| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

少年少女の戦極時代

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第70話 合同ダンスイベント前夜



 合同ダンスイベントを明日に控えた夜。
 呉島邸の光実の部屋では、光実と碧沙が、明日のイベントの会場になる場所の見取り図を間に、最終打ち合わせをしていた。

 主催はチーム鎧武で、光実は実行委員長のようなポジションだ。やることが大胆な分、最後まで粗がないか確かめる必要がある。
 チームの位置や開始時刻、何度確かめてもやりすぎということはない。

「正面がこっちで――こっち向いてやればいいのよね」
「設置する時はみんなユニフォーム隠してもらうから――」
「じゃあ待機中は――」
「この時間帯でバサッと登場して――」
「スピーカーはフリーステージのと同じの借りれたから、タイマーで――」

 そうしていると、ノックの音がした。光実は内心訝しむ。音が近すぎる。

「夜更かしは感心しないぞ」

 すでにドアは開けられていた。貴虎が腕組みをしてそこに立っていた。貴虎が音もなく開けたドアをノックしたから近く聞こえたのだ。

「ごめんなさい、貴兄さん。どうしてもやっておきたかったの」
「――宿題か?」
「うん。明日が期限なんだ。それに人の意見が要る課題だから、僕も碧沙も」
「今夜だけ許して? ね?」

 貴虎は光実と碧沙をじーっと見る。光実は心臓を跳ねさせながら笑顔を精一杯保った。

「……しょうがないな。朝寝坊しないように気をつけるんだぞ」
「「はあい」」

 ドアが閉じる。貴虎の足音が聴こえなくなるまで待って、改めて光実と碧沙は向き直った。

「……バレた?」
「大丈夫、だと思うけど」

 正直不安だ。ドアが開けられたタイミングによっては、明日の計画を聞かれた恐れもある。だがそれだと、貴虎は知っていて光実と碧沙の行いを黙認したことになる。
 大きな真実を知った光実だが、まだまだ貴虎の本心(しんじつ)は読み取れない。

「明日のステージおわったら、貴兄さん、怒るかしら」
「碧沙がビートライダーズしてるのはまだバレてないからねえ」

 光実はスパイというお題目がある。敵の懐に入り込むためにダンスをしていると言えばいい。だが碧沙にはフォローできる材料がない。

「いっそのこと、碧沙も戦極さんに頼まれたことにしちゃおうか」
「それはさすがに……あの人に悪い気がする。それに、フリでも咲たちをスパイしてるなんて……」
「――そうだったね。ごめん。今の無しで」

 しおれる碧沙の髪を梳いてやる。――曲がらない性格なのがこの妹の魅力だった。

「兄さんよりも、明日やることのほうは、下手すると警察沙汰かもね」

 話題を逸らすために言ったが、光実の表情は締まりない。光実自身、楽しみでしようがないのだ。
 光実は何も貴虎への反発だけでビートライダーズに入ったのではない。ダンスは、呉島光実にとって大切なものになったのだ。

「そうなったらわたしが兄さん抱えて逃げるから」
「碧沙に僕は抱えられないんじゃないかなあ」
「今ちょっとバカにしたでしょ」
「してないよ。どっちかというと、僕が碧沙を抱えて逃げたいかなって」
「前にリフトの練習した時みたいに?」
「そうそう。あ、せっかくだから明日やろうか、リフト。前はせっかく練習したのにできなかったからさ」
「ほんとっ? やった、兄さん大好き!」

 碧沙は光実に飛びついて笑った。光実も膝の上に乗った妹につられて笑っていた。 
 

 
後書き
 今回は次兄&末娘のターンでした。今更ですが自分が呉島兄妹を書くと何故か屋敷で夜になることが多いんですよね。家で会えるんだからあえて外で話す描写はしなくていいかなと、思ったり思わなかったり?
 そして何気に光実が碧沙をお膝抱っこです。本当仲いいなお前ら!(←お 前 が 言 う な
 貴虎は果たして弟妹の話を聞いたのか、聞いたとしたら何故見逃したのか。まあ十中八九、ブレないブラコン&シスコンだからでしょうけどね(DA☆I☆NA☆SI) 原作でもPC観てましたし。巷には「貴虎あの映像保存したんじゃね?」というご意見もあるそうで。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