FAIRY TAIL 友と恋の奇跡
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第160話 『飛捕』
前書き
HELLO!07です!
今回は大魔闘演舞当日の午前12時。58の参加ギルドから大魔闘演舞出場を賭けて、予選を行う事になったぁっ!?果たして、妖精の尻尾Aと妖精の尻尾Bは予選で勝ち残れるのか!?そして、予選で行われる競技とは!?
今回からしばらく目線が無くなります。ナレーション(?)風にいきたいと思います。
それでは、第160話・・・スタート!
現在、午後11時54分。ここ、『豚の帽子』は大魔闘演舞に出場する妖精の尻尾Bが泊まっている宿だ。その宿の1室が妖精の尻尾Bのメンバーが泊まっている部屋だ。その部屋のドアがバァンッ!と勢いよく開いた。
マ「ギリギリセーーーフッ!」
ドアの前に立っていたのは、夕日のようなオレンジ色の髪の毛に同じ色をした大きな瞳、象の絵が描かれた黄色いTシャツに白いショートパンツ。頭に黄色いカチューシャを身に着けている少女。この部屋に泊まっているマヤ・ララルドだ。
マ「ゴメンゴメン!クロッカスの街を観光してたらいつの間にかこんなに時間が経ってて。フレイにここまで連れて来てもらったんだ。」
フレイというのは妖精の尻尾Bのリザーブ枠で、その正体は人間の姿になる事が出来る、鳳凰の使いである赤い毛並みの鳥だ。体が小さい為、人を背中に乗せる事は出来ないが、足で摑む事は出来る。
リョ「ったく。ちゃんと時間を見て行動しろよな。」
緑色の着物に黒い袴、腰に3本の剣を差していて、ベッドにドガッと座っているのはリョウ・ジェノロだ。数少ない妖精の尻尾のS級魔道士の1人でもあり、聖十大魔道の1人で、序列6位。腰に差してある3本の剣は聖剣という伝説の剣で、この剣を扱える魔道士は現在2人しかいない(最初は3人だったが、1人故人)。その内の1人がリョウだ。
ト「ど・・どうして、こんな真夜中に・・・予選を、や・・るんで、しょうか・・・?はわわわわぁ~・・・」
銀色のくせ毛に紫色の瞳、黒いローブを羽織り首に紫色の勾玉を着けて、椅子に座って欠伸をしているのはトーヤ・ファインだ。12歳くらいの極普通の魔道士の少年・・・と、言いたいところだが、それは大間違いだ。その正体は妖怪や怪物、幽霊が暮らしている地上の世界とは真逆の世界、妖霊界とゆう世界からやって来た人間の姿をした幽霊なのだ。トーヤは年齢不群で、首に着けている勾玉、幽封玉で人間の姿を保っている。これを首から外すと半分人間で半分幽霊の、半幽人の姿になる。幽霊だから暗い所は好きなのだが、夜に弱い。目上の人はもちろん、目下の人でも「さん」付けで呼び、敬語で話す。
ショ「とにかく、これで全員揃ったな。」
黒髪に鮮血のような赤い瞳、白い服に黒いベストを羽織り、流行の青いジーパン姿の窓の外を見ているのはショール・ミリオンだ。元々は人気ナンバー1のイケメンマジシャン。その人気はマジシャンを辞めても衰えず、週刊ソーサラーの「彼氏にしたい魔道士ランキング」では常に上位をキープしている。が、本人は緋色の髪の少女にしか好意を抱いていない。まぁ、それはそれで良いのかもしれないが・・・
さて、まだもう1人紹介をしていないが、後数時間もすれば大魔闘演舞当日だと言うのに、なぜマヤ達はこんなに遅くまで起きているのか説明しよう。
今年の大魔闘演舞に出場する魔道士ギルドの数は去年の半分以下の58。去年は133とゆう数の為、大魔闘演舞当日の午前12時に133の魔道士ギルドを8に絞り込む為に空中迷路という予選が行われた。そして、今年も58とゆう数で大魔闘演舞当日の午前12時に予選が行われる事になったのだ。なので、大魔闘演舞に出場する58のギルドは起きているのだ。
