FAIRY TAIL 友と恋の奇跡
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第164話 黒闇傘
前書き
駄作者07ですっ!
今回はバトルパート第3試合!いよいよ、妖精の尻尾Aが登場!果たして、誰が登場するのかっ!?どのギルドと戦うのかっ!?
今回もナレーション風に書いていきます。
それでは、第164話・・・スタートッ!!
『『謎の仕事』に挑んでいる元妖精の尻尾B』
マスターに頼まれ、『謎の仕事』に挑んでいる元妖精の尻尾Bのガジル、リリー、ラクサス、ミラ、ジュビア、カナの5人+1匹は遥か天高く聳え立つ崖を登っていた。かなり高く登ったが、まだ頂上は一向に見えず、下も見えなくなっていた。ここから落ちたら一溜まりも無いだろう。
ガ「ったく、さっきから険しすぎる道しかねぇじゃねぇか。」
そう。この5人+1匹はうっそうと生い茂る森の中を潜り抜け、下はすごい勢いで流れる川の上を今にも切れてしまいそうなボロボロの吊り橋を渡り、コウモリや毒蛇がうじゃうじゃいる洞窟を通ってここまで来たのだ。
カ「森、ボロボロの吊り橋、洞窟の次は崖ェッ!?」
ジュ「す、すごい、道のりですね・・・」
すごい道のりなのだが、この5人+1匹は一度も休まずここまでやって来たのだ。
ミ「ていうか、ガジルとリリーは何で登っているの?リリーで飛べば、あっという間なのに?」
ガ「ギヒッ。これも修行のうちだ。」
リ「ナツ達が大魔闘演舞に出場している間に、俺達は更に力をつけるのだ。」
つまり、ガジルとリリーは修行の為にこの険しすぎる崖を登っているという訳だ。
ラ「それより、本当にあるんだろうな?」
今までずっと黙っていたラクサスが口を開いた。
カ「全く信用出来ない話だけどね・・・」
ジュ「でも、マスターはこの先にあると言っていました。」
ジュビアはそう言うと、遥か先にある頂上がある方向に目を向けた。
しばらく登り続けると、薄っすらと霧が出てきた。
ミ「霧だわ。」
ジュ「皆さん、気をつけて下さいね。」
カ「全く。視界が悪くなってきたわ。」
リ「だが、霧が出てきたとゆう事は・・・」
ラ「頂上も、目的地も、近くだって事だな。」
全員が霧で隠れた遥か先にある頂上がある方向に目を向けた。
ガ「どうやら本当に、この崖の頂上にあるみてぇだな。」
ガジルは一度話を区切り、「ギヒッ。」と右口角を上げて笑うと、
ガ「『霧隠れの滝』がな。」
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『大魔闘演舞会場、ドムス・フラウ』
チャ「さぁ!盛り上がってきたところで、第3試合に参りましょうっ!!」
大魔闘演舞1日目のバトルパートは中盤戦に差しかかろうとしていた。チャパティ・ローラの実況もどんどん力強くなっていくのが分かる。
チャ「第3試合、妖精の尻尾A、ウェンディ・マーベル!!VS死者の仮面、リノ・ハビュット!!」
観全「オォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!」
ウェ「それじゃあ、行って来ます。」
赤色のチームカラーの服を着たウェンディが会場に向かう。
ナ「頑張れよウェンディ!」
エ「相手は死者の仮面だ。何か卑怯な真似を使ってくるかもしれない。くれぐれも気をつけるんだぞ。」
妖精の尻尾は大魔闘演舞のオープニングゲーム、『浮上板』で死者の仮面の魔道士、コネティに痛めつけられたショールを目の当たりにしている。運悪く、そのギルドと戦う事になってしまったのだ。しかも、今度はウェンディ。何を仕出かすか分からない。
ウェ「大丈夫ですっ!私が、ショールさんの仇を討ちますっ!」
ウェンディは決意を込めた瞳でナツ達を振り返ると、一度微笑んでまた会場に向かって行った。
一方、妖精の尻尾Bの待機場所では、
ト「ウェンディさん・・・」
死者の仮面の魔道士と戦う事になったウェンディの姿を見て心配するトーヤがいた。そのトーヤの右肩に、リョウが優しく手を置いた。
ト「リョウさん。」
リョ「そんな顔すんなって。」
マ「そうだよ。ウェンディは強いんだから、死者の仮面の奴等なんてボッコボコにしてくれるよ。」
