皇太子殿下はご機嫌ななめ
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第50話 「番外編 シンデレラ(ラインハルト)」
前書き
今回は番外編です。
お酒を飲んで書いてると、いつもこんな話になっちゃう。
でも、書いてて楽しい。
続かないと思う。たぶん、きっと……。
第50話 「番外編 銀河餓狼伝説」
これは番外編です。
本編とはまったく関係ございません。
むかしむかしあるところに……。
シンデレラ(ラインハルト)という少女(男の娘)がいました。
毎日毎日、意地悪な継母と二人の姉+とある皇太子の仕打ちに、なみだで枕を濡らす日々を過ごしています。
「わたしは意地悪な姉ですー」
アンネローゼが嬉々として、シンデレラに意地悪します。
「シンデレラさん、窓の桟に埃が残っていますよ」
「小姑かっ!! これだから腐りきった貴腐人はっ!」
「一度はっきり、ナシをつけなくては、いけませんね。ラインハルト」
アンネローゼの目が鋭く光ります。
なんという威圧感。漲る覇気。
もはや原作の面影など、どこにもない。
ああ、どうしてこうなった……。
「意地悪な姉その二。マルガレータ参上!!」
マルガレータもまた、嬉々としてシンデレラをいじめては、はあはあしていました。どいつもこいつもヘンタイ揃いな事で、帝国の未来は暗いと思う。
「さーシンデレラ、このドレスを着ましょうね」
意地悪な継母のエリザベートがドレスを広げて、シンデレラに迫り来る。
「なぜだ。なぜ、こんな事に?」
―皇太子殿下の悪巧みに決まっています―
どこからともなく聞こえてくる、キルヒアイスの声。
「あの、諸悪の根源めっ!!」
壁際に追い詰められたシンデレラは、いつか簒奪してやると、決意を新たにしました。
所変わって、こちらはお城(ノイエ・サンスーシ)。
「鏡よ、鏡よ。鏡さん。世界で一番綺麗なのはだあれ?」
お妃様(ベーネミュンデ侯爵夫人)が、鏡に向かって問いかけていました。
『お妃様(ベーネミュンデ侯爵夫人)です。ですが、シンデレラ(ラインハルト)の方が何倍も美しい」
お妃様(侯爵夫人)は首を捻ります。
何か物言いがおかしいような気がしますね。
「世界で一番と言いながらも、シンデレラの方が美しいと言うなんて、それなら最初から、シンデレラの方が美しいと、仰いなさい」
言うだけ言うとお妃様(ベーネミュンデ侯爵夫人)は、さぁ~役は終わったとばかりに、王子様(マクシミリアン)の下へ向かいました。
「マクシミリアン。お兄様の趣味は分かりませんね?」
きゃっきゃとマクシミリアンは笑みを浮かべています。
―俺の趣味じゃねー―
どこからともなく、とある皇太子の声が聞こえてきそうでした。
「……おのれ、シンデレラめ。ぼくより綺麗だなんて、認めないぞ」
部屋の隅で、聞き耳を立てていた男の娘がおりました。
メラメラと嫉妬の炎を燃やす、クラウス・ラヴェンデル。
シンデレラとは、同じ幼年学校の生徒です。幼年学校も腐っているようですね。
はぁ~。
皇太子のため息が聞こえてきそうです。
民間のみならず、軍関係も改革すべきだと、決意を新たにする皇太子でした。
「どうしてくれようか?」
くっくっくと、真っ赤なりんごを片手に高笑い。
まさしく悪。
嫉妬の炎に蝕まれた姿は、まるで悪魔に魂を売ったかのようです。
『さあ来るのだ。帝国のダークサイドに』
フードを目深に被った銀河皇帝フリードリヒ四世が、いやらしい手つきで、手招きしています。
『予こそ、銀河に君臨する暗黒皇帝。全ての者は予の前に跪くのじゃ。あーはっは』
中二病を発病してしまった皇帝が、ノリノリで高笑いします。
俺様な皇太子殿下を倒せるのは、もはや勇者(?)しかいない。
銀河の暗部を従えて、人質片手に高笑い。
いけいけ僕らの暗黒皇帝。
諸悪の根源(ルードヴィヒ)を打ち倒せ。
再び場面は変わり、シンデレラ(ラインハルト)のお家。
「今日はお城(ノイエ・サンスーシ)で舞踏会よぉ~」
皇太子殿下のお妃選び。
意地悪な継母(エリザベート)の言葉に、意地悪な姉(アンネローゼ)の目がギラリと光りました。
餓えた狼のような目。
銀河餓狼伝説の始まりです。
「さっ、魅せますか」
綺麗に着飾った餓狼が出陣。
まるでモーゼの如く、道をゆく人々が左右に逃げてゆきました。
威風堂々とアンネローゼが進む。
風雲急を告げるお城(ノイエ・サンスーシ)
一方、シンデレラ(ラインハルト)は舞踏会に参加せずに済んで、ホッとしていました、が!!