そして現在、午後11時58分。
リョ「後2分か。」
リョウが呟く。いったい、今年の予選はどんなものなのか。
マ「ドキドキしてきたっ!」
マヤはすでに胸が高鳴っている。実を言うと、ここにいる妖精の尻尾Bは全員大魔闘演舞初出場なのだ。他のメンバーもかなりドキドキしている・・・と思ったが、窓際の椅子に水色の髪の毛を低い位置で横に束ね、腰の辺りに青いリボンの付いた水色のワンピースを着ている1人の少女が暗い顔をして右手で額を押さえていた。
マ「ユモ、どうしたの?」
「ユモ」とゆうのは愛称で、本名はユモス・クオリナ。一見可憐な美少女だと思うが、それは大間違いである。本当は過去に格闘技の名手と呼ばれフィオーレ王国中で話題になった少女なのだ。その名からして、格闘技のスペシャリストだ。
ト「そういえばユモさん、ずっと額を押さえていますけど、具合でも悪いんですか?」
ユ「・・ううん。具合は悪くない。ちょっと、ね・・・」
少し引きつった笑みを浮かべる。その時、
ショ「5・・4・・3・・2・・1・・!」
ショールが小さくカウントダウン。そして、時計の短針と長針が12のところで重なったのと同時に、緑色の魔法使いが被っているような帽子に同じ色のマントを羽織り、人間と同じように目、鼻、口、両手両足がある・・・巨大なカボチャの映像が空中に映し出された。
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『一方その頃、『蜂の骨』に泊まっている妖精の尻尾Aは・・・』
ナ「またあのカボチャだ。」
窓から空中に映し出されたカボチャを見ていた。ちなみに、妖精の尻尾Aのリザーブ枠のエルフマンと、大魔闘演舞には出場しないナツの相棒のハッピーとウェンディの相棒のシャルルはいない。
ウェ「大きい~!」
今は解散してしまった元闇ギルドであり元正規ギルドだった大鴉の尻尾の魔道士、オーブラに去年魔力を奪われ、大魔闘演舞の初盤出場する事が出来なかったウェンディは初めて見る巨大なカボチャの映像に目を丸くする。余談だが、あのカボチャは大魔闘演舞のマスコットキャラクター、マトー君と言う名前らしい。口癖は「~カボ。」
マト『これより、大魔闘演舞予選、『飛捕』のルール説明を行いますカボ。』
口は動いていないが、マトー君が身振り手振りで話す。
ル「『飛捕』?」
グ「何だそりゃ?」
『飛捕』がまだ何なのか分からない。が、分かる前に、ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・と地鳴りの音が響き渡った。
エ「な、何だっ!?」
ナ「・・う、うぷ・・・」
ル「こんな時に酔ってどうすんのよっ!」
ウェ「ひぇ~!」
窓の傍にいたナツ達は危うく落ちそうになる。エルザはバルコニーの柵に摑まり、落ちそうになったルーシィの腕をグレイが摑み、自分はエルザと同じようにバルコニーの柵に摑まる。ナツは口を押さえてその場にうずくまり、ウェンディはうずくまったナツにしがみ付く。すると、ズドドドォォォォォンとナツ達が泊まっている宿、『蜂の骨』が周りの建物より突き出した。『蜂の骨』だけではない。マヤ達が泊まっている宿、『豚の帽子』や、青い天馬が泊まっている宿、蛇姫の鱗が泊まっている宿、月の涙が泊まっている宿、幸福の花が泊まっている宿も周りの建物より突き出した。しばらくして地鳴りが治まった。
ナ「・・と、止まった、の・・・か?」
地鳴りが治まったと安心したのも束の間、今度は階段が現れた。なぜか何も無い空中に続いている。
エ「ここまでは去年と同じだな。」
グ「おい作者、ちゃんとネタ考えてるんだよな?」(←もっちろん! by07)