リョウとマヤが励ましの言葉を掛ける。それに重ねるように、
フ「それに、ウェンディだってこの日の為にたくさん修行してきたんだ。」
ユ「勝っても負けても、ウェンディは良い結果を残してくれるよ。」
鳥の姿に戻ったフレイとユモも励ましの言葉を掛ける。トーヤは会場にいるウェンディに視線を移すと、
ト「そうですね。」
小さく呟いた。
会場には、藍色の髪の毛をツインテールに束ね、赤色のチームカラーの服を着たウェンディと、左半分だけが隠れる黒い仮面を着け、真っ黒なゴスロリに身を包んだリノが向かい合っていた。
チャ「少女対決になりましたね。」
ヤ「今度はどんな戦いを見せてくれるんだろうね~?」
レ「楽しみですね。」
ウェンディとリノの間をヒュゥゥゥゥゥと静かに風が通る。
ウェ「(す、すごい・・この人から、邪悪な何かを感じる・・・)」
強張った表情のウェンディとは裏腹に、リノは無表情で、真っ赤な瞳でウェンディの事を静かに見つめていた。
ウェ「(瞳の色がショールさんと似ているけど・・・この人の瞳には『光』が射していない。真っ黒な『闇』だけだ。)
冷や汗が一筋、ウェンディの頬を伝った。
チャ「第3試合、開始ッ!!」
チャパティ・ローラの実況と共に、像の上にいる男が銅鑼をゴォォォォォン!!と力強く叩いた。それを合図に、ウェンディは小さく地を蹴り駆け出した。
ウェ「天竜の・・・翼撃ッ!!」
両手に空気の渦を纏い、それを力強くリノに振るう。が、リノは音を立てる事無く静かにウェンディの攻撃を避けた。
エル「あんなあっさりとっ!?」
グ「なかなかやるじゃねぇか。」
エルフマンが驚嘆の声を上げ、グレイが口角を上げて笑った。
ウェ「だったら、天竜の・・・砕牙ッ!!」
空気の渦を纏った拳を爪を立ててリノに振るう。が、リノは持っていた真っ黒な傘を横に持ち、ウェンディの拳を受け止めた。
ウェ「!?」
マ「傘で受け止めたぁっ!?」
フ「お、折れねぇのか・・・?」
ユ「丈夫な傘なんだね。」
フレイとユモが内容のズレた話をする。
ヤ「あの子が持っている傘は、いったい何なんだい?」
レ「さぁ?雨でも降るんでしょうか?」
チャ「いえ、今日は1日中晴れの予報ですけど・・・」
ヤジマ達も内容のズレた話をしている。
ウェ「お、驚きました・・・」
ウェンディは一旦リノから遠ざかる。相変わらずリノは無表情で、真っ赤な瞳でウェンディの事を静かに見つめていた。
ウェ「あなたは、私に攻撃しないんですか?」
リ「・・・・・」
ウェンディが問うが、リノは何も言わない。ただ、無表情で、真っ赤な瞳でウェンディの事を静かに見つめているだけだ。
ウェ「(この人、いったい何を考えているのかさえも分からない・・・それ以前に、この人の感情が、よく分からない・・・)」
バトルはただ攻撃をしたり防御をしたりするだけでは絶対に勝つ事は出来ない。相手の行動を読み取る事も、バトルに勝つ方法の1つだ。相手の目の動き、相手の体の動き、相手の魔法の使い方・・・これらを全て上手く読み取る事で、相手の弱点などを正確に捉える事が出来る。それを認識した時に、バトルに勝つ事が出来るのだ。だが、
ウェ「(この人の行動が、読み取れない・・・)」
さっきから全く動きを見せないリノの行動を読み取る事は不可能。ウェンディは少し焦っていた。
ル「ウェンディ、どうしたのかしら?」
その様子を待機場所から見ていたルーシィが首を傾げる。
エ「たぶん、あのリノとゆう奴の行動が読み取れないんだ。それで少し焦っているのだろう。」
ト「ウェンディさん・・・」
リョ「大丈夫だ。ウェンディなら何とかやっていける。」
トーヤの声にリョウが笑いながら答える。が、すぐに険しい表情になった。
リョ「でも、このままの状態が続くと、ウェンディは不利になっていくな。」
すでにエルザとリョウはウェンディとリノの様子から全て悟っていた。すると、今までずっと動きを見せなかったリノが目にも見えぬ速さでウェンディの背後に回り込んだ。
ウェ「!!キャアッ!」
リノは傘の先端でウェンディの首の後ろを殴る。
ユ「速いっ!」
グ「あいつ、何て速さだ。」
ウェンディはふらつきながらもゆっくりと立ち上がる。リノの表情をちらりと見るが、相変わらず無表情で、真っ赤な瞳でウェンディの事を静かに見つめているだけだ。
