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寂しきロックンローラー

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第六章

「それじゃあ駄目かしら」
「フレンドかよ」
「そうよ、お酒を飲むのはいいけれど」
「一人での深酒はっていうんだな」
「ええ、身体によくないわよ」
 だから止めるべきだというのだ。
「二人で飲む方がいいわよ」
「酒は楽しく多過ぎずか」
「ええ、特にバーボンみたいな強いお酒はね」
「今はこれが飲みたいんだよ」
「強いお酒が飲みたいのね」
「酔ってそれでな」
 今も飲みながら言う、バーボンのストレートをあおりながら。
「紛らわしたいんだよ」
「一人でいることになの」
「あんたは確かに俺のマネージャーでしかも友達なんだよ」
「それでも彼はなのね」
「もう一人の俺なんだよ」
 それに他ならないというのだ。
「だからな、この店でもいつも一緒だったからな」
「いないと、っていうのね」
「辛いな」
 偽らざる心の言葉だった。
「どうもな」
「昼はそうは見えないけれど」
「昼は強がれるさ、けれど夜はな」
「そうはなれないのね」
「本当に昼も夜も一緒だったからな」
 その相手がいないと、というのだ。
「部屋だって一緒だろ」
「ゲイって言う人もいるわね」
「ゲイじゃないさ、俺達はな」
 彼等は二人共女好きだ、それぞれ派手に遊んでもいる。実ドワンゴにしても今も女遊びを忘れてはいない。
「それでもだよ」
「一心同体だっていうのね」
「そうだよ、じゃあな」
「もう一人の自分を待ってるのね」
「そうだよ、俺はあいつがいないとな」
 駄目だというのだ。
「だからな」
「そうなのね、それじゃあ」
「今は一人で飲むさ」
「私が一緒にいるけれど一人なのね」
「あんたがいるから一人じゃないさ」
 飲むのはというのだ、だが。
 それと共にだ、こうも言ったのである。
「けれど心は一人なんだよ」
「そういうことなのね」
「ああ、確かに深酒はよくないな」
「一人で飲むお酒は毒よ」
 それに過ぎないというのだ。
「止めておいてね」
「心が一人だからな」
「ええ、止めておいた方がいいわ」
「そういうことだよな、じゃあな」
「彼は絶対に戻って来るわ」
 それでだというのだ。
「待っていてね」
「酒もそうするか」
「二人で飲めないのならね」
 ソーサーと飲んでも一人だ、それならというのだ。
 ドワンゴは今は酒を止めて店を後にした、それからだった。
 暫くは酒も止めた、自然と女の方も。
 女遊びについてもだ、彼は言ったのだった。
「張り合いがないんだよ」
「女遊びをしてもなのね」
「ああ、どうもな」
 事務所でだ、ソーサーに話す。 
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