階段は遥か遠くまで続いている。
ル「上れって事かしら?」
ナ「おっしゃーーーっ!一気に駆け上るぞっ!」
すっかり元気になったナツが猛ダッシュで階段を駆け上って行く。
ウェ「ナツさん!」
グ「あのバカ!」
エ「私達も行くぞっ!」
ル「ちょっとナツ!待ってよぉ~!」
ルーシィ達も慌てて階段を上り始めた。
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ナ「着いたーーーっ!っておぉっ!?何だこりゃあっ!?」
一足先に階段を最後まで上り切ったナツが目にしたのは、遥か遠くまで続く静寂に包まれた草原と、半透明の空だった。半透明だから透けて映像のマトー君が見える。
エ「空中に、草原だとっ!?」
後から来たルーシィ達も目の前に広がる光景に目を見開く。すると、ナツ達の目の前に小さな白い羽の生えた金色の球体が飛んできた。球体に赤い妖精の尻尾の紋章に「A」と書かれている。
ナ「何だこれ?」
ナツが手に取ろうとすると、ナツの手から逃げるように白い羽をパタパタと動かして飛んでいった。
マト『皆さんステージに着いたようなので『飛捕』のルールを説明致しますカボ。』
口が動かないマトー君が身振り手振りで話し始めた。
マト『先程皆さんがご覧になられた自分の魔道士ギルドの紋章が描かれた白い羽の生えた金色の球体・・・この飛び回る球体をステージ内で捕まえるのが今年の予選の内容ですカボ。もちろん、魔法を使って捕まえるのもアリですカボ。』
グ「去年と比べて随分シンプルだな。」
ナ「楽勝じゃねぇか。」
ナツが炎を纏った左拳を右手の平にバフッ!とぶつけ、グレイが口角を上げる。
マト『皆さんの中に「シンプル」「楽勝」だと思った方はございませんかぁ?』
表情を一切変えず、マトー君が問う。ちなみに、妖精の尻尾Aではナツとグレイ、妖精の尻尾Bではマヤとリョウが「シンプル」「楽勝」と思った。
マト『この『飛捕』は聞いただけではとても簡単そうに思います。が、実際にやってみるとかなり苦戦するカボ。それが、『飛捕』。なので、「シンプル」「楽勝」と思った方、後で後悔すると思うカボよ。』
マトー君が言ったとおり、本当に『飛捕』は見た目以上に苦戦するのか?
マト『飛び回る球体をいち早く捕まえる事が出来た上位12のギルドが大魔闘演舞に出場出来るカボ。』
ル「58から12・・・一気に46ものギルドが減っちゃうのぉっ!?」
エ「だが、去年より4つも多い。」
ウェ「最終的には、6つになっちゃいましたしね。」
去年より有利なのか不利なのか?
マト『それでは、大魔闘演舞に出場出来るよう、健闘を祈っているカボよ。大魔闘演舞予選、『飛捕』・・・スタートカボォォォッ!!』
マトー君の合図と共に、大魔闘演舞予選、『飛捕』が始まった。
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『妖精の尻尾Bの『飛捕』』
妖精の尻尾Bのステージは草原ではなく、崩壊したコンクリートの建物が建ち並ぶ、人気の無い崩壊した街だった。崩壊した街をスタートの合図と共に飛び回り始めた青い妖精の尻尾の紋章に「B」と書かれた金色の球体。
リョ「球体は空を飛ぶのか。こん中で空飛ぶ事が出来るのは・・・」
もし、リザーブ枠のフレイがいたら少し有利だったかもしれない。が、今この場にフレイはいない。でも、
ト「あの、僕、お化け達に協力してもらえば空を飛ぶ事は出来ますよ。」
マ「私もバーンの背中に乗れば飛ぶ事が出来るよ!」
ユ「私も氷で翼を造形すれば。」
ちなみに、マヤが言ってる「バーン」と言うのはマヤと契約しているワシの事だ。それにしても、このチームは運が良いのか?それともただの偶然か?