観1「み、見たか今のっ!?」
観2「あぁ。あのリノって奴、すっげぇ~速ェ。」
観3「全然見えなかったわ。」
観客もリノの速さに目を見開いている。
チャ「い、今の動きは何だったのでしょうっ!?まるで超人のような動きっ!誰にも見る事が出来なかったぁぁぁぁぁっ!!」
ヤ「こりゃあ驚いたねぇ~。」
レ「まるで風のようでした。」
ヤジマ達も驚嘆の声を上げる。
ウェ「速いですね。でも、私も負けません!バー二ア!」
リ「!?」
ウェンディも目に見えぬ速さでリノの目の前に来ると、
ウェ「天竜の・・・鉄拳ッ!!」
リ「くっ・・!」
ウェンディの拳がリノの右肩に当たる。ウェンディの攻撃が、初めてリノに当たった。
ル「ヤッタァ!」
ナ「良いぞウェンディー!」
シャ「その調子よ、ウェンディ!」
ハ「頑張れぇ~!」
待機場所からルーシィとナツの声、応援席からシャルルとハッピーの声が聞こえた。リノは相変わらず無表情だが、少し目付きが変わった。リノは傘を持ち直すと、また目に見えぬ速さでウェンディの背後に回り込んだ。
ウェ「!!」
ト「ウェンディさんっ!!」
トーヤが叫んだのと同時に、リノは持っていた傘をウェンディに振りかざした。が、ウェンディは顔の前で両腕をクロスさせ、振りかざされた傘を受け止めた。
チャ「おぉっと!ウェンディ、リノの傘を受け止めたぁっ!」
ヤ「ナイスだね。」
レ「お見事です。」
ウェンディとリノはしばらくその状態で見詰め合った。
ウェ「な、なぜ・・あなた達は・・・妖精の尻尾を、狙って、いるんですか・・・?」
ウェンディが両腕をクロスさせたまま問うと、リノは無表情のまま傘を振りかざした状態で、ウェンディの耳に口元を寄せると、
リ「簡単な事よ。私達死者の仮面は、妖精の尻尾を支配しようと企んでいるんだから。」
透き通るような声で囁いた。リノの言葉にウェンディは目を見開いた。
ウェ「妖精の尻尾を・・・し、支配・・する・・・・?」
すると、リノはウェンディから一旦遠ざかると、持っていた黒い傘を開いた。
チャ「雨も降っていないのになぜか傘を開いたリノ。」
ヤ「こんな天気が良いのに、どうスたんだろうね?」
レ「あの傘は、いったい・・・?」
会場内にいる人間の視線がリノの黒い傘に集まる。
リ「この傘は黒闇傘という魔法道具。この傘を使って『闇』で攻撃や防御が出来るの。」
そこまで言い、リノは一度話を区切ると、開いた傘を柄が上になるように逆さまに持った。
ル「えっ?」
エル「あいつは何やってんだ?」
リョ「頭ぶっ壊れたのか?」
フ「さらりと言うな。」
ルーシィとエルフマンが首を傾げ、何気に酷い事を言っているリョウの言葉にフレイが突っ込む。
チャ「えぇっとぉ~、リノは傘を逆さまに持っていったい何をするつもりなのでしょうか?」
ヤ「不思議な持ち方をするねぇ~。」
レ「ここからどうするんでしょうかね?」
会場内の人間がリノの黒い傘に興味を示す。ウェンディは体勢を低くし、その場で身構える。すると、リノは柄を上に向けた状態のまま柄をウェンディの方に突きつけた。
ウェ「えっ?」
リ「『闇』で攻撃や防御が出来る他に、相手に『闇』を見せる事が出来るのよ。」
すると、会場に追い風が吹き荒れた。
観4「な、何だいきなりっ!?」
観5「お、追い風ェッ!?」
観6「あっ!帽子がっ!」
観客達は大騒ぎ。
チャ「と、突然会場内に追い風が吹き荒れましたっ!!」
ヤ「あんた『鬘』。」
レ「今日はよく風が吹き荒れる日ですね。」
地鳴りが起きたり風が吹き荒れたり・・・妙な事が次々に起きる1日だ。
ナ「うおぉぉああぁぁあああっ!」
グ「い、いきなり風が・・・!」
ル「し、しかも、追い風じゃない!」
ト「うわわわわわぁ~!」
マ「風強いよぉ~!」
追い風は一向に止まない。その時、リョウが何かに気づいた。
リョ「お、おい!何だあれっ!?」
リョウの声にユモとフレイが会場に視線を移すと、
ユ&フ「ウェンディッ!?」
追い風の影響なのか、ウェンディの体がズズズと音を立ててリノの方に押されている。更に、それを見たエルザが、
エ「この追い風・・・リノが持っている傘から出ているんじゃっ!?」
