言う程もてない
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第八章
「そいじょそこいらの高校生ではね」
「そうなのね」
「そう、じゃあいいわね」
「うん、わかったわ」
藍はうどんの麺と木の葉丼の卵を上に置いた御飯を食べつつ答えた。卵の黄色とうどんの麺、御飯の白が混ざり合う、色も味も。
「そういうことなのね」
「ええ、これで大人しくなるわよね」
「なるわ」
実際にそうなるとだ、藍も答える。
「もうね」
「ならいいわ。とにかくね」
「彼氏は自分が思う程はね」
「もてないのね」
「そう、主観で思うことと実際は違うのよ」
主観は思い込みが入り見方が歪むことがあるのだ、このことが厄介なのだ。
「そのことに注意しないとね」
「駄目よね」
「これまでのあんたみたいになるから」
「わかったわ、じゃあこれからはね」
「血走った目にならないで」
秀幸の周りを凝視している時の様にだというのだ。
「ゆったりとしてればいいのよ」
「秀幸君とゆったりと付き合えばいいのね」
「そうよ」
まさにその通りだというのだ。
「そんなことをしても無駄に疲れるだけよ」
「確かに。疲れたわ」
実際にそうだとだ、藍は苦笑いで答えた。
「妙にね」
「それじゃあもういいわね」
「ええ」
藍はクラスメイトの言葉にあらためて頷いて答えた。
「もうしないわ」
「そういうことでね。今日は部活出るわよね」
「出るわ。部長さんに誤ってからね」
呆れていたその部長にだというのだ。
「そうするわ」
「それじゃあね」
こう話してそしてだった。
藍は元の落ち着いた顔になってそのうえでだった、部長のところまで謝りに行った、その際に男子のクラスメイト達と話している秀幸とすれ違って。
その彼にだ、笑顔でこう言った。
「ちょっと行って来るね」
「うん、何処に?」
「うちの部長さんのところにね」
そこに行くというのだ。
「部活休んだこと謝って。復帰することをお話してくるから」
「それじゃあね」
秀幸は笑顔で応える、そしてだった。
藍を笑顔で送る、藍も笑顔で応える。そうして部長のところに行くのだった。
言う程もてない 完
2013・10・31
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