リョ「そんな事はどうでもいいんだよっ!んじゃ、空中ではマヤとユモとトーヤ。地上は俺とショール。球体を追い詰めたところでキャッチだっ!」
リョ以外「了解!!」
リョウの的確、高速の作戦により、
マ「我と契約した者よ、ここに姿を現せっ!!ワシのバーン!!」
ピィーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!とマヤが指笛を吹くと、地面にオレンジ色の魔法陣が浮かび上がり、そこから巨大なワシが姿を現した。マヤはバーンの背中に飛び乗る。
ト「我と、心を通わせ、姿を現せ!出て来い!幽霊兄弟!火の玉!」
トーヤは幽霊のユウとレイ、赤と青の火の玉を召喚し、ローブを摑んでもらい、ユモは背中に氷で翼を造形し、飛び回る球体目掛けて3人は飛んでいった。それを地上でリョウとショールは見届けると、
ショ「なぁリョウ。」
リョ「何だ?」
ショ「この予選は、あの球体を捕まえる事だろ?」
リョ「あぁ。それがどうしたんだ?」
ショ「いや、だから、捕まえるから俺とリョウは魔法を使えないなって思って・・・」
リョ「あ。」
フィオーレ一番強いギルドであり、フィオーレ一お騒がせギルドでもある妖精の尻尾のS級魔道士以下の数少ない頭脳派魔道士のショールが冷静沈着に正論を述べる。さすがの聖十大魔道であり、妖精の尻尾の数少ないS級魔道士のリョウもショールの賢さには敵わない。
リョ「素手しか使えないのかよ。くっそぉ~!随分厄介の予選を考えてくれたもんだぜ。」
頭を掻きながらリョウが愚痴を吐く。が、
リョ「まっ、いっか。」
ショ「えっ?」
ショールがリョウのあまりの気が変わる早さに素っ頓狂な声を上げる。
リョ「だって、あの球体を捕まえねぇと大魔闘演舞には出場出来ないんだろ?それじゃあ妖精の尻尾の名折れだ。怪我したって、予選を勝ち抜いてみせるさっ!妖精の尻尾B全員でなっ!」
そう言うとリョウはショールにVサイン。
読者の皆さんは、ナツとグレイがリョウと喧嘩をする時、どうしてナツとグレイがリョウの事を「ポジティブ野朗」と言うのかが分かっただろうか?その理由が、リョウがこういう性格だからだ。
その時、
マ「リョオォォォォォッ!!ショオォォォォォルウゥゥゥゥゥッ!!」
マヤの大声にリョウとショールは同じ方向を振り返る。2人が目にした光景は、ものすごい速さで小さな白い羽を羽ばたかせて逃げる金色の球体。それをものすごい速さで追いかけ、飛び回る球体に必死に手を伸ばすマヤとユモとトーヤ。5人で挟み撃ちだ。リョウとショールも迫り来る球体に手を伸ばす。後数cmで5人の手の中に納まる。と思ったその時、球体が突然角度を変え、右方向に飛んで行った。もちろん、
ト「うぎゃああああぁぁあああぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!」
ユ「ギャアアアァァアアアアァアアァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!」
ショ「イギィィイイイイィィイイイイイィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイッ!!!」
お互いに頭蓋骨にヒビが入りそうな勢いで額同士を強打した。
2名除いて。
リョ「あ、あれ・・・?」
マ「えぇっ!!?」
バ「ゴババ?」
本来はユモ、ショール、トーヤと同じように頭蓋骨にヒビが入りそうな勢いで額同士を強打するはずだったマヤとリョウ。だが、マヤが乗っていたワシのバーンが一足先に、驚いて思わず口を開けてしまった為、その口にすっぽりリョウが挟まってしまったのだ。
自分が今どんな状況になっているのかが分かったリョウの顔がどんどん青ざめていく。
リョ「おいワシイィィィィィッ!!俺の事喰うんじゃねぇぞっ!喰ったら死ぬまで恨むからなあぁぁぁぁぁっ!!!」
「死んだら恨めないじゃん」とゆう突っ込みはあえて言わないでおこう。だが、これはこれで妖精の尻尾Bにとって絶好の機会だった。
ショ「リョオォォォッ!!そこから球体を捕まえろおぉぉぉぉぉっ!!!」