そう。リノが持っている黒い傘はウェンディの背中を押すように追い風を起こしている。
ウェ「うぅ・・!」
ウェンディ自身も必死に踏ん張っているが、徐々にウェンディとリノの距離が縮まっていく。
シャ「ウェンディ!耐えるのよぉ~!!」
ハ「ウェンディ!しっかりぃ~!!」
マ「ねぇ、私達の体は押されていないのに、何で、ウェンディの体だけ、あんなに動いてるの・・・?」
リョ「えっ?」
マヤの言うとおりだ。ナツ達やマヤ達、観客達は追い風で背中が押されても体は動かないのに、なぜかウェンディの体だけズズズと動いているのだ。すると、リョウが何かに気づいたのか目を見開いた。
リョ「まさか・・・!あいつが持っている傘、ウェンディを吸い込もうとしてるんじゃ・・・!?」
ユ「えぇっ!!?」
有り得ないような話だが、リョウが言ってる事が本当ならば、話しの辻褄が合う。リョウの話を聞いたトーヤは待機場所から身を乗り出すと、
ト「ウェンディさぁぁぁん!!その傘から離れて下さぁぁぁぁぁい!!!」
力いっぱい叫んだ。
ウェ「え・・・?」
トーヤの声はウェンディの耳にしっかり届いていたが、遅かった・・・トーヤの声に一瞬油断したウェンディは、つい踏ん張る力を緩めてしまった。その一瞬の隙に、ウェンディの体はリノが持っている黒い傘に吸い込まれてしまった。それと同時にリノは素早く傘を通常の持ち方に持ち直し、傘を閉じた。それと同時に、追い風も治まった。
全「!!!??」
会場内の人間が目を疑った。
チャ「な、何とぉっ!リノが持っている黒い傘にウェンディが吸い込まれてしまったぁぁぁっ!!いったい、あの傘はどうなっているんだぁぁぁぁぁっ!?」
チャパティ・ローラの驚きの実況が会場内に響き渡る。リノは閉じた傘を一度見つめると、不気味に小さく微笑んだ。
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ウェ「・・ん・・・あ、あれ?」
ウェンディが目を覚ますと、目の前に広がる光景は上下左右真っ黒な空間。
ウェ「こ、ここは・・・いったい・・・・?」
辺りを見回しても、誰もいない。たった1人、真っ黒な空間の中に漂っていた。だんだん不安になってきたのか、ウェンディの体が小刻みに震え出した。その時、遠くの方で何かが光った。
ウェ「な、何だろう?あの光・・・?」
恐怖の気持ちもあったが、ウェンディはまるで光った方向に引っ張られていくかのように軽い足取りで光った方を目指して真っ黒な空間を歩き出した。
しばらく歩き続けると、真っ黒な空間の中に真っ白な映像が映し出された。
ウェ「あ、あれは・・・私?」
そこに映っていたものは、ショートカットの藍色の髪の毛の女の子だった。それはどう見ても、幼い頃の自分だった。映像の中の幼い頃の自分はたった1人でお花を摘んでいた。その時、後ろに大きな影が映った。後ろを振り返ると、
ウェ「!!!」
透き通った青い瞳、長い大きな尻尾と巨大な羽、白銀の鱗で覆われた体・・・
ウェ「お母さんっ!!」
X777年7月7日に姿を消したウェンディのお母さん、天竜グランディーネの姿が映っていた。幼い頃の自分は摘んだ花を手に持ちお母さんに駆け寄って行く。
ウェ「・・・・・」
ウェンディはその映像をただ呆然と見つめていた。すると今度は別の映像が映し出された。
ウェ「あ、あれは・・・!」
そこに映っていたものは、今から7年前、まだマヤ達が妖精の尻尾に加入していなかった頃の出来事。マヤ、リョウ、ユモ、ショール、トーヤ、フレイを除いた最強チームのメンバーに、蛇姫の鱗のリオン、ジュラ、シェリーに、青い天馬の一夜、ヒビキ、イヴ、レン。そして、その後ろに聳え立つ猫の顔を模った建物。
ウェ「化猫の宿ッ!!」
ウェンディとシャルルが妖精の尻尾に加入する前に所属していた正規ギルドの1つだ。化猫の宿の前に立つのは化猫の宿のギルドマスター、ローバウルと化猫の宿の数少ない魔道士達。
ウェ「これは・・ニルヴァーナの時の・・・」
すると、化猫の宿の魔道士達の姿が次々に消えていった。
ウェ「!!!」
正規ギルド、化猫の宿のウェンディとシャルル以外の魔道士達は皆、ギルドマスターであるローバウルが作り出した人格を持つ幻。