『そうは行かぬぞ、シンデレラ(ラインハルト)。そなたも舞踏会に参加するのじゃ!!』
どこからともなく、暗黒皇帝(フリードリヒ四世)の声がぁ~。
暗黒皇帝(フリードリヒ四世)の魔法(お付の女官達)の手により、ドレスに着替えさせられたシンデレラ(ラインハルト)。
「なぜ、おれがぁ~!!」
シンデレラ(ラインハルト)の絶叫も空しく、お城(ノイエ・サンスーシ)へと強制連行。
かぼちゃの馬車ならぬ、ザ○に乗ってやってきました。
お城(ノイエ・サンスーシ)の正面には、なぜかルドルフ大帝の像が設置されています。
しかも大帝は剣を握っていました。
『さあシンデレラ(ラインハルト)よ。剣を引き抜くのだ。その剣こそ、ゴールデンバウムに伝わる宝剣(ブリュンヒルト)。諸悪の根源(ルードヴィヒ)を倒す剣じゃ』
嬉々とした暗黒皇帝の声。
いつのまに宝剣なんてものが設置されたのでしょうか?
選ばれし勇者のみが引き抜くことができるという宝剣(ブリュンヒルト)。それをいま、シンデレラ(ラインハルト)が引き抜きます。
そこへ襲い掛かるアルフレット・フォン・ランズベルク伯爵。
「ここから先へは通さぬぞ」
シンデレラ(ラインハルト)は、ゆっくりと宝剣(ブリュンヒルト)を構え、切りかかりました。
「喰らえ。ファイエル!!」
「うわー」
ランズベルク伯爵は、あっさり倒されてしまいました。
見せ場すらありません。
お城(ノイエ・サンスーシ)の片隅で、黒いシルエットがひそひそ話しています。
「ランズベルク伯爵がシンデレラ(ラインハルト)に破れたようだな」
「フフフ。やつは門閥貴族の中でも最弱。シンデレラ(ラインハルト)如きに破れるなぞ、門閥貴族の面汚しよ」
某ブラウンさんとひげの目が妖しく光りました。
結構、悪役が似合う人たちですね。
一方、シンデレラ(ラインハルト)は、居並ぶ敵をばったばったとなぎ倒し、黒真珠の間までようやく辿り着きます。
さすが軍事の天才。
「諸悪の根源(ルードヴィヒ)~」
シンデレラ(ラインハルト)が叫ぶ。
壇上に立つ悪に、切りかからんとしたシンデレラ(ラインハルト)が見たものは!!
「あのお方の邪魔する者は許さない」
すっかり諸悪の根源に洗脳されてしまった親友の姿でした。
涙を流しつつも親友を打ち倒したシンデレラ(ラインハルト)に近づく、クラウス・ラヴェンデル。手には真っ赤なりんごを持っています。
しかもうさぎさんに切っていました。
「シンデレラ(ラインハルト)これでも食べて、落ち着いて」
天使のような笑みを浮かべ、りんごを差し出します。
シンデレラ(ラインハルト)が一つ摘み上げ、口に入れようとしたとき、
「いけません!!」
そう叫んで、赤毛がうさぎさんを取り上げ、自らの口に入れてしまいました。
そして崩れ落ちる。
「毒だったのかっ!!」
床に倒れた親友を抱きしめ、シンデレラ(ラインハルト)はクラウス・ラヴェンデルを睨む。
「……おのれ、シンデレラめ。悪運の強いやつ」
憎々しげにシンデレラ(ラインハルト)を睨みつけるクラウス・ラヴェンデル。
「シンデレラ(ラインハルト)様。悪を……倒して……ください」
「キルヒアイス~っ!!」
シンデレラ(ラインハルト)の叫びが黒真珠の間に響き渡りました。
いけいけ。シンデレラ(ラインハルト)。
諸悪の根源(ルードヴィヒ)を倒すその日まで、泣いている暇なんかないぞ。
アレを倒せるのは、君しかいない。
そして宇宙に平和を取り戻すのだ。
後書き
友人Bのお部屋にAと一緒に遊びに行きました。
ガラステーブルの上には、なんとぉ~クトゥルー神像がっ!!
「どこで手に入れたの?」
「がらくた市。ニートの息子が持っていたらしいんだけど、お母さんがね、怒ってフリーマーケットで売ってた」
「ふむふむ。なるほどー」
おもむろに、10cmぐらいのクトゥルー神像に向かい、
「ふんぐるい むぐるうなふ くとぅるう るるいえ うがふなぐる ふたぐん」
と祈りを捧げるわたしたち。
しかしクトゥルーは来てくれなかった。
「蜂蜜酒が入るんじゃないの?」
「それ、ハスター」
そんなわたしたちに友人Aの冷たい視線がっ!!
「あんたら、ばか?」
がっでむ。
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