薄っすら鮮血のような赤い瞳に涙を浮かべ、赤く腫れ上がった額を摩りながらショールが声を張り上げて叫ぶ。その声は今にもワシに食べられてしまいそうな状況のリョウの耳にも、リョウを食べようとしているワシの背中に乗ったマヤの耳にも、リョウを食べようとしているワシのバーンの耳にもバッチリ聞こえていた。
リョ「マヤ!ワシ!球体からぜってぇ~に離れるなよっ!!」
マ「分かってるって。」
ワ「ゴガ。」
リョ「のわああああああああああっ!!お前は喋るなっ!口を動かすなあぁぁぁぁぁっ!!」
食べられそうになりながらもリョウは必死に球体に手を伸ばす。
後5cm。
後3cm。
後1cm。
そして――――――――――
リョ「捕まえたあああぁぁぁああああぁぁああああぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!」
途中から悲鳴に鳴っているが、リョウの手の中に金色に光り輝く物が握り締められているのをマヤ、ユモ、ショール、トーヤははっきりと自分の瞳で見た。
バ「グォハッ!!ギャホッ!ギャホッ!ギャホッ!」
地上に下りるのと同時に、バーンは口からリョウを吐き出す。
リョ「だっはぁーーー。はぁ、はぁ・・マ、マジ、で・・はぁ、死ぬかと、思った・・・はぁ、はぁ、はぁ・・・はぁ・・はぁ、はぁ・・・はぁ、はぁ、はぁ・・はぁ・・・」
バーンの涎でびしょびしょになったリョウも目を見開き、荒く息をする。
マ「ありがとうバーン。ゆっくり休んでね。」
バ「グギャ。」
その間にバーンは住処へと帰って行った。
ユ「お疲れリョウ。いろんな意味で。」
リョ「あ、あぁ・・・い、いろんな、意味で・・つ、疲れたぁ~・・・」
リョウはその場で仰向けに倒れ込んだ。その時、マヤ達の目の前に色とりどりの風船で飾られた「GOOL」と書かれた扉が現れた。その扉から、今度は本物の大魔闘演舞のマスコットキャラクター、マトー君が出て来た。
マト「妖精の尻尾Bの皆さん、予選通過、おめでとうございますカボ。」
拍手をするマトー君。表情が変わってないせいか、全く感情が込められていないように見える。
マト「マヤ・ララルドさん、リョウ・ジェノロさん、ユモス・クオリナさん、ショール・ミリオンさん、トーヤ・ファインさん。大魔闘演舞に出場決定ですカボ。」
マト以外「ヤッタァァァァァッ!!!!!」
腕を突き上げて喜びの歓声を上げる。
ト「でも、今回はリョウさんに一番感謝ですね。」
ショ「お疲れ様、リョウ。」
マ「宿に戻ったらお風呂に入らないとね。」
リョ「本当は、今すぐに入りてぇんだけどな。」
リョウが球体をマトー君に渡す。
ユ「ところで、私達は何位なの?」
一番聞きたい事に、マヤ達は顔をマトー君に近づける。」
マト「妖精の尻尾Bの予選順位は・・・」
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『妖精の尻尾Aの『飛捕』』
エ「そっちに行ったぞっ!」
グ「今度はあっちだっ!」
ウェ「皆さん、こっちですっ!」
ナ「待ちやがれええええええええええっ!!」
ル「速過ぎよぉ~!」
金色の球体と、黄色い悲鳴が飛び回る。エルザは剣は持たず、黒羽の鎧に換装し、グレイはユモと同じように背中に氷の翼を造形して飛ぶ。後、ルーシィの星霊、双子宮のジェミニがハッピーとシャルルに変身して球体を追いかける。地上ではナツ、ルーシィ、ウェンディが球体が飛んで来るのを待ち伏せしている。やり方は妖精の尻尾Bと全く一緒。・・・なのだが、
ナ「何で捕まえれねぇんだよっ!!?」
後もう少し!とゆうところで、球体は角度を変えて飛び去り、妖精の尻尾B同様、お互い額を強打し合っている。全員体力、ルーシィ、グレイ、エルザは魔力がすでに限界に近かった。
エ「はぁ、はぁ・・はぁ・・・い、急が、ないと・・はぁ、はぁ、よ、予選・・通過が・・・はぁ・・はぁ、で、出来なく、なって・・しま、う・・・はぁ・・はぁ、はぁ、はぁ・・・」
グ「はぁ・・はぁ、はぁ・・・ったく・・あ、あれなら・・・捕ま、える、より、はぁ・・はぁ、こ、壊した方が・・・はぁ、はぁ・・簡単、じゃ、ねぇか、よ・・・はぁ、はぁ・・はぁ・・・」
マトー君が言ったとおり、実際にやってみるとかなり困難だという事を自覚したみたいだ。金色の球体はナツ達を侮るように、ナツ達の頭上をくるくる飛び回る。
さて、ここからどうする?
