鉄槌と清風
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
44部分:43:誓いの形
43:誓いの形
クロノとエイミィの結婚式から2年弱、ミッド風に言うと新暦74年の6月。
4日にはやて、14日に良彦と比較的近い誕生日だということもあり、知り合ってからは毎年その間の休日で行ってきていた。
今年も皆の休みをあわせ、誕生日パーティーを行い、いつもの用に混沌と化した訳だが。
で、今日は14日、良彦の誕生日である。
昼間から何処か落ち着きがなく、書類も何時もより間違えなどが多かったりしたが、何とか普段どおりの時間に間に合わせた。
そしてまぁ、自宅のマンションで、態々来てくれるように言ったヴィータを待とうと思い、部屋に入ると、先に来ていたらしくソファーで寛ぐヴィータが居た。
「早かったな、ヴィータ」
「何いってんだよ、おめえが遅かったんだろ、んで?」
「んでって、なんだよ」
「なんの為に態々、声掛けたんだ?」
「あぁ、それか…一寸待ってくれ、着替えてくる」
「ん、了解」
ヴィータにそういって、部屋へ入り、普段の部屋着に着替える。
軽く深呼吸し、買っておいた物を確認、それを持って居間へ戻る。
「おまたせ、んじゃ…用件だな」
「おう、早くしろよ、飯の準備もあんだぞ」
「て、準備すんのは俺じゃねーか、それ」
「だから、早くしろっての」
「わーったよ、これだ」
差し出すのは小さな箱。
「んだよこれ?」
ヴィータが普通にあけると、中には白金の台座に真っ赤なルビーが一個のシンプルな指輪。
「…良彦、これは?」
「いいか、何度も繰り返すと恥ずかしいから、しっかり聞いとけよ」
ヴィータの問いに、息を軽く吸い込み。
「ヴィータが好きだから、これからも一緒に居て欲しい、それの約束の形だ」
顔を赤くさせつつ、ヴィータをしっかりと見て、言い切る。
見つめているヴィータの頬が赤く染まり、瞳が揺れる。
「ばっか、おまえ…あたしらはいつでも一緒だったじゃねーか、それはこれからも…だろ?」
「ん、そうなんだけどな、ちゃんとけじめをと思ってよ、日本じゃ18から結婚できるんだ、それにあわせてってずっと考えてた」
「おせーよ、馬鹿…あたしはずっとそのつもりだったっての」
「俺もそうだけどな、それでもきちんと形に見えるものが欲しかったんだよ、ほら、手」
指輪を取り、ヴィータの左手を掴み…薬指へそれを納める…小さな手にあわせた、一瞬玩具にも見えそうなサイズだが、気持ちのこもったそれは、薬指で赤く輝いている。
「この次は、結婚指輪、だな」
「結婚て…良いのか良彦、あたしは」
「そんなの、俺には細かい事だ、つかシャマルに聞いたけど、基本人と変わらないんだろ?」
「まぁ、そうだけど、でも老化とかしねーぞ?」
「それもあんま問題じゃないな、この身体も老化遅いらしい、遺伝子異常なんだってさ」
「…そ、か…でも、其処まで言うなら何で今結婚じゃねーんだ?」
「それな、俺も考えたんだけど、少し先にでかい事件がありそうなんだ、それを解決してからの方が安心できると思ってな」
「でかい事件、てなんだ?」
「まだ秘密だ、ただ…はやてが隊長になって部隊が作られるだろ、それが事件対策の部隊だ、これも秘密だから言うなよ?」
「判った…んじゃ、その事件が終わったら、そ、その…けっこん、か?」
真っ赤になりつつ上目遣いで聞いてくるヴィータ。
「俺の予定では、そうなってるけど、嫌か?」
「ばーか、嫌なわけねーよ、ただ結婚とかは考えて無かったから、その…嬉しいんだよ!」
何故か逆切れし、叫ぶヴィータに、静かに手を伸ばし、頭を撫で。
「そうか、俺もそういって貰えて嬉しいよ」
すっと手を取り立たせ、引き寄せる。
「これからも、よろしくな…ヴィータ」
「こっちこそな、良彦」
引き寄せた小さな身体をしっかりと抱きしめ、二人の影がゆっくりと重なって行く。
と、いう事が合った翌日、筋は通さなければという事で、八神一家へ挨拶に出向いた。
はやてには祝福と共にからかわれた。
シグナム、シャマルはヴィータがやはり先になったか、と納得され、シグナムには益々の稽古という名の模擬戦を約束させられ。
シャマルにはブーケをくださいね、とか言われた。
リインフォース達は二人とも祝福と共に、アインはマスターはこういう事では動きが遅いといわれ。
ツヴァイには、ヴィータちゃん、長く待ってたですよ、といわれた。
ザフィーラは、言葉少なく祝いを述べ、ぽんといつもの用に肩を叩くだけだった。
この間、良彦もヴィータも真っ赤な顔で、恥ずかしそうであり、嬉しそうであった。
あと、これからはヴィータが良彦のマンションで生活するのが基本になり、休みのあったときや、皆が集まる時は八神家にもいく、そんな感じに決まった。
更に、もう一本の筋…高町家へも、報告へ出向いた。
士郎は、驚いていたが納得し、祝福を述べてくれた、さらにこれまでの修行と守るものに対する意識をもったならば、と…『音貫き』の使用を許可してくれた。
実際暫く前から身体的には大丈夫だと思っていたらしいが、精神的に無理をしないか迷っていたらしい、今回の一件で無理はしないだろうとの判断だ。
桃子は素直に祝福というより、やはりヴィータを待たせていたことをチラッと言われたが、日本で結婚できる年齢にけじめをという良彦の言葉に納得してくれた。
ウェディングケーキは任せなさいとの確約もくれた。
恭也は、良彦の頭をポンっと叩き、相手に心配を掛けるようなまねは控えろ、とだけ言ってくれた。
美由希は、ヴィータに抱きついて、よかったねと祝福し、良彦には、先をこされたーとか、にこにこしながらいっていた。
このほか、知り合いにもいつの間にか話が広がり、お祝いのメールや連絡が暫く続いたらしい。
************************************************
というわけで…プロポーズです、キスの後どうしたかはあえて語りません!
で、次回ですが…スバル、ティアの試験見学とかを考えてます、ようやくStrikerS部分に突入です。
ページ上へ戻る