬼の力は月齢が関係するらしいと聞いたんだ」

「月齢といえば・・・・今は丁度、満月の時機。それがどのように影響を及ぼすのでしょうか」

「強くなる、凶暴になる、逆におとなしくなる。と色々考えてしまうが、とにかく鬼に何かしら変化があると思うんだ。そうなると・・・・」

「この城にまで現れるかもしれない、と。そう仰りたいのですか?」

「俺の勘なのかもしれないが、少し心配でな」

と言うが、実際もう来てるかもしれない。トレミーからの報告からも、来る予感がすると言ってたし。

「小谷の城は詰めている兵も多いですし、普通のケダモノならば、人の多い所に好んで姿を現す事はしないでしょう。しかし普通ならのお話です。ケダモノも成長します。しかも江北に現れる鬼は集団で出現しているそうですから、尾張の鬼よりも知恵がついているものと見て、間違いないでしょう」

「まあな、段々とだが、知恵を付けてくるだろうさ。人も獣も」

「エーリカさんの話を聞くに、ザビエルとやらは、この日の本全土を鬼の楽園に変えるのが目的。何やら途方もなく感じますが、鬼を敵兵に置き換えれば、軍学を通して見えてくるものがあります。まず一つ。拠点。次に兵站。そして交通。鬼の動きを推測すると時には、この三つを中心に考えれば良い。今鬼の動きは、各地方によってはバラバラです。京や江南では多く次に江北で散見されて尾張美濃では、まだ本格的には動いていない。これだけで鬼の行動範囲が絞れます。・・・・つまり京を中心にゆっくりと広がっているという事です。広がりをどうするのか?・・・・鬼の楽園を築くというなら、やらなければならない事は一つ。国を落とす事。国を落とすならば、纏った数の鬼が必要なはず。纏った数の鬼を揃えるためには、その鬼達を収めておく拠点が必要となる」

「市の話によれば、拠点は京って考えるのが妥当だが、京は畏き所の聖地だ。五山によって霊的な結界が張られているだったな」

「はい。各所に神仏を配置し、幾重にも結界を張られていますから恐らくは大丈夫かと。事実、洛内はでは鬼の動きは殆どないと聞いておりますし、拠点化は無理ですね」

「じゃあ、次に狙うとしたら?」

「次に考えられるのは、各地方に向けて道が延びている交通の要所でしょう。・・・・東海道、東山道、北陸道が合流する近江などはまさに理想の拠点になり得ます」

「なるほどな。小谷に来た鬼は、南は観音寺の方から来たと過言ではないがその推測は当たっているのかもな」

「観音寺の六角氏が鬼に滅ぼされた、などと言う話はとんと聞いておりません。今はまだ、鬼もそれ程力を持っていないのかもしれません。ですが・・・・」

「うん。京周辺が徐々に浸食されていると見て、間違いはなさそうだ」

「小谷はまだ無事でありますし、尾張美濃も壬月様達剛の者がいらっしゃるので安心でしょう。しかし六角、北畠などは少し怖いですね」

まあそうなんだよな。尾張美濃は大丈夫だし、何とかなる。しかし、剛の者が一人いたとしても十匹の鬼がいたら多勢に無勢だと考えるようだが、俺達には関係ないな。こちらは現代兵器にISを持つ者がいるから、それにピンチだったらトレミーで攻撃すればいい。

「探りを入れますか?」

「うおっ!びっくりした。あっちでひよと二人でご飯と夢中だったろ」

「お頭と詩乃ちゃんが何やら真剣な話をしているのに、私達だけお気楽に食事何て、できませんよぉ」

「そうですよ!私達だって、一真隊の一員なのですから、真面目なお話をする時は、ちゃんと呼んで下さいよぉ!」

「悪い悪い、何となく考えている内に詩乃と意見交換してたようだったな」

俺らブラック・シャーク隊もいるけど、こいつらもいるからな。ちゃんと考えねばならない。が、今は久遠の考えで動くべきだ。

「鬼の動きはどうであれ、今やる事は、足利の二人を京都から掻っ攫って錦の御旗を手に入れる事だ。切り札を手に入れたとしても、次に動くのは鬼の動きに合わせてだろうな」

「あれもこれもって手を出せば、失敗するのがオチですもんね」

「そういう事。だけど上洛前にもしかしたら動くかもしれんから、そこだけは頭の片隅にでも入れておけ」

頷いた所で市がやってきた。そういえば昼に遊ぶ事を約束していたな。で、何して遊ぶ?と聞いたら、果し合いだと言った。一瞬だったが、はい?と思ってしまったがそういう事か。闘ぼうって字が違うような気がしたが。 
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