ル「はぁ・・・はぁ・・こ、ここで、はぁ、予選、敗北、したら・・・はぁ、はぁ・・・はぁ・・はぁ・・・・」
ウェ「はぁ・・はぁ、妖精の尻尾の・・・はぁ、はぁ・・・な、名折れ、ですよね・・・はぁ、はぁ、はぁ・・・」
荒く呼吸をしながら、立ち上がる5人の妖精。もう限界に近いのに、なぜここまで彼等をこの場に立たせているのか?それは『妖精の味噌汁』!!
エ「それを言うなら、『神のみぞ知る』だ。」
グ「エルザ、いちいち突っ込まなくていい。バカとアホが乗り移るぞ。」
ル「それより、早くあれを捕まえないとっ!」
ルーシィが球体を指差すと、逃げるように球体は飛び去って行った。
ナ「俺が捕まえてやらあぁぁぁぁぁっ!!!」
体力が急激に回復したのか、ナツが猛スピードで走り出し、走りながら球体と同じ高さまで跳び上がると、広げた右手に炎を纏い、
ナ「今度こそおおぉおおおぉぉおおおおおおおおおおっ!!!」
誰もがこの時「捕まえた」と思っただろう。が、それは大きな間違いだ。球体はナツの炎に包まれた右手に納まる直前、突然角度を変えて左方向に飛んで行った。
ナ「なっ!!?逃げんじゃねえええええうぉあぁっ!!」
球体を捕まえる事が出来なかったナツはそのままズドォォォンと落下。
ル「あっちゃぁ~。惜しい~。」
その時、エルザが何かを思いついたのか目を軽く見開いた。
エ「ウェンディ、球体に咆哮を撃てるか?軽くでいいんだ。」
ウェ「えっ?あ、や、やってみますっ!」
ウェンディは飛び回る球体に集中する。狙いを定めると、頬を膨らませ息を吸い込むと、
ウェ「天竜の・・・咆哮ッ!」
水色の咆哮を放った。咆哮は見事に球体を直撃。が、勢いはあまりなく、咆哮に巻き込まれて空中でただ羽ばたいている状態になった。
エ「ナツ!今だっ!」
ナ「おっしゃーーーーーっ!!」
起き上がったナツが空中で羽ばたいている球体目掛けて走り出し、また球体と同じ高さまで跳び上がると、広げた右手に炎を纏った。ナツの炎に包まれた右手に、今度こそ球体が納まった。それと同時にウェンディの咆哮も消えた。
ウェ「はぁ・・はぁ・・・はぁ、はぁ・・・・はぁ・・はぁ・・・」
いくら勢いはあまりなかったとは言え、かなり長い間咆哮を放っていたからそれなりに魔力も消費しただろう。ナツは今度は綺麗に着地。右手には少し黒くなった金色の球体がしっかり握られていた。
グ「おいおい、焦がしてどうすんだよ。」
ナ「ちゃんと捕まえたからいいじゃねぇか。ていうか、「焦がしたらダメ」っていうルールはねぇぞ。」
何とゆう屁理屈。でも、言ってる事は正論だ。その時、ナツ達の目の前に色とりどりの風船が飾られた「GOOL」と書かれた扉が現れた。その扉から、本物の大魔闘演舞のマスコットキャラクター、マトー君が出て来た。
マト「妖精の尻尾Aの皆さん、予選通過、おめでとうございますカボ。」
拍手をするマトー君。相変わらず表情が変わってないせいか、全く感情が込められていないように見える。
マト「ナツ・ドラグニルさん、ルーシィ・ハートフィリアさん、グレイ・フルバスターさん、エルザ・スカーレットさん、ウェンディ・マーベルさん。大魔闘演舞に出場決定ですカボ。」
ナ&グ「おっしゃぁぁぁぁぁっ!!」
