ヘタリア大帝国
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TURN118 アルビルダの帰還その九
「中にあるものは」
「美味しいですよ」
「そうか、じゃあな」
「いっそのことイギリスに送ってやるか?」
フランスはここでも彼のことを考えた、この状況においても。
「何も知らないあいつに開けさせてな」
「本当に戦争なりますよ」
フランス妹はこう言って兄を止めた。
「既に戦争中にしましても」
「今以上に激しい戦争になるっていうんだな」
「それは避けられないです」
「それもそうだな、下手に開けさせたらな」
「イギリスさんも激怒されます」
開けた後の大惨事によってであるのは言うまでもない。
「若しそれで宜しければ」
「ああ、わかったよ」
フランスもこう妹に返した。
「じゃあな」
「はい、そういうことで」
こうしてフランスの悪質な悪戯、宣戦布告にしかならないそれは止められた。かくして皆何とか臭いをかがない様にしてそれを食べた。
それからだ、まずは東郷が言った。
「まあ臭いは凄いがな」
「味はですね」
「そこまで驚くものじゃないな」
こう秋山に話す、秋山も食べている。
「むしろいけるな」
「はい、美味しいです」
「しかしこれだけ発酵していると」
東郷は今は静かになっている缶詰を見て言った。
「取り扱いも大変だろうな」
「そうですね、これは輸入出来ませんね」
「危険物に入れるべきだな」
宇垣も言う。
「これだけのものは」
「私もそう思います、若し下手に中を開ければ」
どうなるか、山下も深刻な顔で述べる。
「その時こそです」
「うむ、間違っても帝の御前には出せぬ」
「若し出す不貞の輩がいれば」
ハルが本気で言う。
「私が容赦しません」
「そうですね、その時は」
福原もにこにことしているがその時を想定して黒いオーラを全身から放っている。
「一切の慈悲を捨てて」
「消毒します」
ハルは本気そのものの声だった。
「天が許しても私が許しません」
「そうすべきですね」
「この食べ物は河豚と共に帝にお出しすることは厳禁とします」
「あっ、帝さん河豚は食べられないんですか」
「毒がありますので」
だからだとだ、ハルはフェムに答えた。
「そういったものは厳禁です、普通のお食事にしても」
「毒見役がですな」
「僭越ながら私もその一人です」
ハルもまただというのだ。
「帝をお護りしています」
「何かハルさんが毒見役ですと」
フェムもまた兵器を食べながら言う。
「鉄壁って感じですね」
「だから皇居の料理は冷めているんだな」
ランスもここで気付いた。
「厳重に毒見をしてるからか」
「その通りです」
「当然だけれどな、それは」
「むしろ毒見をしない方がおかしいかと」
ハルは女官長兼宮内大臣として言い切った。
「毒殺なぞさせてはなりませんから」
「確かに、毒は我々も警戒しています」
ゲーペもここで言う。
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