ウェンディの為の・・・たった1人の為のギルドだったのだ・・・・・
化猫の宿の魔道士達が全員消えて、残ったのはギルドマスター、ローバウルただ1人。
リ『『闇』で攻撃や防御が出来る他に、相手に『闇』を見せる事が出来るのよ。』
ウェンディの脳裏にリノの言葉が思い出される。
ウェ「・・こ、これが・・・わ、私の・・・『闇』・・・・?」
ウェンディはその場に崩れるように座り込んだ。
ロ『お前達の未来は始まったばかりだ。』
ウェ『マスターーーーー!!』
映像の中のローバウルと自分の声が頭の中に響く。
ウェ「い・・嫌・・・や、止めて・・・・!」
ウェンディは耳を塞ぐ。だが、映像の中の声は嫌でも耳に入ってくる。涙が頬を伝い流れ落ちた。
ロ『皆さん、本当にありがとう。ウェンディとシャルルを頼みます。』
ウェ『マスタァーーーーーーーーーーーーーーー!!!』
ウェ「嫌アアアァァアアアアアァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!」
映像の中の自分の声と、声が重なった。
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ウェンディが傘に吸い込まれてすでに10分以上は経っていた。もうすぐで時間切れになってしまう。
シャ「ウェンディ・・・」
ト「ウェンディさん・・・」
その時、リノが持っていた傘を宙高く放り投げた。黒い傘は宙をくるくるくると数回回ると、自動的に開いた。開いたのと同時に、まるで吐き出されたかのようにウェンディが落ちてきた。
ナ&マ「ウェンディ!!」
ドドドスウゥゥゥゥゥンと砂煙を舞い上げてウェンディは地面に落ちた。それから、ウェンディが立ち上がる事は無かった。
チャ「し、試合終了ォォォ!勝者、リノ・ハビュット!死者の仮面、10ポイント獲得!!」
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A&B「ウェンディーーーーーッ!!!」
妖精の尻尾Aのメンバーと妖精の尻尾Bのメンバーとハッピーとシャルルは全員会場に行き、傷だらけで倒れているウェンディに駆け寄る。
ナ「おいウェンディ!大丈夫かっ!?」
シャ「ウェンディ!」
ナツがウェンディの肩を摑んで揺さぶる。すると、
ウェ「・・ぅ・・・うぅ・・・・」
ウェンディは薄っすらと目を開けた。
ル「ウェンディ!」
ハ「よかったぁ~。」
皆ほっと胸を撫で下ろす。すると、ウェンディはボロボロと涙を流し始めた。
グ「お、おい!?」
マ「ウェンディ、どうしたの?」
ウェンディは涙を拭いながら、
ウェ「ヒッ・・ゴ、ゴメン、ナサイ・・・ヒック・・私・・・「ショールさんの仇を討つ」って・・・言ったのに・・ウッ、ヒッ・・・・ゴメン、ナサイ・・・・」
ショールの仇を討つ事が出来なかった為、自分を責め、涙を流すウェンディの頭をエルザが優しく撫でる。
エ「もう十分だ。ウェンディはよくやってくれた。」
リョ「あぁ。ショールも聞いたらきっと喜ぶぜ。」
ウェ「ヒック・・・で、でも・・私・・・ウッ、ウゥ・・・・」
ユ「大丈夫。ショールの仇はウェンディがとってくれた。だから、今度はウェンディの仇を討つよ。」
フ「俺達が必ず、死者の仮面の奴等を思い知らせてやる。」
フレイはそう言いながら、死者の仮面の待機場所を睨み付ける。偶然にも、ウェンディと戦ったリノと目が合った。リノはフレイと目が合うと黙ってその場を立ち去った。フレイはその行動に腹が立ち拳を硬く握り締めた。
ト「ウェンディさんはしばらく休んでて下さい。後は僕達で何とかしますから。」
トーヤの言葉にウェンディは涙を拭いながらもゆっくりと頷いた。エルフマンがウェンディを抱き抱え、ポーリュシカさんのいる医務室へと運ばれた。
後書き
第164話終了致しましたっ!
リノに敗北したウェンディ。果たして、今後の妖精の尻尾はいったい・・・!?そして、ガジル達が挑んでいる『謎の仕事』。その内容が徐々に明らかになっていく。
次回は第4試合と第5試合!!
それではまた次回、お会いしましょう~!!
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