ル「ヤッターーーッ!!」
ウェ「やりましたね。」
エ「あぁ。」
妖精の尻尾Bと同じように腕を突き上げて歓声を上げる。
ナ「で!俺達の順位はっ!?」
ル「もしかして、1位!?」
一番気になる事に、ナツたちはマトー君に顔を近づける。
マト「妖精の尻尾Aの予選順位は・・・」
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『一方その頃、大魔闘演舞には出場しない妖精の尻尾の魔道士達は・・・』
外から見ると、『飛捕』のステージは面白い。
ウォ「相変わらず凝ってるなぁ~。」
ナブ「真夜中に行われたり、建物が突き出したり。」
マッ「巨大な映像が映し出されたり。やる事がめちゃくちゃだな。」
レ「私達が言える事じゃないけどね・・・」
レビィの言うとおりである。何せフィオーレ一最強で、お騒がせギルドなのだから。だが、フィオーレ一はもしかしたら今年変わるかもしれないが・・・
その時、また巨大な大魔闘演舞のマスコットキャラクター、マトー君の映像が映し出された。
マト『大魔闘演舞に出場する12の魔道士ギルドが決まりましたカボ。これにて、予選、『飛捕』を終了するカボ。』
リ「出場するギルドはっ!?」
ア「ナツ達はっ!?」
ビ「マヤ達はっ!?」
誰もが気になる今年の大魔闘演舞に出場する12のギルド。果たして、妖精の尻尾Aと妖精の尻尾Bはいったい何位!?
マト『出場ギルドは・・・明日までお楽しみカボ~♪』
全「はあぁぁぁぁぁっ!!!??」
「はぁっ!?」と思うのは当然だろう。
マカ「全く、じれったいのぉ~。」
妖精の尻尾のギルドマスター、マカロフ・ドレアーは酒を飲みながら呟いた。
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『とある建物の屋根の上で・・・』
1人の少女が屋根の上で月の逆光を浴びていた。大魔闘演舞に出場する妖精の尻尾の魔道士の事を見つめていたあの『謎の少女』だ。夜風が少女の青い髪の毛と黒いフレアスカートをなびかせる。少女はなびいた青い髪の毛を右耳に掛ける。
?「大魔闘演舞、予選『飛捕』、終わっちゃったわね。」
少女は真下にいる大魔闘演舞に出場しなかった妖精の尻尾の魔道士を下から見下ろす。楽しそうに、愉快に笑っている。
?「全く、呑気なものね。まだ予選に勝ち抜いたかさえも分からないのに。でも、あの10人なら仲間の期待と、私の期待にきっと応えてくれるわね。ふふっ、今日が楽しみだわ♪」
なぜ、少女がナツ達に期待しているのか?それを知るのはまだ先のお話―――――
後書き
第160話終了ですっ!
予選『飛捕』を通過し、大魔闘演舞に出場する事になった妖精の尻尾Aと妖精の尻尾B。おめでとう!!それにしても、あの『謎の少女』はいったい何者なのか・・・?読者の皆さんも考えてみて下さい。
次回は夜が明け、遂に大魔闘演舞初日が始まったっ!果たして、妖精の尻尾Aと妖精の尻尾Bは何位なのかっ!?今年戦う12の魔道士ギルドが、遂に明らかにっ!
次回、見逃したらいけないよっ!
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